迷宮壊しは、全ての始まり
第23話 街内抗争
一話、前に抜けていました……
先に成長の迷宮〈暴走〉の方をお読み下さい
お手間を取らせて申し訳ございません……
〈ローランド視点〉
アディー達を見送った後、俺達はすぐさま戦闘の準備に取り掛かった。
手に持つは、五年ぶりの金に輝く防具の数々。
だが、久し振りだからといって感傷に浸ってる場合ではない。
俺は腕、足、胴、腕へと防具を装着していく。
出て行ったアディーが言うには、敵は今まで出てくるなど考えも出てこなかった迷宮から湧いているとのことだ。
──まるで五百年前の再現みたいじゃねぇーか!!
俺は、おそらく怖い顔をしていたのであろう、アイラが落ち着きなさいと声をかけてきた。
顔を上げると、俺と同い年で四十半ばだと言うのに二十年前とちっとも変わらない愛しの女性が懐かしい黒いローブを着て立っていた。
「大丈夫、アディーとコアちゃんが行ったことだし、向こうには私たちの弟子のパーティがある。最悪の事態なんてことにはなってないわ」
その言葉を聞いて、一先ず、無意識に入っていた身体の力みを抜く。
「ああ、そうだった。しかもあいつ出る間際にとんでもないこと言ってやがった」
「迷宮に干渉できる、と言っていたわね……」
捨て台詞のように衝撃の事実を言って走っていったアイツらには驚かされた。
「ホントに、五百年前の英雄そっくりじゃねぇーか」
「そうよ! だから私達はアディー達を信じて、彼等がことを成した時に帰ってくるこの街を守らなきゃ」
その通りだと思い返すことが出来た。
「ウッシャ、昔みたいにひと暴れするか! 行くぞ【不死鳥】!!」
「それはいいわね、私も本気を出すわ! 遅れないでよ【雷帝】!!」
──
その二人の光景に攻略者達は息を呑む。普通なら誰もが知っている四人組の二人。ソ・ウ・ル・ス・テ・ー・ジ・5・のパーティ『風来の血脈』の消えることの無い炎の鳥を繰り出す【不死鳥】アイラ、そして金の鎧に一撃必殺の雷の真槍を繰り出す【雷帝】ローランド。
この二人が今、力を解き放とうとしているのだ。普段押さえつけていたステリアの箍たがをはずして溢れ出るオーラが攻略者達を包み込んだ。
──
「お前ら、俺達が先導するッ!! お前らはあとに続けッ!!」
俺の声に皆が続く。
敵は溢れ出る緑の魔物ゴブリン
俺達はその戦場へ向かって駆け出した。
◆◆
目的の場所に辿り着くと、そこは喧騒に包まれていた。
弾き合う武器の接触音、武器が体を切り裂く音、それによる叫びの声と人間に傷を負わせギャギャギャと笑う魔物の声。
様々な音がこの場を支配して、普段の賑わった明るい空気から一転、暗く重たい空気へと変えていた。
だが今はそんなことを考えている暇はない。
「戦闘準備! 俺とアイラで大型を相手取る! お前らは通常ゴブリンのパーティにつきそれ以上の数で当たれ!」
俺は攻略者達の頷きを見ると再度声を張り上げた。
「街を守るぞッ! 戦闘開始ッ!!」
俺の声に、攻略者達は一斉に声を上げて討伐へと向かった。
攻略者たちは、数も少なく防戦一方の先にいた攻略者の方へと加わっていく。
彼等は何を話したのか、元いた攻略者達が俺らの方を向くと、心からの安堵をついていた。
俺とアイラはその表情の変化に苦笑いを作るがすぐに真剣な表情へと変えた。
「アイラ、あの安堵には俺らの実力を示す必要がある」
「分かってるわ、憧憬の目で見られていることに気づかないほど馬鹿じゃない」
「その通りだ。ならばその期待に応えなければならない」
「そのようね。本気を出していいよね」
「無論だ。行くぞッ!!」
俺等は、長い間魔物の大軍を相手にしていた勇敢なる戦士達に労わるように手を上げると大型がいるだろうという現役時の感覚に従って走り出した。
──
「アイラ、まずは前方のゴブリンリーダーからだ」
