貴方に贈る世界の最後に
元の世界のお話
これは、如月悠が元の世界から去ってからのお話。
《ランキング》が出来た世界で二番目に1位を獲得した、そんな人間のお話。
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突如、俺が住んでいる世界が変わった。
変なルールが出来て、俺の平和だった日常が変化した。
大切な人が変わった...変わってしまった。
俺、龍堂 凪は、考えていた。
なぜこんな世界になったんだ?
だけど、答えは出てこない。
このどうしようもない気持ちは、どこにぶつければいい...
だから俺は、神の言っていた事を馬鹿正直に信じて、1位を目指そうとした。
だけどそれは叶わなかった。
なぜなら、
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・《ランキング》
      
1位(50憶人中)
   
 
《備考》
あなたは『馬鹿』で1位を取りました。
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こうなっていたからだ。
おい、ちょっとまて。
俺が世界一、馬鹿だって言うのか?
神様に文句を言いたくなってきた。
だけどそんな事も言ってられない。世界の変化は、可笑しい方向に動いている。
《ランキング》で1位を獲得した者には何でも叶えてくれる。そんな事を神に言われてから一年がたった。
だけど、世界は何も《・・》変わらなかった。だから可笑しい。
何でも叶えてくれる願いを叶えた誰かは、何もしなかったんだろうか?それとも、もう世界は変わったんだろうか?
俺には分からない。
俺は馬鹿だから分からないけど...もし、その誰かがこの世界を変えたなら...
俺は、そいつを許さない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そのまま一年が経過する。
どうしようもない思いを抱きながら。
そして、その時が来る。
足元に変な模様が出て来てあの部屋にまた飛ばされる。
それと同時に覚悟を決める。
俺、龍堂凪は、世界を変えた奴を倒す。
大切な人を取り戻すために...
見覚えのある部屋に気が付いたら居た。
そして、前回にもあった神様に会う。
あまりにも美しい神。
この世界の誰よりも美しいだろう。
だけど今は...
「また、お会いしましたね。凪さん。待っていましたよ」
可愛らしい笑顔と、透き通るような声が聞こえる。
「神様。俺がここに来られたからには、願いを叶えてくれるんですよね」
「はい。どんなものでも1つだけ」
俺が願うもの、それはただ1つ。
この変わってしまった世界を俺が止める。
大切な人をこの手で守る。
「この世界を変えた奴の元へ行かせてくれ」
「ふふっ、そうですか。そうですか」
面白そうに笑うその女神は、何かを知っているような含みのある笑いをしていた。
「俺を馬鹿にしてるのか?」
「いえ、そんな事はありませんよ。ただ、運命ってあるんだなと思っただけです」
運命?よく分からない事を言っているが、今は俺の願いが先だ。
「それで、俺の願いは叶えてくれるのか?」
「はい。勿論です。...そうですね...」
「まだ、何かあるのか?」
「はい。今から貴方の行く事になる世界は危険なんですよ。普通の人間ではすぐに死んでしまうでしょう」
「は?ならどうすればいいんだ?」
せっかく願いを叶えても死んでしまっては意味がない。
俺の目的が達成できない。
「では、龍堂凪さん。貴方には特別に能力をあげましょう。貴方が思う最強の能力をあげましょう」
最強の能力か...
「それは、どんなものでもいいのか?」
「はい。でも、一度決めたらもうやり直すことは出来ませんから、慎重に選んでくださいね」
どんなものでもいいのか...それなら俺は...俺が思う最強の能力は...
「『何でも出来る能力』だ」
そう言った瞬間に神様の目が大きく見開かれる。
「どんなものでもいいんだろ」
「...ふふっ。ふふふ。貴方は、本当に馬鹿ですね。普通の人ではそんな事を考えないのに...でも、面白いですね」
「そうだろ、俺は他の奴等とは違う頭の良さを持ってるからな」
俺は実は、天才だからな。
「馬鹿と天才は紙一重とはよく言ったものですね。いいでしょう。私は、龍堂凪の願いを叶えます」
「ありがと、神様」
「はい。それでは、後悔の無いように生きてくださいね。私は運命は変えられるものだと信じていますよ」
足元にはさっきとは違う変な模様が出て来る。
その光がどんどん増していく。
そんな状況の中、俺は考える。
俺。龍堂凪は、世界を戻す事を目的に行動する。
変わってしまった世界を戻す。
誰かがこの世界を変える前に戻ってそれを止める。
俺が全てをあるべき姿に戻す。
そう決意して、目の前が光で埋め尽くされる。
...さぁ、新しい旅の始まりだ。
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