迷宮壊しは、全ての始まり

篝火@カワウソ好き

第3話 迷宮街に入る☆

いやー、やっぱ俺って運がええのかね……?


森から抜けたと思ったら、目の前に街があったよッ!!


衛兵さんが管理している門の前まで歩いていくと、意外にも大きな街が門内に広がっているのが見えた。


「ようこそ! 迷宮街フェアレストへ!!」



……迷宮街ってなんぞや!?


そう思った俺は衛兵さんに聞いてみることにした。


「お、何だ? お前さんは迷宮街を知らないのか!?」


俺はその問いに素直に頷いた。


「なら教えてやろう!! 迷宮都市はさすがのお前さんでも知っているだろ!? 迷宮街は言わば、それの縮小版みたいなもんだ。迷宮都市には内部に下層全50のダンジョンから為る[ソウルステージ]規制レベル5まである大迷宮があるだろ? ほかの迷宮街とは少しばかり違うかもしれないが、此処フェアレストは下層全10のダンジョンから為る[ソウルステージ]規制レベル2までの、中迷宮を管理しているんだ。だからそれに伴って、ビギナー向けの露店も多く出てる。お前さんは見た感じビギナーだろ? 金があるなら立ち寄ってみるのもありだぞ!!」


何この人……や、優しすぎるゥッ!?
見た目、一般より10は高い身長の俺よりもプラス10高い身長に、顔に大きな切り傷を負ったおっさんが、俺の予想を裏切ってきやがったッ!!


いや、それはいいんだよ? ただ俺が若干身体を怯えさせて話しかけたもんだから、裏切られた時の違和感が半端なくて、俺氏珍しの唖然顔作っちまったよッ!!


「なーに、そんな緊張しなくてもこの街の治安は良好だ!! 安心して入ってみると良い。なんだ金がないのか? 何だったら肩代わりしてやるぜ!!」


ちょっと止めてェェェッ!! アンタ優しすぎだろ!! 俺は、オレは、とてつもなく心が痛いよぉぉ〜!!これ以上罪悪感で俺を潰させないでッ!! もしやアンタそれが狙いだな!?? いや、それは無いな。この人馬鹿で正直そうだもん。あ、つい俺の中の誰かが悪口を……ッて俺だよバカ野郎!!


ってことで、流石にこの超優しい衛兵さんに迷惑をかけたくないので、俺はしっかりと払うことにした。


「大丈夫だ、衛兵さん。金なら少しはある。魔核も持ってきたしな。それで入場料はいくらだ?」


「そうか、でも無理しなくていいんだぞ。どうしても払っていくなら大銅貨3枚だ」


俺はカバンから、残り銀貨2枚、大銅貨4枚、銅貨8枚あったので、素直に大銅貨3枚を渡した。


「払うのか……じゃあ、この水晶に手を当ててくれ」


何か落ち込んでるしッ、このおっさんどんだけ肩代わりしたかったんだよッ!!コレは払ってもらうべきだったか!? いや流石に俺がクズに成り下がる!! え、何だって!? お前はもうクズだろだって!? な訳ないだろ……ないよね!?


まあ、茶番はこれまでにして素直に球体型の青色の水晶に手を置いた。


するとまた、手から脳へと情報が流れてきた。


──────────


『罪の魔水晶』


・効果[罪人確認]
__罪を犯したものが触れると、色が青から赤に変わる
・最良行動[罪を犯していないので、触れると良い]


──────────


どうも、不思議に思ったものを触ると、万物解析アナリシスが勝手に発動されるようだ。


それにしても『罪の魔水晶』って言うのはすごいな。


そう思っていると衛兵さんが口を開いた。


「よし、確認できたぞ若造!! さあ門を通れ。ここからがお前さんの冒険のスタートだ!! 頑張れよッ!!」


そう言って、俺の背中を押した。


俺は、良く周りからこんなんだけど、ひとりでいる時は何時も周りの状況を達観してみている冷静なやつと言われるが、そんなの断じて否だッ!!


