貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

元の世界のお話



 これは、如月悠が元の世界から去ってからのお話。

 《ランキング》が出来た世界で二番目に1位を獲得した、そんな人間のお話。


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 突如、俺が住んでいる世界が変わった。
 変なルールが出来て、俺の平和だった日常が変化した。

 大切な人が変わった...変わってしまった。


 俺、龍堂 凪りゅうどう なぎは、考えていた。

 なぜこんな世界になったんだ?
 だけど、答えは出てこない。

 このどうしようもない気持ちは、どこにぶつければいい...


 だから俺は、神の言っていた事を馬鹿正直に信じて、1位を目指そうとした。
 だけどそれは叶わなかった。


 なぜなら、


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 ・《ランキング》
      


     1位(50憶人中)
   
 
     《備考》

 あなたは『馬鹿』で1位を取りました。


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 こうなっていたからだ。

 おい、ちょっとまて。
 俺が世界一、馬鹿だって言うのか?

 神様に文句を言いたくなってきた。

 だけどそんな事も言ってられない。世界の変化は、可笑しい方向に動いている。

 《ランキング》で1位を獲得した者には何でも叶えてくれる。そんな事を神に言われてから一年がたった。

 だけど、世界は何も《・・》変わらなかった。だから可笑しい。
 何でも叶えてくれる願いを叶えた誰かは、何もしなかったんだろうか?それとも、もう世界は変わったんだろうか?

 俺には分からない。
 俺は馬鹿だから分からないけど...もし、その誰かがこの世界を変えたなら...




 俺は、そいつを許さない。



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 そのまま一年が経過する。
 どうしようもない思いを抱きながら。

 そして、その時が来る。
 足元に変な模様が出て来てあの部屋にまた飛ばされる。

 それと同時に覚悟を決める。

 俺、龍堂凪は、世界を変えた奴を倒す。
 大切な人を取り戻すために...



 見覚えのある部屋に気が付いたら居た。

 そして、前回にもあった神様に会う。
 あまりにも美しい神。

 この世界の誰よりも美しいだろう。
 だけど今は...

 「また、お会いしましたね。凪さん。待っていましたよ」

 可愛らしい笑顔と、透き通るような声が聞こえる。

 「神様。俺がここに来られたからには、願いを叶えてくれるんですよね」

 「はい。どんなものでも1つだけ」

 俺が願うもの、それはただ1つ。

 この変わってしまった世界を俺が止める。
 大切な人をこの手で守る。

 「この世界を変えた奴の元へ行かせてくれ」

 「ふふっ、そうですか。そうですか」

 面白そうに笑うその女神は、何かを知っているような含みのある笑いをしていた。

 「俺を馬鹿にしてるのか?」

 「いえ、そんな事はありませんよ。ただ、運命ってあるんだなと思っただけです」

 運命?よく分からない事を言っているが、今は俺の願いが先だ。

 「それで、俺の願いは叶えてくれるのか?」

 「はい。勿論です。...そうですね...」

 「まだ、何かあるのか?」

 「はい。今から貴方の行く事になる世界は危険なんですよ。普通の人間ではすぐに死んでしまうでしょう」

 「は?ならどうすればいいんだ?」

 せっかく願いを叶えても死んでしまっては意味がない。
 俺の目的が達成できない。

 「では、龍堂凪さん。貴方には特別に能力をあげましょう。貴方が思う最強の能力をあげましょう」

 最強の能力か...

 「それは、どんなものでもいいのか?」

 「はい。でも、一度決めたらもうやり直すことは出来ませんから、慎重に選んでくださいね」

 どんなものでもいいのか...それなら俺は...俺が思う最強の能力は...

 「『何でも出来る能力』だ」

 そう言った瞬間に神様の目が大きく見開かれる。

 「どんなものでもいいんだろ」

 「...ふふっ。ふふふ。貴方は、本当に馬鹿ですね。普通の人ではそんな事を考えないのに...でも、面白いですね」

 「そうだろ、俺は他の奴等とは違う頭の良さを持ってるからな」

 俺は実は、天才だからな。

 「馬鹿と天才は紙一重とはよく言ったものですね。いいでしょう。私は、龍堂凪の願いを叶えます」

 「ありがと、神様」

 「はい。それでは、後悔の無いように生きてくださいね。私は運命は変えられるものだと信じていますよ」

 足元にはさっきとは違う変な模様が出て来る。
 その光がどんどん増していく。

 そんな状況の中、俺は考える。

 俺。龍堂凪は、世界を戻す・・事を目的に行動する。
 変わってしまった世界を戻す。

 誰かがこの世界を変える前に戻ってそれを止める。

 俺が全てをあるべき姿に戻す。

 そう決意して、目の前が光で埋め尽くされる。


 ...さぁ、新しい旅の始まりだ。


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