双子転生 -転生したら兄妹に分裂してた。天才双子の異世界ライフ-
第2話 フェルグランド家の天才双子
北東の地、ソレイユ地方にある魔法都市アスパム。そこは代々貴族であるフェルグランド家が支配する。
その日、フェルグランド家には双子が誕生した。それも男と女が1人ずつの兄妹。フェルグランド家の、そして魔法都市の未来を担う双子の誕生を、人々は祝福した。
そしてそれから15年後。
立派に成長したフェルグランド家の長男、セイル・フォン・フェルグランドの前には1体のドラゴンがいた。漆黒の鱗で覆われ、口からは禍々しい瘴気が漏れ出ている。体躯は巨大、眼は狂暴。人一人で立ち向かうにはあまりにも巨大な敵だった。
『グラアッ!』
竜が唸り、その剛腕でセイルを襲った。空を裂き地を抉る、力強いだけでなく風の如く速い竜の一撃。だがセイルは飛び退き、なんなくそれを回避した。
「【ハイドロ・プレッシャー】!」
空中でセイルが魔法を使う。するとその周囲の空間から竜の体積にも匹敵する水が一瞬にして放たれた。
『ガーッ!』
竜は咆哮し、漆黒の炎を吐いた。業火は膨大な水を瞬時に霧消させ、辺りが霧に包まれる。
「【フリーズガスト】」
だがセイルは慌てず、地に足も突かない間に次の魔法を唱える。吹き荒れたのは氷結の風。度を越えた冷気を伴った氷の魔法は霧を冷却、霧に覆われていた竜は一瞬の内に凍てつき動けなくなる。
そして着地と同時にセイルは竜に向かって駆け出した。
「【フレイマー】!」
基礎的な炎魔法。だがセイルが使用すると竜の火炎にも劣らない業火となり、彼の右腕に付加された。
「フンッ!」
火炎の腕で凍り付いた竜をセイルは殴りつける。ドズン、と重い音が響き渡り、その衝撃でわずかに残っていた霧も吹き飛ぶ。
凍った竜に亀裂が入る。直後、竜は粉々に砕け散った。
「ふうっ……」
俺が息をついて手をパンパンと払うのと、周囲から歓声が上がるのは同時だった。そして魔法による召喚竜を繰り出していたフェルグランド家お抱えの魔法使いが竜の残骸を回収する。
「いやはやぼっちゃま、あいかわらず見事な腕前です。御見それしました」
「ありがとう。戦術には難も多いがな」
「ご謙遜を。私もより強い召喚竜を作らねば、お力を試すお相手にもなりますまい……」
ここは魔法都市アスパムの中心広場。今日はここでフェルグランド家の示威も兼ねた闘技会が開かれていたのだ。俺と竜の戦いはそのオープニングである。
歓声や称賛の声を送る市民に手を振り、俺はフェルグランド家の席へと引っ込んだ。すると迎えたのは俺と同じ年齢の美少女。
水色の髪、宝石のような透き通った瞳、整った鼻筋、全てをおいて均整な顔立ち。白い肌、やや胸の小さいがきれいなプロポーション。大陸一との評判もある文句なしの美少女は俺の双子の妹、サリア・フォン・フェルグランドだ。
かわいい妹ではあるのだが、俺にとって彼女の存在は複雑だ。サリアは手を叩いて闘技を終えた俺を迎えた。
「お疲れ、やっぱり攻撃魔法だとそっちが上だね」
「まあな。だが補助魔法とそれを駆使した戦術はお前には敵わない」
「腕力も私の方が低いし……やっぱり私の方が貧乏くじじゃない? そっちに生まれたかったなー」
「大陸一の美少女が何言ってるんだ。男としてはその容姿が羨ましいよ」
「15年も女やってればそんな気もなくすって……さて」
適当に話した後、愛すべき妹ちゃんは俺と入れ替わりに闘技に向かう。オープニングはもうひとつ、彼女の戦闘もあるのだ。
だがサリアは俺以上のスピードであっさりと召喚された魔物を下し、歓声を浴びていた。当然だろう、俺もサリアも神から特別な能力を授かった転生体なのだから。
