迷宮壊しは、全ての始まり
第20話 迷宮から一時帰還する
──
「このまま……ハァハァ、第10層に行くのか?」
「アデージュ……お前は、まだ戦おうとしているのか?」
呆れのこもったカレンの表情に俺は首を傾げた。
「あぁ……ハァハァ、そのつもりだが」
「いや無理だろ、肩で呼吸してるじゃないか!」
カレンの言葉に、皆が同調する。
いや、コアは除いてだが。彼女も何言ってんだといった俺と似た表情をしている。
「肩で呼吸するわけないだろ!」
「そのままの意味な筈ないから!」
あっ、カレンの男っぽい口調が崩れた。狙い通りである。肩で呼吸をするの意味は当然知っている。
ただ、からかっただけだ。フフッ(ゲス顔)
カレンにニヤつき顔を見せると、彼女は苦い顔を作るも、俺から視線を外し、顎を使ってコアの方を指した。
「コアももう、魔法は使えないだろう」
その言葉に、コアは反応した。
「あっ、魔力が足りないわ……あと、何だか体がだるい感じがする」
今、気づいたのかコアは驚きの表情を作った。
「それは魔力欠乏と呼ばれる症状だ。保有魔力が10パーセントを切ると陥る状態の事を指す。つまりは、だ。このまま下に行っても勝ち目はほぼ無いと言っていいだろう」
確かにコア無しじゃ第9層ですら危うかった。
「……分かった。だがまた第9層を倒さなきゃいけないのか……」
「それは大丈夫だ。第5層や第9層は倒されると三日のインターバルがあるんだ」
俺が面倒臭がりを隠しもせずにいると、一つの情報を教えてくれた。
「なる程、でもそれじゃあほかの連中が楽に下層へ降りられんじゃないか?」
「それは無い。そうの階層主を倒したものの半径15メートルにいた者にしか階段を降りる権利はないからな」
そういうものかと、一人で納得する。
「で、どうする」
カレンの問いに、俺は魔力欠乏を認識してから座り込んでいるコアを見てから答えた。
「10ミニュ後位に上層に上ろう」
そうして俺達はしばらく休んだ後、上層に続く階段を上り始めた。
──
迷宮の外に出るまで、何度か戦闘はあったものの、まだ余裕のあるパーティ『完全封鎖』のお陰で、危なげなく地上へと帰還できた。
迷宮を出た際、夕暮れにも関わらず、目に入る日差しはとても眩しく感じ、暫くまともに目を開けられなかった。
俺とコア以外のメンバーは、なんともなく普通に目を開いていたので理由を尋ねてみたところ、どうやら慣れが必要らしい。
──
場所は移って攻略者ギルドへと赴いた。
俺達、というより『完全封鎖』
のメンバーが入った途端、ギルド内は瞬く間に活気が生まれた。
「やっぱり最強パーティは違うな」
「お前達は、実際私達以上だろ」
俺は、ギルド内の人の表情を眺める。
「それだけじゃない。時間をかけて多くの信頼や羨望を得てきたってことが良く分かる。ぽっと出の俺達よりもらこの人たちにとってはアンタ達が最強だ」
「そうあれたらとは思うよ。暫くしたらそれも無くなるだろうけどな……さぁ受付に報告に行くとしよう」
「ちょ、後半のはどういう意味だ? おいっ!」
カレンの言葉に反応し俺は確認を取ろうとしたが、カレンは足早に受付の方へと向かった。
何もすることの無い俺達は、ギルド内の酒場に座っていた。
10メルも経った後、カレンは俺達のいる席へと歩いてきた。
「何を話したんだ?」
「第5層と第9層の打ち止めについてだ。これはギルドに報告がしないと多くの人の迷惑になるからな」
「確かにそうだ」
俺とコアが納得をしていると、スレイが手を叩いた。
「今日はみんなお疲れ! パァーッと飲んでいこう!」
後に聞くが、カレンによると意外にも、スレイは酒好きだとの事。
「第9層踏破を祝して乾杯!!」
スレイはそのまま音頭をとると、俺達も冷えたエールの入ったグラスを上に挙げた。
「「「乾杯!!」」」
その後、スレイは周囲にいた攻略者達にも奢りだ、と声を掛けて多くの人を巻き込み『完全封鎖』のメンバーや俺達と一緒に、夜のいい時間になるまで愉快に飲み続けた。
俺には、スレイのように皆を巻き込むで楽しむとった所が、名実以外の『完全封鎖』の魅力なのだろうなと感じた。
──んっ? 俺のここまで感想が真面目すぎだって? そんなもん自分でも感じ取るわッ!!
