双子転生 -転生したら兄妹に分裂してた。天才双子の異世界ライフ-
第39話 望まざる再会
俺とミリアの死闘はなおも続いた。
「【ソードエイド】!」
俺は突っ込むと同時に魔力を剣の形に固め、ミリアへと振り上げる。
「ガアッ!」
ミリアも氷の剣を作り応戦した。剣戟の激しいぶつかり合いが響き渡る。
だが貴族として剣術も学んでいた俺に軍配はあがり、やがてミリアの剣は吹き飛ばされた。しかしそれが隙となるような相手ではない。
「アアアアアアアッ!」
俺は頭上に嫌な予感を覚えすかさず飛び退く。直後、巨大な氷柱が落下してきて俺がいた地面を抉り抜いた。
見上がれば、一撃で人を殺せそうな氷柱が何十本と空中に浮かんでいた。
「アアアアーーーーーーッ!」
ミリアは一斉に氷柱を落としてきた。落とす先から新たな氷柱を作り出し、1本でも当たったら死ぬ氷柱が絶え間なく俺を襲う。ミリアの殺意は全開だ。
そしてそれに負けないことが俺の役目。
「【ソードエイド・炎天】!」
魔力の剣に炎を纏わせ、俺は天を切り裂いた。降ると同時に巨大化した火炎が氷柱を侵し消し去る。すぐに新たな氷柱が作られようとする。そこを見逃さない。
「【ソードエイド・氷人】!」
俺は炎を消すと剣を伸ばし、生まれつつある氷柱を突き刺した。すると剣を核に氷は固まり、新たな剣となる。俺の氷魔法に加えミリアの途轍もない氷魔法を活かした剣の完成だ。
「オラアァァァーッ!」
巨大な氷の剣を力の限り振るう。氷の剣は他の氷柱も次々に取り込み大きさを増す。同属性魔法がぶつかり合った時は魔力が多い方が勝つ、範囲攻撃のミリアよりは一極集中した俺の方が今は強い。
「これならどうだァーーーーーッ!」
全ての氷柱を取り込み完成した巨剣を、ミリア目掛け振り下ろした。
だが当然これでミリアがやられるはずはない。
「ガアアアッ!」
ミリアが手を振った瞬間、剣に纏われた氷が霧散した。ミリアが一極集中すれば俺の氷魔法などたやすく消される。
「シャアアーーーーッ!」
さらに直後、空気中に溶けた氷は猛烈な冷気となって俺へ逆襲した。
すぐに俺は魔力の剣を地へと突き立てる。
「【ソードエイド・地々】!」
直後、地面からいくつもの剣が飛び出して結界を生み、冷気を防ぎ切った。
「よし……これでいい。もっと来い、ミリア……!」
ミリアの殺意は止まらない、だが俺を相手すればその心が苦しむことはない。まだまだ互いに戦いは続けられる。
「頼んだぞサリア……!」
俺は分身に望みを託し、狂い咲く『氷華』と死闘を続けた。
セイルが戦っている場所から遥か遠く。
そこはフェルグランド家の宮殿、魔法都市アスパムでもっとも巨大な建物。その上に4人の人間がいた。
「うーん、さっすがでっすねー」
遠眼鏡を目に当て、双子の片割れと『氷華』の戦闘を観察する小柄な女。
「実力は拮抗。その分互いに殺す気でやれているわけだ」
鋭い眼で直接、遠眼鏡と同じものを見る長身の男。
「セイルとサリアが帰って来たときはどうするかと思ったが、なんとかなるもんだなぁ」
2人の後ろでやる気なさげに寝転がる太った男。
そして……
「フフフ……いずれにせよ戦闘終了時にはどちらも疲弊しきっているはずです。その時に襲撃いたしましょう、今度は完全なる洗脳のために」
最後の1人、張り付いた笑みに憎悪を滲ませる謎の男。そしてその背後には、巨大な鎧のようなものが4つ、人数分置いてあった。
彼らは皆同じ上着を着ていた。黒を基調とした一枚布から作られた服、正面と左肩には十字架を模した紋様が描かれている。それはパイロヴァニアの紋章だった。
「トーン様、バーント様、双子のもう片方に注意してください。あれに動かれると厄介です」
「そっの点はだっいじょーぶでっすねー、サリア、ずっと、戦いを観戦してまっすよー」
「ミリアの姉ヒトミも一緒だ。万が一に備えてるのやもしれんな」
「へへ、そいつは楽でいいなあ」
「ええ、まさしく。我々は高みの見物といきましょう。全ては計画通りに……」
