迷宮壊しは、全ての始まり

篝火@カワウソ好き

第15話 成長の迷宮4



「うっわコンビの時と全然違う……」


「ええ、これは驚いたわ」


俺とコアは目の前のゴブリンを切りながら、前方の同行者を見やる。


そこには、滑らかな連携を見せる一つのパーティがあった。


「ダンは前へ! ミアリーは支援を! スレイ、ダンの抑える大物の対処! 私は残党を排除する!」


次々と蹂躙されていくゴブリン達。


此処は第5層である。


こうもあっさりと俺達が苦戦していた第5層を乗り切られると、それはもう思うところが多々あった。


「なぁ、コアさんや……」


「わかるわその気持ち……」


「「壁役が欲しいな(わ)!!」」


切実な想いをぶちまける俺達。


壁が欲しいなんて、酷いこと言ってるのはわかるよ。


けどさ、あの巨漢は腹立たしいけど、マジ有能じゃん。


見ててそう考えちゃうのは道理でしょ!!


あっ、だからってあんなごついのはお断りだけど……


「私もそれには同意よ」


ちょっ、コアさんなんで俺の心の声に返答できるん!?


「それはもちろん、──愛してるからよ……」


後半部分、ゴニョゴニョとコアは呟いていたけど、俺はね、難聴キャラじゃないんよ! 巷で有名なハーレム物語のような主人公ではないのだよ!


って事でバッチリ聞こえました。可愛いです。ありがとうございます。じゅるり……グヘヘ……


コアは俺のにやけた顔に気づきポカポカと叩いてくるのを眺めているとカレンから声がかかった。


「おい、二人とも置いていくぞ」


呆れた目を向けられると、流石の俺達も我に返る。


俺達に声を掛けると再び前を歩き出した彼女らの背中を追いかけた。


──


「カレンさん、第6層以降はどうなっているんだ?」


俺は対処を考えるために問うた。


「さん付けは要らない。第6層は近距離武器を使うゴブリンの巣窟だ。近距離武器はこれまでの棍棒に加え、ナイフ、剣が主で稀に槍を使う奴もいる。こいつに関しては若干、苦戦を強いられるかも知らないから心に留めておくといい」


「たしかにあれは厄介だからね」


「巣窟って言い方は本当に正しいわよっ」


カレンの説明にスレイとミアリーも同調、ダンも頷いていた。


俺とコアも、その言葉をしっかりと心に留めておくことにした。


◆◆


第6層にたどり着くと異様な光景だった。


ゴブ、ゴブ、ゴブ、ゴブ、ゴブ、ゴブ、ゴブ…………


見渡す限りにゴブリンだった。


実際にこの階層からは規制レベル2である。


まさに、レベル差を感じさせる空間が広がっていた。


──面白いッ!!


「カレンさん、ここからは攻略経験のない俺達が先行させてもらいます」


カレンは、しばらく厳しい顔をして、思考巡らせていたが、後にこう口を開く。


「緊急時のサポートを任されることにしよう」


──


あたし達は、ゴブリンの相手をしながら見た彼らの戦いぶりに呆気に取られた。


アデージュの方は、見たことの無い異型の武器に魔法を付与するといった、これまた珍しいものを駆使したスタンス。


もう一人のコアの方も、謎めいたものだった。
魔法により、武器を創造し、それを鞭のように放ったり、弓のように飛ばしたりと自在な動きで相手を翻弄するスタンス。


私が、いや私のパーティ皆が、妙な目で彼らを見つめるのも無理はないのだ。


それ程に、彼らは通常からかけ離れていた。


そしてそれを愚かだとは思わずこう口にしてしまうのだ。


普段の、イチャイチャと戯れていた彼らの事を


──ただただ「すごい……」と。


現在、槍のゴブリンを圧倒する彼らの実力を認めながら想いを馳せる。


これならば、私達の望んでいた道を辿れるのでは?


