クラス転移はts付きで

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三十四話~チャラ男程うざい物はない~

 二時間後、ボクは感情が消えていた。 
 
「向こうで同じようなことをしていたから、かなり簡単だったな!」 
 
 そして教室内でコウタはボクと肩を組ながら大声で話始めた。勿論、ボクは急に勝手に腕を組まされたので被害者だけど。
 
「うるさいなあ」 
「うん? どうしたのかなぁ? 君は優等生なんだから簡単だっただろ? あ! 簡単すぎて眠くなっていたとか?」 
 
 言葉だけ聞くと、優等生への憧れのような感じだが、喋り方がボクの事を完全に馬鹿にしている様な感じだった。 
 勿論、こいつがこんな風に言っているのには理由があり、ボクは総合的な成績は学年十位だが、理科の成績は良い時は中の上、悪い時は下の中と言う様なあまり良い成績ではないからだ、まあ、その分、他の教科は上の上だけどね!? そして、コウタは総合的に見ればかなりの馬鹿だが、 
理科だけは土地狂ったような成績をしている、そのせいで馬鹿にされている。 
 ……実際は馬鹿なのにね。 
 
「あはは、化学が苦手なボクでも流石にこれくらいは出来るよ、百四十位君?」 
「ぐっ! 理科分野では俺よりも馬鹿なのに」 
「悪く言えば、理科以外では必要とされないっていうけどね」 
 
 ボクが生意気な馬鹿に対して文句を言うと、馬鹿は反論してきたが、簡単にいなせた。 
 ……これが普通なのかな? カシモトとシンノスケがボクをいじるのに才能があるだけなんだよね? 
 
「うるせぇよ!」 
「最初に言ってきたのはコウタでしょ?」 
「あー、もう黙れ、て言うか教室の場所を聞かないといけないから、じゃあな」 
 
 そういって、コウタは逃げていった。 
 毎度毎度思うが、何故コウタは負けると分かっていてボクのことをいじってくるんだろうか?  
  
「あ、あの、すみません」 
 
 ただ、ボクも地学科の教室は分からないのでコウタと同じように近くを歩いていた一番真面目そうな生徒の人に場所を聞いた。……コウタと同じ行動をするっていうのは、少し腹が立つね。 
 
「お、どうしたんだい? まさか俺のカッコよさに気付き、告白しようとして来たのかな? うん、でも君みたいなかわいこちゃんだとしても俺には好きな子がいるから、ごめんね」 
 
 ボクが話しかけた人は、ボクが話しかけたことが告白と意味不明な勘違いの仕方をしたようで、バカみたいなことを言っていた。その上ボクと付き合えないとか言い出してきた。 
 ボクもこんな奴とは付き合いたくはないけれど、付き合えないって言われると何故か無性にイラつくね。自分で言うのもなんだけど、ボクって美少女だからそんな断るまでのことはないと思うんだけどな。 
 
「違います! なんでボクがあなたみたいな人に告白することになるんですか!? ボクは道を聞きたかっただけです!」 
「んだよ、ノリ悪いなぁ。まあ、いいよどこに行きたいんだい?」 
 
 ボクが文句を言うと、向こうまで文句を言ってきた。元々、向こうはふざけていたようで、脱力したように言っていた。……こういうのって迷惑だよね、本気に思う人とか出て聞いちゃいそうだし。まあ、しっかりと要件をこたえてくれるから、根はやさしいのかな? 
 
「えと、地学科の教室が分かんないんですけど」 
「は? 幾ら一年だからって、もう三か月は経ってるぞ? 本当にどうした? 呆けたのか?」 
「え? 勇者ですけど」 
 
 どうやら、この生徒は一年生ではなくボク達の先輩のようだった。ただ、何故か、転入してきた勇者たちのことは知らないようで、ボクのことを訝しげに見ていた。 
 
「勇者ぁ? 何言ってんだ? 頭打ったんじゃないか? 保健室に行くか?」 
「だーかーらー! 本当にボクは勇者なんです! そんなに疑問なら後でハンガス先生とかに聞いてくださいよ! て言うか、本当に地学科の教室に案内してください」 
 
 ボクがそういうと、先輩はため息を吐き、結局案内をしてくれた。ただ、案内している途中で先輩が「勇者っていう冗談はこれ以上やめておけ、勇者っていうのは評判がすこぶる悪いから、もし本物って信じるやつがいたら、そいつに殺されるぞ?」と言う風に注意をしてきた。 
 ……そんなわけないでしょ。 
 
(いやいや、あってるからね? 今は国に対しての不信感が募っているから、そこに、国の犬である勇者が一人でやってきたら殺されるにきまってるじゃん) 
 
 ……いや、第一騎士団とかの事で、どれだけ国が傾いているかは分かってたよ、ただ、そんなことを認めたらボクの安寧がなくなってしまうから。まあ、所謂現実逃避だけれども。 
 
「ほら着いたぞ……後で保健室に行けよ」 
「わかりましたよー」 
 
 出会いはよくなかったが、頭のおかしいことを言っている(先輩視点で)ボクの事をしっかりと案内してくれる辺り、結構優しい先輩だった。 
 まあ、教室の扉の前にいても仕方がないので、教室の中に入ることにした。 
 教室の中にはまだ五、六人しか着ていなかった。流石に地学科を受けている人がこんなに少ないわけではないと思うから、五、六人は真面目に早めに来ている人なのかな? 
 
(ラムー、暇だよー、なんかしてー) 
(おい、優等生系クズ、向こうで優等生ぶってたんだから勉強か何かしてろよ) 
 
 少しずつ教室に生徒が入って来ているが、未だに十人程度しかいないのでラムに話しかけた。ただ、ラムはいつもと同じくボクに説教をしてきた。ラムは説教という言葉しか知らないのだろうか? そもそも、いつもボクのことを悪く言うけれど、結局は元々ボクなんだからボクだけ責められる理由はないでしょうに。
((はあ、)) 
 
 そんな風にボク達はため息を吐きあっていた。  

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