怪しげな4人は誰にも気づかれず傍観する。ミリアを狂わせ、アスパムを地獄と変えた4人がここにいるなど誰も知らない。知ったところでどうしようもない、常人が戦えるような相手ではないのだ。
そう、常人だったら。
「……おい、待て」
寝転がっていた太った男がむくりと起き上がった。やる気なさげな顔は一変し険しく引き締まる。
「トーン、バーント、本当にサリアは向こうにいるんだよな」
「え? もっちろんですよ、ばっちりです」
「俺の眼でも確かに見ている。あれはサリア・フェルグランド」
「じゃあ……今俺らの真下にいる奴は、なんなんだ?」
太った男が言った、次の瞬間。
彼らの立つ場所が、消し飛んだ。
「わっ!?」
「くっ」
「ちっ」
「おっと」
寸前で4人は全員飛び退き、下から放たれた攻撃魔法を免れる。宮殿に空いた大穴がその威力を物語っていた。
そして4人が警戒する中、穴から1人の人間が飛び出てきた。
それは遥か遠くにいるはずの、サリア・フェルグランドだった。
「あなた達がミリアを襲ったっていう4人組だね。なるほどあくどい顔してるし……見覚えのある顔もいる」
サリアは4人組を見渡すと、張り付いた笑みを浮かべる男を睨みつける。男もまた笑顔の下の憎悪を一層増してサリアと対峙した。
「お久しぶりですねぇサリア様。しかしあちらにいるはずのあなたがいったいどうやってここに?」
「あっちにいるのは魔法で作ったダミーだよ。ミリアを暴走させた連中は絶対にその様子を観察しているはずだからね」
「なるほど相変わらず聡い! 憎らしいほどに……」
「憎らしさはあんたには負けるよ」
サリアは男を睨みつけ、その名を呼んだ。
「なんだあんたがここにいるの、ナイブズ!」
男、ナイブズは不気味に笑った。この男、かつて悪徳貴族ゴーディーの配下としてフェルグランドの双子を消そうとしたが、あえなく返り討ちに遭い、利用された敗北者だ。それがなぜパイロヴァニアの人間としてここにいるのか。
全てが繋がろうとしている。神託の双子の身に起きた、全てが。
「【ソードエイド】!」
俺は突っ込むと同時に魔力を剣の形に固め、ミリアへと振り上げる。
「ガアッ!」
ミリアも氷の剣を作り応戦した。剣戟の激しいぶつかり合いが響き渡る。
だが貴族として剣術も学んでいた俺に軍配はあがり、やがてミリアの剣は吹き飛ばされた。しかしそれが隙となるような相手ではない。
「アアアアアアアッ!」
俺は頭上に嫌な予感を覚えすかさず飛び退く。直後、巨大な氷柱が落下してきて俺がいた地面を抉り抜いた。
見上がれば、一撃で人を殺せそうな氷柱が何十本と空中に浮かんでいた。
「アアアアーーーーーーッ!」
ミリアは一斉に氷柱を落としてきた。落とす先から新たな氷柱を作り出し、1本でも当たったら死ぬ氷柱が絶え間なく俺を襲う。ミリアの殺意は全開だ。
そしてそれに負けないことが俺の役目。
「【ソードエイド・炎天】!」
魔力の剣に炎を纏わせ、俺は天を切り裂いた。降ると同時に巨大化した火炎が氷柱を侵し消し去る。すぐに新たな氷柱が作られようとする。そこを見逃さない。
「【ソードエイド・氷人】!」
俺は炎を消すと剣を伸ばし、生まれつつある氷柱を突き刺した。すると剣を核に氷は固まり、新たな剣となる。俺の氷魔法に加えミリアの途轍もない氷魔法を活かした剣の完成だ。
「オラアァァァーッ!」
巨大な氷の剣を力の限り振るう。氷の剣は他の氷柱も次々に取り込み大きさを増す。同属性魔法がぶつかり合った時は魔力が多い方が勝つ、範囲攻撃のミリアよりは一極集中した俺の方が今は強い。
「これならどうだァーーーーーッ!」
全ての氷柱を取り込み完成した巨剣を、ミリア目掛け振り下ろした。
だが当然これでミリアがやられるはずはない。
「ガアアアッ!」
ミリアが手を振った瞬間、剣に纏われた氷が霧散した。ミリアが一極集中すれば俺の氷魔法などたやすく消される。
「シャアアーーーーッ!」
さらに直後、空気中に溶けた氷は猛烈な冷気となって俺へ逆襲した。