──
俺とコアは『完全封鎖』に声をかけて、次は明後日の朝に集合と言付けてから、ギルドの外を出た。
真っ直ぐに俺達の借りている宿『雷鳥の休み処』へと辿り着くと、相変わらずの笑顔でクラッシュ夫妻が迎えてくれた。
アイラさんは俺達の格好を見てシャワーを浴びてくれば? と言うので、素直にそれに従うことにした。
正直、汗ヤバかったからちょうど良かった。
あっ、もちろん二人で入ったよ! 時短、時短!!
まぁ、イチャコラは……したけどねッ(キリッ)
その後、俺達は誰もいない食堂でクラッシャー夫妻交えて会話をすることにした。
アイラさんが冷えた水を置いてくれる。
ンッ、冷たい!!
喉を流れる冷たい感じを楽しんでいると、会話を始めるためローランドから口を開いた。
「それにしても今日は随分と遅かったじゃねぇか!」
「さっきまで、ギルドの酒場で騒いでましたからな」
「今日はどこまでいったんだ?」
「第9層」
俺の返答にローランドは口に含んだ水を吹き出した。
「おいおい、速すぎるだろ……そういえばあのギルドカードのまま規制レベル2に行ったってことは同行者がいるんだろ、誰だ?」
「『完全封鎖』」
再びローランドが水を吹き出す。あと、この返しにはアイラさんも口に手も当てて驚いていた。
「まぁ! どういう経緯であの子達と?」
「向こうのお詫びだよね」
「お詫び?」
コアのいうお詫びを説明すると、ローランドが盛大に笑い出した。
「急に笑い出してどうした?」
「いやー、すまんすまん。アイツの正義漢ぶりが変わってなくて笑っちまった!」
「本当に相変わらずですね、ふふっ」
俺は会話についていけなくなった。
「知り合いなの?」
コアが変わりに聞いてくれた。
「ダンは俺の弟子で、ミアリーはアイラの弟子なんだよ」
「「……」」
「「エェーッ!? マジかッ(ですかっ)!!」」
アイツらの言ってた師匠って、めっちゃ身近やん!!
「いや、それは驚いた」
「ほんとだわっ!」
俺とコアは衝撃の事実に驚きの言葉を漏らした。
「まぁ、アイツらは根はいい奴なんだ。突き放さんでやってくれ」
「そういうことなら了解した。コアもいいよな?」
「もちろん」
互いに了承の意を見せたところで一つの質問が浮かんだ。
「そうなると、カレンとスレイの師は何処に?」
「あいつらの師匠も、俺たちと同じような夫妻でな、いい歳して都市の迷宮攻略に本気で挑みに行った」
「あれはいわゆる戦闘狂だもの、仕方が無いわ」
俺とコア、「戦闘狂」という言葉にブルッと震えた。
「どんなところが戦闘狂だった?」
コアの質問にアイラはこう答えるた。
「苦戦を強いられそうになるほど、笑って敵に突っ込むところかしら」
……あっ、それ俺達だ……
俺とコアは、改めて自分達が「戦闘狂」であると事実を突き付けられ、どこか遠い目になった。
その後、戦闘時の話を聞かせてくれと言われ、俺達はあるがままに話したところ、初めは面白がって見ていたクラッシュ夫妻も、いつの間にか呆れた視線を俺とコアに向けるようになっていくのだった。
因みに、クラッシュ夫妻及びカレンとスレイの師匠はソウルステージ4との事だ。
そうして、クラッシュ夫妻の攻略者時代の話と何度目か分からない惚気話など色々の雑談を交えるうちに、帰還日の夜が更けていく。
部屋に戻る時には、既に朝日が顔を出していた。
「このまま……ハァハァ、第10層に行くのか?」
「アデージュ……お前は、まだ戦おうとしているのか?」
呆れのこもったカレンの表情に俺は首を傾げた。
「あぁ……ハァハァ、そのつもりだが」
「いや無理だろ、肩で呼吸してるじゃないか!」
カレンの言葉に、皆が同調する。
いや、コアは除いてだが。彼女も何言ってんだといった俺と似た表情をしている。
