幼女転生から始める異世界解読術
第48話 呪いの真相 後編
もう何が何なのか俺にはサッパリ分からなかった。もし仮に俺が本当にこの森に魔法なんてかけたとするなら、どこでその力をいつ手に入れたのか。
そしていつから俺は繰り返される時間の中にいたのだろうか。
なら、どうして今の俺はユウとして転生しているのだろうか。
本を読めば分かりそうな話ばかりが、現実だと全く分からない。いくら調べたって分からない疑問。
俺はいつからそんな物を抱えていたのだろうか。
俺はいつから、そんな悪者みたいな事をしてしまっていたのだろうか。
「待ってください、スズさん、私は決してそんな」
「なーんて、そんな事知らない訳がないじゃないですか」
「……え?」
「ユウさん自身は気づいているんじゃないんですか? 本当は私がこの森の脱出の方法を知っている事を」
「わ、私はそんな事を思っては」
「いますよね、まあ、記憶を取り戻したなら……そう考えるのが当然ですから」
「でもそれなら」
「どうして最初から話してくれなかったかですか? その疑問は最もですが、よく考えてみてください。それを話したら、あなたはどうなってしまいますか? リュウノスケさん」
その答えは簡単だった。今もそうであるように混乱する。もし今のこの時間が自分の手によって繰り返されてしまっているなら、俺はもしかしたら罪悪感から逃げ出してしまうに違いない。
(それにもしかしてだが……)
この森に魔法をかけたなら、その原因がこの森にあるという事にも繋がる。そしてその原因、考えられるのはたった一つ。
「奏……」
「ようやくその名をあなたの口から聞けましたよ」
「それはどういう」
「やはり私達はこの森から出て、あの預言書のカナデさんに会う必要があるみたいです」
突拍子の話に頭がついていけない。スズは何の理由で俺が奏の名前を口にするのを待っていたのだろうか。
「ユウ」
「何?」
「これで全部じゃないから」
「全部じゃない?」
「まだあなたが償わなければならない罪は、まだあるから」
償わなければならない罪。今のこと以外に何かあるのだろうか。何か罪がまだ俺に……。
「準備に時間がかかるので、森を出るのは三日後にします。そしてまず私達はスービニアへと向かいます」
「どうしていきなりそこに?」
「ユウさんにはまだやるべき事があるじゃないですか」
「あ」
「まずはそこから始めないとダメですよ。それに私も久しぶりに会いたいですから、ラーヤ達に」
森から出る手段は決まった。
でもまだ確かな記憶は戻っていない。そもそも全てが事実とも言えない。
でももし、
もし今いるこの世界が、この場所が、本当に何度目かになる世界なら。
世界なら……。
『龍ちゃん』
「え?」
ふと声がした気がした。でも声がした場所に人影はない。
(気のせいか?)
奏は今どこにいるんだ。
■□■□■□
それから三日間、俺はヒノプスの本をとにかく読んで奏の手がかりそうな本を探した。とは言っても、そんな物が存在するわけはないのだが、もし少しでもキッカケがあるならという願いから探してみたかった。
「ユウ、また本を読んでる」
「勉強熱心を超えていますねこれだと」
周りが呆れていようとも、それが俺のやり方なのだ。知らないことは本から得る。それでも分からないなら、もっと調べる。
(奏、教えてくれ。お前は今どうなってしまったんだ)
あの時重症の怪我を負った。その後お前はどうなった。この森の中で時間が繰り返されているなら、その原因がここに眠っている。一度でいいから、俺にはその答えを教えて欲しい。
「ユウさん、明日出発なんですから休んでくださいよ」
そして時間は過ぎ、あっという間に出発前夜。俺は最後の最後まで答えを求めて探したが、やはりその答えを見つけられなかった。
「すいません、どうしても休まなくて」
「そんなに熱心に何を調べているんですか?」
「奏の事です」
「どうして今その事を?」
「記憶を取り戻してからずっと気になっていたんですよ、奏のその後を」
だから調べていたんですと俺は言葉を付けた。だけどそれに対してスズはどこか渋った顔をした。
「それはやめておいた方がいいですよ?」
「どうしてですか?」
「ただ傷つくだけですよ」
「私なら傷ついても構いません。それくらいの覚悟はできていますから」
「傷付くのはカナデさんです」
「奏が? どういう事ですか」
「知りたいですか?」