サリアは――俺なのだ。
その日、フェルグランド家には双子が誕生した。それも男と女が1人ずつの兄妹。フェルグランド家の、そして魔法都市の未来を担う双子の誕生を、人々は祝福した。
そしてそれから15年後。
立派に成長したフェルグランド家の長男、セイル・フォン・フェルグランドの前には1体のドラゴンがいた。漆黒の鱗で覆われ、口からは禍々しい瘴気が漏れ出ている。体躯は巨大、眼は狂暴。人一人で立ち向かうにはあまりにも巨大な敵だった。
『グラアッ!』
竜が唸り、その剛腕でセイルを襲った。空を裂き地を抉る、力強いだけでなく風の如く速い竜の一撃。だがセイルは飛び退き、なんなくそれを回避した。
「【ハイドロ・プレッシャー】!」
空中でセイルが魔法を使う。するとその周囲の空間から竜の体積にも匹敵する水が一瞬にして放たれた。
『ガーッ!』
竜は咆哮し、漆黒の炎を吐いた。業火は膨大な水を瞬時に霧消させ、辺りが霧に包まれる。
「【フリーズガスト】」
だがセイルは慌てず、地に足も突かない間に次の魔法を唱える。吹き荒れたのは氷結の風。度を越えた冷気を伴った氷の魔法は霧を冷却、霧に覆われていた竜は一瞬の内に凍てつき動けなくなる。
そして着地と同時にセイルは竜に向かって駆け出した。
「【フレイマー】!」
基礎的な炎魔法。だがセイルが使用すると竜の火炎にも劣らない業火となり、彼の右腕に付加された。
「フンッ!」
火炎の腕で凍り付いた竜をセイルは殴りつける。ドズン、と重い音が響き渡り、その衝撃でわずかに残っていた霧も吹き飛ぶ。
凍った竜に亀裂が入る。直後、竜は粉々に砕け散った。
「ふうっ……」
俺が息をついて手をパンパンと払うのと、周囲から歓声が上がるのは同時だった。そして魔法による召喚竜を繰り出していたフェルグランド家お抱えの魔法使いが竜の残骸を回収する。
「いやはやぼっちゃま、あいかわらず見事な腕前です。御見それしました」
「ありがとう。戦術には難も多いがな」
「ご謙遜を。私もより強い召喚竜を作らねば、お力を試すお相手にもなりますまい……」
ここは魔法都市アスパムの中心広場。今日はここでフェルグランド家の示威も兼ねた闘技会が開かれていたのだ。俺と竜の戦いはそのオープニングである。
歓声や称賛の声を送る市民に手を振り、俺はフェルグランド家の席へと引っ込んだ。すると迎えたのは俺と同じ年齢の美少女。
水色の髪、宝石のような透き通った瞳、整った鼻筋、全てをおいて均整な顔立ち。白い肌、やや胸の小さいがきれいなプロポーション。大陸一との評判もある文句なしの美少女は俺の双子の妹、サリア・フォン・フェルグランドだ。
かわいい妹ではあるのだが、俺にとって彼女の存在は複雑だ。サリアは手を叩いて闘技を終えた俺を迎えた。
「お疲れ、やっぱり攻撃魔法だとそっちが上だね」
「まあな。だが補助魔法とそれを駆使した戦術はお前には敵わない」
「腕力も私の方が低いし……やっぱり私の方が貧乏くじじゃない? そっちに生まれたかったなー」
「大陸一の美少女が何言ってるんだ。男としてはその容姿が羨ましいよ」
「15年も女やってればそんな気もなくすって……さて」
適当に話した後、愛すべき妹ちゃんは俺と入れ替わりに闘技に向かう。オープニングはもうひとつ、彼女の戦闘もあるのだ。
だがサリアは俺以上のスピードであっさりと召喚された魔物を下し、歓声を浴びていた。当然だろう、俺もサリアも神から特別な能力を授かった転生体なのだから。
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