俺は面白いことがあれば、何処へだって突っ込んでいく自信がある。今この瞬間もイエスだ。


俺は頬を綻ばせ、故郷より大きな街を見回した。


「衛兵さん、ありがとな!!」


「おうッ、行ってこい!!」


衛兵さんとの、会話を終えた俺は、街を見て回ることにした。


◆◆


街に繰り出してみて感じたことは、町中何処も彼処も凄い賑わいで溢れている、そんなところだ。


俺は、ふらふらと歩いていると一つの看板が目に入った。


《アルゴルド魔石店》


それを見て、自分が魔核を持っていることを思い出した俺は立ち寄ることにした。


扉を開けると、外装はパッと見あまり良くなかったが、中はとても清潔な空間が保たれていた。


「いらっしゃい」


優しそうな中年男性が声をかけてきた。


「魔石買いかい? それとも魔核売りかい?」


そう聞かれたので、魔核売りです、と答えた。


「じゃあこっちに来て、このトレーに魔核を置いてくれ」


俺は言われた通りに、森のウルフたちの魔核を置いた。


「これで以上かい? じゃあ査定するからちょっと待っててくれたまえ」


それから2分後、査定が終わったようで声をかけてきた。


「野生のフォレストウルフの魔核が54個、1個銅貨5枚だから銀貨2枚、大銅貨7枚だね」


──エッ、こんな貰えんの!?


俺的に多いと感じる金額を受け取ると、疑問に思った事があったので聞いてみることにした。


「野生のって付けていたけど、もしかして迷宮産の魔石とは相場が違うのか?」


「その通りだよ。野生の魔物の核は形は粗いけど硬度が高い。それに対して迷宮の魔物の核は形は綺麗だけど硬度は若干低い。魔石って言うのは加工して使うことが多いからね。そうなるとやっぱり需要が高いのは野生の方の魔核なのさ。よって相場が変わるって訳だよ」


めっちゃ詳しく説明してくれるな。
何なんだ此処は……この街の住民は全員がお人好しか?


一を聞いたら十で返ってきやがる。


俺がいちゃいけない空気がこの街には蔓延しているようだ。


クッ、胸が苦しいぜッ!!(棒読み)


「ありがとな、アルゴルドさん? でいいかな?」


「ええ、その通りですよ。若いのに情報を集めようとする姿勢は素晴らしいものです。あなたの活躍を期待してますよ。名前を伺っても?」


「無論だ。俺の名前はアデージュ=クライストス。近い内に有名になるつもりだ。覚えといて損はないさ!!」


俺は笑顔で言ってやった!!


「またのお越しをお待ちしておりますよ」


「おうよ!!」


こうして、笑顔でアルゴルドさんが頭を下げている中、俺は手を挙げて店の外へと出でいった。


◆◆


俺は今、猛烈に疲れている。足が棒のようだ……


午前6ハワに故郷を出てはや15ハワン、起きた出来事の内容が濃すぎた。


森で迷い、ウルフに長いこと追われ、街についたと思ったら、衛兵さんと立ったまま長話、そんでもって街の散策、からのアルゴルドさんとの魔核の相場についての話。


こんなんで足の震え止まらなくなるのなんて当たり前やッ!!


俺の足多分、オリハルコン入ってるよこれ……
マジ、曲がらんわ……


早いとこ宿屋を見つけなければ!!


と思って、カクカク歩きを始めて1ハワン……


「申し訳ございません、現在満室となっております」


宿屋を訪れた5件全てが満室であった……


マジで泣けるよコレッ!!


俺にどこで寝ろと!? どこに女の子を連れ込めと!?


いや、マジ疲れすぎてそんな気力すら出ないけど……


どんよりとした心のまま、宿屋を去ろうと扉を開けると目の前には、この街で最初に会った強面のッ、違った、お人好しのッ……これも違うな、素直で馬鹿で優しいおっさんが俺の前を通り過ぎようとして、視線を俺に向けてきた。


「何だ、まだ泊まるとこ見つかってないのか?」


「ええ、5件確認してみたけど、何処も満室でな……トホホッ」


「じゃ俺んとこ寄ってけ! ウチ宿屋やってるからな!! 融通を効かしてやるよ!!」


この人は、マジ天使かッ!!
誰彼構わず喰らってしまいそうな顔の皮を被った天使なのかッ!?


俺はついつい童話で出てくる天使の輪っかがないかおっさんの頭を探ってみた。


──キュッキュッ!!


あったのは、ツンツルテンのハゲ頭だけだった……
おっさんは手を挙げる。
俺は殴られると思って両手で顔を隠した!!


しかし、いつまで経っても殴られる気配がないので、おっさんの方を見てみた。


「へへへ、俺の頭触り心地いいだろ!!」


──なんと頭をかいて笑っていたのだッ!!


俺は一周まわって彼の優しさが恐ろしく感じた…


何はともあれ、ようやく俺は寝床を確保したのだッ!!


その後、俺はおっさんについて行き、この街に留まる間の一室を確保することが出来たのだった……


俺はもう寝るッ!!


◆◆


ウハァぁぁぁ、ねみぃ〜
ドサッ、痛タタタァッ!!


身体が痛いのを忘れて、ベットに飛び込んだ俺の夜の一幕がそこにあった……

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