「肩で呼吸するわけないだろ!」
「そのままの意味な筈ないから!」
あっ、カレンの男っぽい口調が崩れた。狙い通りである。肩で呼吸をするの意味は当然知っている。
ただ、からかっただけだ。フフッ(ゲス顔)
カレンにニヤつき顔を見せると、彼女は苦い顔を作るも、俺から視線を外し、顎を使ってコアの方を指した。
「コアももう、魔法は使えないだろう」
その言葉に、コアは反応した。
「あっ、魔力が足りないわ……あと、何だか体がだるい感じがする」
今、気づいたのかコアは驚きの表情を作った。
「それは魔力欠乏と呼ばれる症状だ。保有魔力が10パーセントを切ると陥る状態の事を指す。つまりは、だ。このまま下に行っても勝ち目はほぼ無いと言っていいだろう」
確かにコア無しじゃ第9層ですら危うかった。
「……分かった。だがまた第9層を倒さなきゃいけないのか……」
「それは大丈夫だ。第5層や第9層は倒されると三日のインターバルがあるんだ」
俺が面倒臭がりを隠しもせずにいると、一つの情報を教えてくれた。
「なる程、でもそれじゃあほかの連中が楽に下層へ降りられんじゃないか?」
「それは無い。そうの階層主を倒したものの半径15メートルにいた者にしか階段を降りる権利はないからな」
そういうものかと、一人で納得する。
「で、どうする」
カレンの問いに、俺は魔力欠乏を認識してから座り込んでいるコアを見てから答えた。
「10ミニュ後位に上層に上ろう」
そうして俺達はしばらく休んだ後、上層に続く階段を上り始めた。
──
迷宮の外に出るまで、何度か戦闘はあったものの、まだ余裕のあるパーティ『完全封鎖』のお陰で、危なげなく地上へと帰還できた。
迷宮を出た際、夕暮れにも関わらず、目に入る日差しはとても眩しく感じ、暫くまともに目を開けられなかった。
俺とコア以外のメンバーは、なんともなく普通に目を開いていたので理由を尋ねてみたところ、どうやら慣れが必要らしい。
──
場所は移って攻略者ギルドへと赴いた。
俺達、というより『完全封鎖』
のメンバーが入った途端、ギルド内は瞬く間に活気が生まれた。
「やっぱり最強パーティは違うな」
「お前達は、実際私達以上だろ」
俺は、ギルド内の人の表情を眺める。
「それだけじゃない。時間をかけて多くの信頼や羨望を得てきたってことが良く分かる。ぽっと出の俺達よりもらこの人たちにとってはアンタ達が最強だ」
「そうあれたらとは思うよ。暫くしたらそれも無くなるだろうけどな……さぁ受付に報告に行くとしよう」
「ちょ、後半のはどういう意味だ? おいっ!」
カレンの言葉に反応し俺は確認を取ろうとしたが、カレンは足早に受付の方へと向かった。
何もすることの無い俺達は、ギルド内の酒場に座っていた。
10メルも経った後、カレンは俺達のいる席へと歩いてきた。
「何を話したんだ?」
「第5層と第9層の打ち止めについてだ。これはギルドに報告がしないと多くの人の迷惑になるからな」
「確かにそうだ」
俺とコアが納得をしていると、スレイが手を叩いた。
「今日はみんなお疲れ! パァーッと飲んでいこう!」
後に聞くが、カレンによると意外にも、スレイは酒好きだとの事。
「第9層踏破を祝して乾杯!!」
スレイはそのまま音頭をとると、俺達も冷えたエールの入ったグラスを上に挙げた。
「「「乾杯!!」」」
その後、スレイは周囲にいた攻略者達にも奢りだ、と声を掛けて多くの人を巻き込み『完全封鎖』のメンバーや俺達と一緒に、夜のいい時間になるまで愉快に飲み続けた。
俺には、スレイのように皆を巻き込むで楽しむとった所が、名実以外の『完全封鎖』の魅力なのだろうなと感じた。
──んっ? 俺のここまで感想が真面目すぎだって? そんなもん自分でも感じ取るわッ!!