そんなことを考えながら、私達は目の前の的に集中することにした。


──


槍のゴブリンが今、目の前にいる。


これは確かに間合いが取りづらいな。


俺は通常の戦いでは、最適解をオフにすることにした。あればかりに頼ると、急な対処で足が止まってしまうからだ。


空絶輪を投げるにしても、倒せるだろうけど敵の丈夫さをゴブリンリーダーと想定すると倒しきることは出来ない。今度出てくるゴブリンリーダーが槍を持っていたらと考えると、その方法は極めて陳腐だ。


となると、ゴブリンリーダーより回避力のある目の前のゴブリンは俺の特訓に必要だったものだ。


俺は唇を軽く舐めると、向かってくる槍ゴブの動きを俯瞰した。思考を働かせる。


現在、敵は直進中。重心を下げ加速させてくる。


なるほど、中々できるゴブリンだ。


目標、前方7メル。


十分に槍の間合いだな。そろそろか。


想定どうり、槍ゴブは後ろの右足に重心をかけると一突きに前方の俺へと勢いを放出させてきた。


予想以上の速さに目を開いたが、俺は落ち着いて空絶輪の側面で槍をいなすと、素早く奴の首裏の筋肉を断ち切り距離をとった。


「『風属性付与ブロウエンハ』」


俺はそう唱えると、奴に入れた傷に向かって思い切り空絶輪を投げ込んだ。


それが、首元に当たると、頭の離れた胴体だけが全貌へと倒れ、離れた頭部とともに暗い光で粉砕していった。


「やっぱり敵にももう少しサイズを求めたいな」


俺はそう呟いたが、ほかが聞いたら馬鹿かと言ってきそうだ。


俺も最近、少し戦闘狂かなと自覚中だ……テヘッ!


敵も倒し終えたことで離れようとしたら、槍ゴブの消えていった場所に槍が落ちていた。


「カレンさん、槍どうします?」


俺がそう言うと、カレンさんは驚きと表情を作った。


「ドロップしたのか! それは自分で使うも良し、売ると高くも売れるぞ! 迷宮産の武器は滅多に手に入らないからな」


なるほど、金になるのか……よしッ!


「じゃあ、くれてやります。ダンにでも与えといてください。あっ、礼は倍で、とも伝えてください」


ニヤッと笑った俺に、カレンは若干俺に恐ろしいものを見たのか恐れを抱くも頷いた。


なお、コアも多数のゴブリン相手に一切近距離戦をやることなく蹂躙していた。


──


刻は、昼をすぎた頃だろう。


つまりは、大事なことがある。


それは飯だッ!!


朝から迷宮に入ってずっと動き続けたのだから当然腹も減る。


そこで俺達は、前々から六層にあるらしい安全地帯へと足を進め昼食をとることにした。


飯は、今朝コアとアイラさんが宿で作ってきてくれたようでウルフの肉、回復効果のあるヒーの葉、それにアイラさん特製のタレをかけふわふわの白いパンに挟んだサンドだった。


当然、それを口に含んで出る感想は


「「「美味すぎる!!」」」


この一言に尽きた。


スレイは俺の肩を叩いて、良い彼女を持ったなと言ってきた。


「あれ、言ってなかったけ? 俺とコア夫婦ですよ」


そうコアを抱き寄せて、俺とコアのギルドカードを見せると、すごい驚きを見せていた。


「ならば、二人の息の合い方も納得だ」


そこでのダンの言葉に、全員が確かに、と納得していた。


その後に、4人のギルドカードを見せてもらい、全員がソウルステージ欄が3、クリアダンジョン欄に『成長の迷宮』と記されているのを確認した。


どうやら、話をする限りクリアは彼女らの師匠のおかげらしく、こう6人だけで制覇しようとするのは初めてのことらしい。


その後は、色々過去話をすることで30ミニュン程、休憩の時間を過ごした。

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