貴方に贈る世界の最後に
第19話 王都へ
誰も居なくなった村から去っていく。
魔族の影響で壊れた村。
アイリスは、その現状をしっかりと受け止めていた。
 同じ種族のやったことを考えている。
「今まで、魔族は人間に対して敵対的な行動をしたことがなかったのに...これはおかしいと思います。もしかしたらお父様に何かあったのかもしれない...」
とか、色々と言っているが...
「アイリス、俺はお前が助けを求めるなら何があっても助ける」
 守ると決めた。でも、頼まれてないことにまで関わるつもりはない。
そして、アイリスが出した答えは...
「これは、私の問題です。人間が関わっちゃいけない問題なんだ。だから、僕が解決する」
「分かった。でも、アイリスだけじゃどうしょうもないどこ時には、頼ってくれ。俺は、仲間を見捨てるつもりは無いからな」
「仲間...」
「取り敢えずは、街に向かうしか無いんだし、そこを目指そう。街で情報を集めて判断してからでも遅くはないと思うぞ」
「直接行くにも、半年以上はかかるし...分かった。今はそうする」
俺達は、街に向かって歩く。
そして、また建物が見えた。
今度は、大きな街に着く。
今回は、ミアみたいな人が居ないため普通の門から通ることになる。
一般の検問所に並ぶ。なかなか人が多いので時間がかかりそうだ。
そして、1時間ぐらい経ったとき、俺達の番が来る。
もちろん、ノアとアイリスには、『偽装』を使って貰い。魔族だとばれないようにしている。
「次の者。来い」
そう門番に呼ばれる。
「身分証はあるか?ギルドカードでも構わん」
と、言われるが俺はギルドカードをもらう前にあの街を出てしまったので持っていない。
あの時は、ステータスを計っただけでカードは、貰ってなかった。
「えっーと、ギルドカードも持ってないんです」
「...そうか、じゃあちょっと待ってろ」
「はい」
どこかに走って行ってしまった。
しばらくして帰ってくる。手には、何かの機械みたいなものを持っている。
「取り敢えず、ここに手を乗せてくれ」
 俺は言われた通りに、機械に手を置く。
そして、その機械のランプが青色中に光った。
「これは?」
「...これは、過去に犯罪をしたか調べる機械だ。あんたは大丈夫みたいだ」
「そうか、良かった」
「それと、仮の身分証だ。早めにギルドカードでも作ってくれ」
「あぁ、ありがとう」
意外と優しい門番だった。
「あぁそうだ、ようこそ、王都グレニアへ」
その言葉と共に扉が開かれる。
賑わっている人々。かなりの数の人がいる。その中に人ではない種族もいる。
耳が生えてたり、尻尾があったり、王都だからか多くの種族が行き交う賑やかな音が聞こえた。
「おー、これは凄いな」
思わず口にしてしまう程の大きな建物が、この王都の中心にある城。
この国の王が住んでいる城。
何もかもが最初の街よりも大きく、雰囲気がある。
「これが、異世界...」
しばらく、街並みを見ていると、
「ユウ、ここにいても仕方無いし、早くギルドに行って身分証を作って貰おう」
「悪い。今行く」
ギルドを目指して歩いている途中で、多くの人がこっちを見てくる。
...多分。ノアとアイリスが凄く可愛いからだろうけど。
目を向ける人のほとんどが男性だ。
それと、俺には恨みの目が向けられている。可愛い女の子を二人も連れていたらそうなるだろう。
そんな目線に耐えながら、ギルドへの道を歩く。
たどり着く、剣と盾の看板。最初の街よりもかなり大きいギルド。
それに見会った大きな扉を開く。
冒険者が集うギルド。当然そこは、騒がしく、まだ昼だと言うのに酒を飲んでる奴も居る。
俺は素早く、受付の所へ向かう。
変に絡まれるのが嫌だったからだ。
「すみません、ギルドカードを作って貰いたいんですが」
「え?、あっはい、分かりました」
すると、後ろから低い声がかかる。
「おいおい、子供が冒険者の登録か?そんな弱そうな体で?」
二メートルぐらいある、筋肉ムキムキのゴリラみたいな人が話しかけてきた。
そんな言葉を無視して受付の人に話す。
「あと、こっちの二人もお願いします」
「は、はい」
ダンッ
受付の机を叩く音がする。
「無視かよ。全く、俺に図星突かれて話せなくなったのか?」
俺がちょっとイライラしてきた、その時。
「おい、何とか言えよザゴが」
俺の胸ぐらを掴み上げ、殴ろうとしてきた。
そして、プチンっと何かが切れる音がした。
俺の隣で...
「『アイス・コフィン』」
俺の隣に居たノアが魔法を使ったのだ。
「ユウは、お前よりずっと強い。それに、私がこうしないと許せなかった。ユウを馬鹿にするのは許さない」
と、かなり頭にきているようだった。
ノアが発動した魔法により、ギルドの空気が凍りつき。
その日、ギルドには一体の氷の銅像が出来た。
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