迷宮壊しは、全ての始まり

篝火@カワウソ好き

第4話 武器調達→攻略者ギルドへ

────ちゅんちゅんちゅん


朝の小鳥のさえずりが、俺の眠りを優しく起こす。


何とか旅立ち一日目を終えた俺は、衛兵のおっさんの計らいもあって、しっかりと休むことが出来た。


あぁー、旅立ち初めての寝起きを女の子と迎えることが出来なかった……残念。


俺は大きく伸びをすると、部屋のある二階から一階の食堂へと降りた。


──トントントンッ
包丁でまな板を叩く音がする。音のする方を向いてみると其処には、食事を作る美人さんがッ!!


俺はすぐさま、そのお姉さんに声をかける。


「何か、お手伝いすることはありませんか?」


しっかりとイケメンスマイルを添えました。


「あら、カッコイイお客さん。大丈夫ですよ。これは、あたしの仕事ですからね。それよりもしっかりとご飯を食べて頑張ってくださいね。若い旅人さん」


何と、お優しい……これが女神かッ!?
本心から、応援されている事が伝わってくる!!


そんな俺が、彼女の言葉に感傷に浸っていると昨日のおっさんが食堂に入ってきた。


「少年じゃないか、朝早くからご苦労なこったッ」


「あら、貴方、今日も朝から衛兵の仕事?」


「ああそうだ。衛兵をやってると、コイツみたいな活きのいい新人がたまに来るから楽しんだよな」


「そう、じゃあ行ってらっしゃい」


「おうっ!!」

チュッ


おっさんは美人さんとキスをしてから俺の肩を叩いて外へと出ていった。


…………ドユコト?


「旅人さん? どうかしましたか?」


美人さんが声をかけてくる。


放心状態で抱いた疑問を質問してみた。


「あの、おっさんとはどういう関係で?」


「あたしの旦那様よ」


そう笑顔で返されました。


ちょマジかよ!!
強靭な男と清楚な女……なんかお似合いだなッ、おいッ!!


しかも、おっさんの最後俺の肩を叩いていったヤツ、あのオッサンらしく頑張れよって意味なんだろうけど、俺には、俺の妻みたいなのお前も見つけてみろ的な意味で捉えちまったわッ!!


とりあえず荒ぶった心を落ち着けた。


「仲がよろしいのですね」


「ええ、それはもう、旦那様は私だけの大好きな英雄ですから」


そこから、長く、それはもう長く、おっさんとの出会いから今に至るまでの惚気話をさんざん聞かされた。


ここまで来ると、おっさんに対して嫉妬の気持ちはすでになく、この美人さんを手にするため色々やったのだなと尊敬するとともに、女性を手に入れるための心得を学ばせてもらった。


今でもまだ、美人奥さんの惚気が続いている。
──正直ちょっとうざくなってきた……


「旦那さんの事が本当にお好きなのですね。それでは僕はそろそろ出掛けたいと思います」


そう言って、俺は宿を後にした。


──べ、別に逃げたわけじゃないからねッ!!


◆◆


宿を出た俺は、流石に装備(といっても毒針草なんだけどね)が心許ないので武器屋を目指すことにした。


しばらくすると、武器の露店が多く並ぶ場所に出た。


何か良いものがないか歩いてみると、一つの露店が異彩を放っているように見えた。


沢山の人がいるのに、其処だけは誰一人寄り付いていない。


だが、無性に気になった俺はそこに足を向けることにした。


目の前まで行くと、物売りの男が意外そうな目で俺を見ていた。


「私が見えるんだな……」


そんな訳の分からんことを言っていたが、俺はそれを無視して並んだ武器に目を向けた。


すると一つの武器に目を惹かれた。


円盤型で周りの四分の三が刃となっている輪っかの武器。


「これは何だ?」


「それは投擲武器の一つ、チャクラムだ。その中でも特殊だが」


投擲武器というのに興味の出た俺は疑問点を聞いてみることにした。


「この武器をこんな奇妙な形にした利点は? この形になにか意味があるのではないか?」


「その通りだ。そいつは穴に指を入れて回転させ投げること武器だ。普通はそこまでなんだかこいつは違う。自分の手元へと戻ってくる特殊加工付きだ。慣れが必要だかな。ブーメランという玩具は知ってるか? それと同じ原理だ。そして歯のない部分は握ることで近距離武器にもなる」


ブーメランは知っている。とするとこの武器は、使いようによっては真価を得ることが出来るのではないか? しかも近距離にも使えるとは凄い!


そう思った俺は、自然と口が動いていた。


「これを買う。いくらだ?」


手に取った武器に、視線を落としながら、そう値段を尋ねた。


「それは餞別だ。くれてやる」


俺は何言ってんだこいつ、と思い視線を武器から前にいる男に向けると


──其処には何も無かった。


今まで話していた男の姿も、その男が営む露店もそこに広がっていた幾つもの武器も何もかもが……


俺はゾッとした。
そういえば、俺が店の前まで来た時、奴は何故見える的なことを言っていた。


今更ながらに本心で言っていたのか、と気付いた俺は背筋自然と真っ直ぐになった。


俺、もしかして幽霊さんとお話してた感じ!?
たてか、だったらこの手にある武器は何!?ちゃんと実体があるんだけど!!