「任せなさいっ!」
アイラは頷くと詠唱を始める。
「炎の精霊達よ、我は汝らに働き掛ける」
唱え始めると同時に目を閉じる。
「抱くは智の結晶、顕すは武の骨頂」
彼女の周りに光が集まり出す。
「その核は不滅とし、天命を果たすは何物か」
集まった光が一点に収縮していく。
「消えなき焔、広がるは猛々しき大翼」
収縮した光が変質し、赤く大きく形を変えていく。
「それは不死の鳥、具現化せよ『フェニックス』!!」
詠唱式は上級魔法に近いものだが物が違う。アイラが使うのは、精霊召喚魔法。規模は上級魔法の何倍にもなる。この世で五人といない精霊召喚術師のまさに真骨頂なのである。
彼女の前に顕現するのは、広げると15メルはある大翼を持った全身炎に包まれている、伝説上の生物とさえ言われている不死鳥ことフェニックスである。
その炎の鳥に何の躊躇いもなく乗り込むアイラ。
アイラがフェニックスに指示を出すと大きく飛び出す。
翼を仰げば敵は体を焼いて飛ばし
嘴を突き立てれば敵は消滅する。
それ光景はまさに圧倒的の一言に尽きる。
これから始まるは、一方的なる蹂躙劇。
この場はアイラに任せよう。
俺はその光景を背後に、別の場所へと走り出した。
──
俺がやって来たのは避難民が集まる方角。
その方角から悲鳴が聞こえたのだ。
前には、まだ逃げ切れていない民が控えており、リーダー級のゴブリンにまだ若い攻略者パーティが一方的な防戦を強いられていた。
俺はなるべく早く助けに入れるようにスキルを唱える。
「我は雷の権化、体現せよッ『雷装』!!」
そう唱えると、俺は身体に雷電が纏わり付く。
その纏わり付いて迸っている雷電を制御することで、俺は雷の速さを得ることが出来る。
その力を利用して俺は、距離50メルを一瞬にして詰めた。
右手に持つのは、現役時にパーティメンバー全員でやっとの思いで倒すことの出来た漆黒雷竜の角から出来た吸い込まれそうなくらい真っ黒な真槍である。
「速の雷槍[紫電]!!」
自分の技術の中で一番速い技である[紫電]を今にもパーティを潰そうとしているゴブリンリーダー級のの胸元に目掛けて突き刺した。
すると、槍が届いた瞬間に奴の体は一気に爆散した。
消えた場所に落ちたのは少し大きな魔石だけだった。
俺は消えたゴブリンの向こう側に見える、まだ齢二十位の男女パーティが顔を怯えさせているのを見て、歩み寄った。
「よく頑張った! 後ろを見てみろ」
そう言って彼らの頭を軽く叩きながら、その後ろに人差し指を向ける。
俺の声に六人の男女が後ろを向くと、民の皆から多くの感謝の言葉が彼らへと降り注いだ。
「お前らは、あそこにいる皆を救ったんだ。敵は格上それでも立ち向かったお前達に敬意を表する。胸を張れ!」
「で、でも……倒したのは」
ほかのパーティメンバーの言葉を代弁したのか、一人の青年が俺に口を開こうとしたので、俺はさっきより力を入れて叩く。
「そもそもお前らがいなければ俺は間に合わなかったんだぞ。自分たちの行動に誇りを持つんだ!」
ようやく彼らの胸のうちに収まったのだろう、瞳を固く閉じて涙を零す六人の頭を撫でてやると、俺は街の中心部に目を向けた。
見据えるは異常の起きた迷宮。
お前達の事は何ら心配はしていない。必ず迷宮の異変を治めてくれよ……
俺は瞼を落として、そう祈った。
なんだかんだで心配しているところで、いつの間にかアイラが俺のそばに寄ってきていた。
「外は大半片付いたわよ。みんなも頑張って倒したみたい。後は、アディー達を信じましょうね!」
そう言って、俺の頬に手をやるアイラ。
おそらく俺の顔は、新婚ホヤホヤのアディーのコアに対してのデレ顔に負けないものになっているだろう。
俺はあいらに支えられて立ち上がると拳を迷宮の方へと突き出した。
──コアの支えと共に全てを終わらせてこいッ、アディー!!