──
俺とコアは『完全封鎖』に声をかけて、次は明後日の朝に集合と言付けてから、ギルドの外を出た。
真っ直ぐに俺達の借りている宿『雷鳥の休み処』へと辿り着くと、相変わらずの笑顔でクラッシュ夫妻が迎えてくれた。
アイラさんは俺達の格好を見てシャワーを浴びてくれば? と言うので、素直にそれに従うことにした。
正直、汗ヤバかったからちょうど良かった。
あっ、もちろん二人で入ったよ! 時短、時短!!
まぁ、イチャコラは……したけどねッ(キリッ)
その後、俺達は誰もいない食堂でクラッシャー夫妻交えて会話をすることにした。
アイラさんが冷えた水を置いてくれる。
ンッ、冷たい!!
喉を流れる冷たい感じを楽しんでいると、会話を始めるためローランドから口を開いた。
「それにしても今日は随分と遅かったじゃねぇか!」
「さっきまで、ギルドの酒場で騒いでましたからな」
「今日はどこまでいったんだ?」
「第9層」
俺の返答にローランドは口に含んだ水を吹き出した。
「おいおい、速すぎるだろ……そういえばあのギルドカードのまま規制レベル2に行ったってことは同行者がいるんだろ、誰だ?」
「『完全封鎖』」
再びローランドが水を吹き出す。あと、この返しにはアイラさんも口に手も当てて驚いていた。
「まぁ! どういう経緯であの子達と?」
「向こうのお詫びだよね」
「お詫び?」
コアのいうお詫びを説明すると、ローランドが盛大に笑い出した。
「急に笑い出してどうした?」
「いやー、すまんすまん。アイツの正義漢ぶりが変わってなくて笑っちまった!」
「本当に相変わらずですね、ふふっ」
俺は会話についていけなくなった。
「知り合いなの?」
コアが変わりに聞いてくれた。
「ダンは俺の弟子で、ミアリーはアイラの弟子なんだよ」
「「……」」
「「エェーッ!? マジかッ(ですかっ)!!」」
アイツらの言ってた師匠って、めっちゃ身近やん!!
「いや、それは驚いた」
「ほんとだわっ!」
俺とコアは衝撃の事実に驚きの言葉を漏らした。
「まぁ、アイツらは根はいい奴なんだ。突き放さんでやってくれ」
「そういうことなら了解した。コアもいいよな?」
「もちろん」
互いに了承の意を見せたところで一つの質問が浮かんだ。
「そうなると、カレンとスレイの師は何処に?」
「あいつらの師匠も、俺たちと同じような夫妻でな、いい歳して都市の迷宮攻略に本気で挑みに行った」
「あれはいわゆる戦闘狂だもの、仕方が無いわ」
俺とコア、「戦闘狂」という言葉にブルッと震えた。
「どんなところが戦闘狂だった?」
コアの質問にアイラはこう答えるた。
「苦戦を強いられそうになるほど、笑って敵に突っ込むところかしら」
……あっ、それ俺達だ……
俺とコアは、改めて自分達が「戦闘狂」であると事実を突き付けられ、どこか遠い目になった。
その後、戦闘時の話を聞かせてくれと言われ、俺達はあるがままに話したところ、初めは面白がって見ていたクラッシュ夫妻も、いつの間にか呆れた視線を俺とコアに向けるようになっていくのだった。
因みに、クラッシュ夫妻及びカレンとスレイの師匠はソウルステージ4との事だ。
そうして、クラッシュ夫妻の攻略者時代の話と何度目か分からない惚気話など色々の雑談を交えるうちに、帰還日の夜が更けていく。
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