俺は今、猛烈にビビっている。


とりあえず手元にある武器をどうしようかと、考える事にした。


悩みに悩んだ結果、この奇妙な武器は使っていくことにした。不気味で、曰く付きじゃね? とも考えたが、それも魔物を倒すのに役立つだろ、という超ポジティブ思考で結論とすることにした。


思考を手元から、周囲全体に戻し、このあけた場所へと視線を向けた。現状を見つめると、とんでもないことしてたんじゃね? と怖気付いてきた。


そうだ、もう一箇所寄りたい場所があるんだった!!


そう思考を切り替えて、カバンに武器を仕舞い、次なる目的地へと歩くことにした。


──べ、別に現実逃避するために逃げたわけじゃないからねッ!!(震え)


◆◆


其処からは、色んな人に道を訪ねては迷い、訪ねては迷いと、長い時間をかけて、ようやく目的地へと辿り着いた。


ってか途中誰か違う方向指差したろッ!! 思いっ切り逆方面歩いてたわッ!!


ようやく酷いやつに出会えて何故かほっとしている俺。世の中が綺麗なものだけでは無いのが再認識できた。


ありがとよッ逆方面指差した酷いやつッ!!


今目の前にあるのは、俺の人生を送る上で大事な場所である。


目の前にあるほかの建物と比べふた周りは大きな石造りな建物。


──『攻略者ギルド』


管理された迷宮を攻略する上で、誰もが登録しなければならない場所である。


俺は一息つくと、扉を開いていた入口に足を踏み入れた。


そこはまるで別世界であった。


街中には、チラホラ攻略者の姿は見ることがあったが、この建物の中の光景には圧倒された。


酒を飲み合う者、殴り合いをする者、その他様々な賑わいを見せていた。


どうやらギルド場所酒場も兼ねているらしく酒を飲み合う者は、酒場のスペースのテーブルです騒いでいた。


俺は其処からは少し離れた攻略者ギルドの受付らしき所へと歩を進めた。


受付で並ぶ者は、様々な種族であった。耳が長い者、背の低い者、獣の耳や尾を持つ者、その他にも多種多様の特徴が見られた。


暫く並んで、ようやく俺の番が来た。


「ギルドカードの更新ですか? それとも魔核の買取ですか?」


目の前の、可愛らしい猫人族の受付嬢が尋ねてきた。


俺はその問に首を横に振った。


「ギルドカードの発行をお願いしたい」


「あ、新人の方ですね! それでは発行をしたいと思います。ではこのカードに血を垂らしてください」


狐人ちゃんは、そう言うと真っ新な何も書いてないカードと小さな針を目の前の台に置いた。


俺は言われた通りに針で指を刺しカードに垂らすと情報が表示された。


──────────


NAME:アデージュ=クライストス


SOUL STAGE:1


CLEAR DUNGEON:


MONEY:0


──────────


コレで、俺のギルドカードは発行できたようだ。ギルドでバックアップを取った後、手渡しで渡された。


「ギルドの概要主に注意事項ですがお聞きになりますか?」


「お願いします」


「かしこまりました! では説明しますね。──」


ここから説明されたのは
・ギルドカードの無料発行は最初のみ、紛失した場合は金貨1枚
・ギルドカードを更新した場所には入場料無しでその街、その都市に入ることが出来る。
・ギルド昼夜問わず25ハワン常に開放している。
・迷宮で剥ぎ取った魔核はギルドで換金する事。
・騒動を起こした際の罰則は自己責任。
・自分のソウルステージよりの上の規制レベルダンジョンには行かないこと。


以上の内容であった。


そこまで特出して厳しいなんてことは無いな。


そう考えた俺は目的のギルドカードの発行を終え、街中迷宮には寄らずに一度宿に戻る事にした。


「ありがとう、また来るよ。えーと何さんだっけ?」


「ファラマです! クライストス様」


「あ、アデージュでいいよ、ファラマさん」


「ではこれからの攻略ライフ頑張ってくださいね! アデージュ様!!」


まだ硬いなと、苦笑いしながらも元気な声で送られた俺は、小さく頭を下げて攻略者ギルドを後にしたのだった。


◆◆


アデージュがギルドを出る際に、すれ違った一つの四人組攻略パーティがあった。


「彼、私達のステリアにあてられて何も反応しなかったな」

──『ステリア』


それは、ソウルステージよって生じるオーラの事である。
大抵はソウルステージのの差によってステリアは反発して下のステリアを持つ者は何らかの反応を示すのである。


そうであるが故に、アデージュの反応の無さにパーティのリーダーらしき魔法使いの女性は小さくだが吃驚した。


「確かにそのようだったね。けれど、ステリアに差は感じられたよ」


「となるとあのイケメン君かなりの豪胆の持ち主だね〜」


「うむ、彼は遅かれ早かれ大成する逸材だな」


リーダー以外の剣士、回復師、重戦士は三者三葉にアデージュの感想を言った。


「次に会うのが楽しみだ」


リーダーの声に三人が頷く。


「では、今日も油断せずに張り切って行こうか!」


リーダーはそう言って攻略者ギルドに入っていった。それに三人も笑いながら続いて入った。


彼女らが入った途端、ギルドが一段と騒がしくなる。


此処フェアレスト発のソウルステージ3の四人組
この街最強パーティ


──『完全閉鎖シャットアウト


知らないところで強者パーティに期待されるアデージュであった……

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