先に成長の迷宮〈暴走〉の方をお読み下さい
お手間を取らせて申し訳ございません……
〈ローランド視点〉
アディー達を見送った後、俺達はすぐさま戦闘の準備に取り掛かった。
手に持つは、五年ぶりの金に輝く防具の数々。
だが、久し振りだからといって感傷に浸ってる場合ではない。
俺は腕、足、胴、腕へと防具を装着していく。
出て行ったアディーが言うには、敵は今まで出てくるなど考えも出てこなかった迷宮から湧いているとのことだ。
──まるで五百年前の再現みたいじゃねぇーか!!
俺は、おそらく怖い顔をしていたのであろう、アイラが落ち着きなさいと声をかけてきた。
顔を上げると、俺と同い年で四十半ばだと言うのに二十年前とちっとも変わらない愛しの女性が懐かしい黒いローブを着て立っていた。
「大丈夫、アディーとコアちゃんが行ったことだし、向こうには私たちの弟子のパーティがある。最悪の事態なんてことにはなってないわ」
その言葉を聞いて、一先ず、無意識に入っていた身体の力みを抜く。
「ああ、そうだった。しかもあいつ出る間際にとんでもないこと言ってやがった」
「迷宮に干渉できる、と言っていたわね……」
捨て台詞のように衝撃の事実を言って走っていったアイツらには驚かされた。
「ホントに、五百年前の英雄そっくりじゃねぇーか」
「そうよ! だから私達はアディー達を信じて、彼等がことを成した時に帰ってくるこの街を守らなきゃ」
その通りだと思い返すことが出来た。
「ウッシャ、昔みたいにひと暴れするか! 行くぞ【不死鳥】!!」
「それはいいわね、私も本気を出すわ! 遅れないでよ【雷帝】!!」
──
その二人の光景に攻略者達は息を呑む。普通なら誰もが知っている四人組の二人。ソ・ウ・ル・ス・テ・ー・ジ・5・のパーティ『風来の血脈』の消えることの無い炎の鳥を繰り出す【不死鳥】アイラ、そして金の鎧に一撃必殺の雷の真槍を繰り出す【雷帝】ローランド。
この二人が今、力を解き放とうとしているのだ。普段押さえつけていたステリアの箍たがをはずして溢れ出るオーラが攻略者達を包み込んだ。
──
「お前ら、俺達が先導するッ!! お前らはあとに続けッ!!」
俺の声に皆が続く。
敵は溢れ出る緑の魔物ゴブリン
俺達はその戦場へ向かって駆け出した。
◆◆
目的の場所に辿り着くと、そこは喧騒に包まれていた。
弾き合う武器の接触音、武器が体を切り裂く音、それによる叫びの声と人間に傷を負わせギャギャギャと笑う魔物の声。
様々な音がこの場を支配して、普段の賑わった明るい空気から一転、暗く重たい空気へと変えていた。
だが今はそんなことを考えている暇はない。
「戦闘準備! 俺とアイラで大型を相手取る! お前らは通常ゴブリンのパーティにつきそれ以上の数で当たれ!」
俺は攻略者達の頷きを見ると再度声を張り上げた。
「街を守るぞッ! 戦闘開始ッ!!」
俺の声に、攻略者達は一斉に声を上げて討伐へと向かった。
攻略者たちは、数も少なく防戦一方の先にいた攻略者の方へと加わっていく。
彼等は何を話したのか、元いた攻略者達が俺らの方を向くと、心からの安堵をついていた。
俺とアイラはその表情の変化に苦笑いを作るがすぐに真剣な表情へと変えた。
「アイラ、あの安堵には俺らの実力を示す必要がある」
「分かってるわ、憧憬の目で見られていることに気づかないほど馬鹿じゃない」
「その通りだ。ならばその期待に応えなければならない」
「そのようね。本気を出していいよね」
「無論だ。行くぞッ!!」
俺等は、長い間魔物の大軍を相手にしていた勇敢なる戦士達に労わるように手を上げると大型がいるだろうという現役時の感覚に従って走り出した。
──
「アイラ、まずは前方のゴブリンリーダーからだ」
「任せなさいっ!」
アイラは頷くと詠唱を始める。
「炎の精霊達よ、我は汝らに働き掛ける」
