貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第19話 王都へ


 誰も居なくなった村から去っていく。
 魔族の影響で壊れた村。

 アイリスは、その現状をしっかりと受け止めていた。
 同じ種族のやったことを考えている。

 「今まで、魔族は人間に対して敵対的な行動をしたことがなかったのに...これはおかしいと思います。もしかしたらお父様に何かあったのかもしれない...」

 とか、色々と言っているが...

 「アイリス、俺はお前が助けを求めるなら何があっても助ける」

 守ると決めた。でも、頼まれてないことにまで関わるつもりはない。

 そして、アイリスが出した答えは...

 「これは、私の問題です。人間が関わっちゃいけない問題なんだ。だから、僕が解決する」

 「分かった。でも、アイリスだけじゃどうしょうもないどこ時には、頼ってくれ。俺は、仲間を見捨てるつもりは無いからな」

 「仲間...」

 「取り敢えずは、街に向かうしか無いんだし、そこを目指そう。街で情報を集めて判断してからでも遅くはないと思うぞ」

 「直接行くにも、半年以上はかかるし...分かった。今はそうする」


 俺達は、街に向かって歩く。

 そして、また建物が見えた。
 今度は、大きな街に着く。

 今回は、ミアみたいな人が居ないため普通の門から通ることになる。
 一般の検問所に並ぶ。なかなか人が多いので時間がかかりそうだ。

 そして、1時間ぐらい経ったとき、俺達の番が来る。

 もちろん、ノアとアイリスには、『偽装』を使って貰い。魔族だとばれないようにしている。

 「次の者。来い」

 そう門番に呼ばれる。

 「身分証はあるか?ギルドカードでも構わん」

 と、言われるが俺はギルドカードをもらう前にあの街を出てしまったので持っていない。
 あの時は、ステータスを計っただけでカードは、貰ってなかった。

 「えっーと、ギルドカードも持ってないんです」

 「...そうか、じゃあちょっと待ってろ」

 「はい」

 どこかに走って行ってしまった。

 しばらくして帰ってくる。手には、何かの機械みたいなものを持っている。

 「取り敢えず、ここに手を乗せてくれ」

 俺は言われた通りに、機械に手を置く。
 そして、その機械のランプが青色中に光った。

 「これは?」

 「...これは、過去に犯罪をしたか調べる機械だ。あんたは大丈夫みたいだ」

 「そうか、良かった」

 「それと、仮の身分証だ。早めにギルドカードでも作ってくれ」

 「あぁ、ありがとう」

 意外と優しい門番だった。

 「あぁそうだ、ようこそ、王都グレニアへ」

 その言葉と共に扉が開かれる。
 賑わっている人々。かなりの数の人がいる。その中に人ではない種族もいる。
 耳が生えてたり、尻尾があったり、王都だからか多くの種族が行き交う賑やかな音が聞こえた。

 「おー、これは凄いな」

 思わず口にしてしまう程の大きな建物が、この王都の中心にある城。
 この国の王が住んでいる城。

 何もかもが最初の街よりも大きく、雰囲気がある。

 「これが、異世界...」

 しばらく、街並みを見ていると、

 「ユウ、ここにいても仕方無いし、早くギルドに行って身分証を作って貰おう」

 「悪い。今行く」


 ギルドを目指して歩いている途中で、多くの人がこっちを見てくる。

 ...多分。ノアとアイリスが凄く可愛いからだろうけど。
 目を向ける人のほとんどが男性だ。

 それと、俺には恨みの目が向けられている。可愛い女の子を二人も連れていたらそうなるだろう。

 そんな目線に耐えながら、ギルドへの道を歩く。


 たどり着く、剣と盾の看板。最初の街よりもかなり大きいギルド。
 それに見会った大きな扉を開く。
 冒険者が集うギルド。当然そこは、騒がしく、まだ昼だと言うのに酒を飲んでる奴も居る。

 俺は素早く、受付の所へ向かう。
 変に絡まれるのが嫌だったからだ。

 「すみません、ギルドカードを作って貰いたいんですが」

 「え?、あっはい、分かりました」

 すると、後ろから低い声がかかる。

 「おいおい、子供が冒険者の登録か?そんな弱そうな体で?」

 二メートルぐらいある、筋肉ムキムキのゴリラみたいな人が話しかけてきた。

 そんな言葉を無視して受付の人に話す。

 「あと、こっちの二人もお願いします」

 「は、はい」


  ダンッ

 受付の机を叩く音がする。

 「無視かよ。全く、俺に図星突かれて話せなくなったのか?」

 俺がちょっとイライラしてきた、その時。

 「おい、何とか言えよザゴが」

 俺の胸ぐらを掴み上げ、殴ろうとしてきた。


 そして、プチンっと何かが切れる音がした。
 俺の隣で...

 「『アイス・コフィン』」

 俺の隣に居たノアが魔法を使ったのだ。

 「ユウは、お前よりずっと強い。それに、私がこうしないと許せなかった。ユウを馬鹿にするのは許さない」

 と、かなり頭にきているようだった。


 ノアが発動した魔法により、ギルドの空気が凍りつき。

 その日、ギルドには一体の氷の銅像が出来た。

 

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