すぐに俺は魔力の剣を地へと突き立てる。
「【ソードエイド・地々】!」
直後、地面からいくつもの剣が飛び出して結界を生み、冷気を防ぎ切った。
「よし……これでいい。もっと来い、ミリア……!」
ミリアの殺意は止まらない、だが俺を相手すればその心が苦しむことはない。まだまだ互いに戦いは続けられる。
「頼んだぞサリア……!」
俺は分身に望みを託し、狂い咲く『氷華』と死闘を続けた。
セイルが戦っている場所から遥か遠く。
そこはフェルグランド家の宮殿、魔法都市アスパムでもっとも巨大な建物。その上に4人の人間がいた。
「うーん、さっすがでっすねー」
遠眼鏡を目に当て、双子の片割れと『氷華』の戦闘を観察する小柄な女。
「実力は拮抗。その分互いに殺す気でやれているわけだ」
鋭い眼で直接、遠眼鏡と同じものを見る長身の男。
「セイルとサリアが帰って来たときはどうするかと思ったが、なんとかなるもんだなぁ」
2人の後ろでやる気なさげに寝転がる太った男。
そして……
「フフフ……いずれにせよ戦闘終了時にはどちらも疲弊しきっているはずです。その時に襲撃いたしましょう、今度は完全なる洗脳のために」
最後の1人、張り付いた笑みに憎悪を滲ませる謎の男。そしてその背後には、巨大な鎧のようなものが4つ、人数分置いてあった。
彼らは皆同じ上着を着ていた。黒を基調とした一枚布から作られた服、正面と左肩には十字架を模した紋様が描かれている。それはパイロヴァニアの紋章だった。
「トーン様、バーント様、双子のもう片方に注意してください。あれに動かれると厄介です」
「そっの点はだっいじょーぶでっすねー、サリア、ずっと、戦いを観戦してまっすよー」
「ミリアの姉ヒトミも一緒だ。万が一に備えてるのやもしれんな」
「へへ、そいつは楽でいいなあ」
「ええ、まさしく。我々は高みの見物といきましょう。全ては計画通りに……」
怪しげな4人は誰にも気づかれず傍観する。ミリアを狂わせ、アスパムを地獄と変えた4人がここにいるなど誰も知らない。知ったところでどうしようもない、常人が戦えるような相手ではないのだ。
そう、常人だったら。
「……おい、待て」
寝転がっていた太った男がむくりと起き上がった。やる気なさげな顔は一変し険しく引き締まる。
「トーン、バーント、本当にサリアは向こうにいるんだよな」
「え? もっちろんですよ、ばっちりです」
「俺の眼でも確かに見ている。あれはサリア・フェルグランド」
「じゃあ……今俺らの真下にいる奴は、なんなんだ?」
太った男が言った、次の瞬間。
彼らの立つ場所が、消し飛んだ。
「わっ!?」
「くっ」
「ちっ」
「おっと」
寸前で4人は全員飛び退き、下から放たれた攻撃魔法を免れる。宮殿に空いた大穴がその威力を物語っていた。
そして4人が警戒する中、穴から1人の人間が飛び出てきた。
それは遥か遠くにいるはずの、サリア・フェルグランドだった。
「あなた達がミリアを襲ったっていう4人組だね。なるほどあくどい顔してるし……見覚えのある顔もいる」
サリアは4人組を見渡すと、張り付いた笑みを浮かべる男を睨みつける。男もまた笑顔の下の憎悪を一層増してサリアと対峙した。
「お久しぶりですねぇサリア様。しかしあちらにいるはずのあなたがいったいどうやってここに?」
「あっちにいるのは魔法で作ったダミーだよ。ミリアを暴走させた連中は絶対にその様子を観察しているはずだからね」
「なるほど相変わらず聡い! 憎らしいほどに……」
「憎らしさはあんたには負けるよ」
サリアは男を睨みつけ、その名を呼んだ。
「なんだあんたがここにいるの、ナイブズ!」
男、ナイブズは不気味に笑った。この男、かつて悪徳貴族ゴーディーの配下としてフェルグランドの双子を消そうとしたが、あえなく返り討ちに遭い、利用された敗北者だ。それがなぜパイロヴァニアの人間としてここにいるのか。
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