唱え始めると同時に目を閉じる。
「抱くは智の結晶、顕すは武の骨頂」
彼女の周りに光が集まり出す。
「その核は不滅とし、天命を果たすは何物か」
集まった光が一点に収縮していく。
「消えなき焔、広がるは猛々しき大翼」
収縮した光が変質し、赤く大きく形を変えていく。
「それは不死の鳥、具現化せよ『フェニックス』!!」
詠唱式は上級魔法に近いものだが物が違う。アイラが使うのは、精霊召喚魔法。規模は上級魔法の何倍にもなる。この世で五人といない精霊召喚術師のまさに真骨頂なのである。
彼女の前に顕現するのは、広げると15メルはある大翼を持った全身炎に包まれている、伝説上の生物とさえ言われている不死鳥ことフェニックスである。
その炎の鳥に何の躊躇いもなく乗り込むアイラ。
アイラがフェニックスに指示を出すと大きく飛び出す。
翼を仰げば敵は体を焼いて飛ばし
嘴を突き立てれば敵は消滅する。
それ光景はまさに圧倒的の一言に尽きる。
これから始まるは、一方的なる蹂躙劇。
この場はアイラに任せよう。
俺はその光景を背後に、別の場所へと走り出した。
──
俺がやって来たのは避難民が集まる方角。
その方角から悲鳴が聞こえたのだ。
前には、まだ逃げ切れていない民が控えており、リーダー級のゴブリンにまだ若い攻略者パーティが一方的な防戦を強いられていた。
俺はなるべく早く助けに入れるようにスキルを唱える。
「我は雷の権化、体現せよッ『雷装』!!」
そう唱えると、俺は身体に雷電が纏わり付く。
その纏わり付いて迸っている雷電を制御することで、俺は雷の速さを得ることが出来る。
その力を利用して俺は、距離50メルを一瞬にして詰めた。
右手に持つのは、現役時にパーティメンバー全員でやっとの思いで倒すことの出来た漆黒雷竜の角から出来た吸い込まれそうなくらい真っ黒な真槍である。
「速の雷槍[紫電]!!」
自分の技術の中で一番速い技である[紫電]を今にもパーティを潰そうとしているゴブリンリーダー級のの胸元に目掛けて突き刺した。
すると、槍が届いた瞬間に奴の体は一気に爆散した。
消えた場所に落ちたのは少し大きな魔石だけだった。
俺は消えたゴブリンの向こう側に見える、まだ齢二十位の男女パーティが顔を怯えさせているのを見て、歩み寄った。
「よく頑張った! 後ろを見てみろ」
そう言って彼らの頭を軽く叩きながら、その後ろに人差し指を向ける。
俺の声に六人の男女が後ろを向くと、民の皆から多くの感謝の言葉が彼らへと降り注いだ。
「お前らは、あそこにいる皆を救ったんだ。敵は格上それでも立ち向かったお前達に敬意を表する。胸を張れ!」
「で、でも……倒したのは」
ほかのパーティメンバーの言葉を代弁したのか、一人の青年が俺に口を開こうとしたので、俺はさっきより力を入れて叩く。
「そもそもお前らがいなければ俺は間に合わなかったんだぞ。自分たちの行動に誇りを持つんだ!」
ようやく彼らの胸のうちに収まったのだろう、瞳を固く閉じて涙を零す六人の頭を撫でてやると、俺は街の中心部に目を向けた。
見据えるは異常の起きた迷宮。
お前達の事は何ら心配はしていない。必ず迷宮の異変を治めてくれよ……
俺は瞼を落として、そう祈った。
なんだかんだで心配しているところで、いつの間にかアイラが俺のそばに寄ってきていた。
「外は大半片付いたわよ。みんなも頑張って倒したみたい。後は、アディー達を信じましょうね!」
そう言って、俺の頬に手をやるアイラ。
おそらく俺の顔は、新婚ホヤホヤのアディーのコアに対してのデレ顔に負けないものになっているだろう。
俺はあいらに支えられて立ち上がると拳を迷宮の方へと突き出した。
──コアの支えと共に全てを終わらせてこいッ、アディー!!
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