「気にはなりますから」
「なら少しだけ」
そこでスズは俺に語ってくれた。俺が知っているその後に何があったのか。耳を塞ぎたくなるような事実が彼女の口から。
「今私が話せるのここまでです」
「今の話本気で言っているんですか?」
「本気ですよ。全てではありませんが」
「なら、今すぐにでも奏を」
「やめてくださいよユウさん」
「どうして?! 奏が生きているなら、今すぐに奏を」
「だからそれがカナデさんを傷つけるのでやめてください!」
必死に引き止めるスズ。だけど俺はその足を止めることができない。
奏は今も生きている。
それが事実なら今すぐ彼女に会いに行って、彼女の声を聞きたい。大切な人の声をこの耳で聞きたい。
(奏……)
その為なら足を止められない。
そしていつから俺は繰り返される時間の中にいたのだろうか。
なら、どうして今の俺はユウとして転生しているのだろうか。
本を読めば分かりそうな話ばかりが、現実だと全く分からない。いくら調べたって分からない疑問。
俺はいつからそんな物を抱えていたのだろうか。
俺はいつから、そんな悪者みたいな事をしてしまっていたのだろうか。
「待ってください、スズさん、私は決してそんな」
「なーんて、そんな事知らない訳がないじゃないですか」
「……え?」
「ユウさん自身は気づいているんじゃないんですか? 本当は私がこの森の脱出の方法を知っている事を」
「わ、私はそんな事を思っては」
「いますよね、まあ、記憶を取り戻したなら……そう考えるのが当然ですから」
「でもそれなら」
「どうして最初から話してくれなかったかですか? その疑問は最もですが、よく考えてみてください。それを話したら、あなたはどうなってしまいますか? リュウノスケさん」
その答えは簡単だった。今もそうであるように混乱する。もし今のこの時間が自分の手によって繰り返されてしまっているなら、俺はもしかしたら罪悪感から逃げ出してしまうに違いない。
(それにもしかしてだが……)
この森に魔法をかけたなら、その原因がこの森にあるという事にも繋がる。そしてその原因、考えられるのはたった一つ。
「奏……」
「ようやくその名をあなたの口から聞けましたよ」
「それはどういう」
「やはり私達はこの森から出て、あの預言書のカナデさんに会う必要があるみたいです」
突拍子の話に頭がついていけない。スズは何の理由で俺が奏の名前を口にするのを待っていたのだろうか。
「ユウ」
「何?」
「これで全部じゃないから」
「全部じゃない?」
「まだあなたが償わなければならない罪は、まだあるから」
償わなければならない罪。今のこと以外に何かあるのだろうか。何か罪がまだ俺に……。
「準備に時間がかかるので、森を出るのは三日後にします。そしてまず私達はスービニアへと向かいます」
「どうしていきなりそこに?」
「ユウさんにはまだやるべき事があるじゃないですか」
「あ」
「まずはそこから始めないとダメですよ。それに私も久しぶりに会いたいですから、ラーヤ達に」
森から出る手段は決まった。
でもまだ確かな記憶は戻っていない。そもそも全てが事実とも言えない。
でももし、
もし今いるこの世界が、この場所が、本当に何度目かになる世界なら。
世界なら……。
『龍ちゃん』
「え?」
ふと声がした気がした。でも声がした場所に人影はない。
(気のせいか?)
奏は今どこにいるんだ。
■□■□■□
それから三日間、俺はヒノプスの本をとにかく読んで奏の手がかりそうな本を探した。とは言っても、そんな物が存在するわけはないのだが、もし少しでもキッカケがあるならという願いから探してみたかった。
「ユウ、また本を読んでる」
「勉強熱心を超えていますねこれだと」
周りが呆れていようとも、それが俺のやり方なのだ。知らないことは本から得る。それでも分からないなら、もっと調べる。
(奏、教えてくれ。お前は今どうなってしまったんだ)
あの時重症の怪我を負った。その後お前はどうなった。この森の中で時間が繰り返されているなら、その原因がここに眠っている。一度でいいから、俺にはその答えを教えて欲しい。
「ユウさん、明日出発なんですから休んでくださいよ」
そして時間は過ぎ、あっという間に出発前夜。俺は最後の最後まで答えを求めて探したが、やはりその答えを見つけられなかった。
「すいません、どうしても休まなくて」
「そんなに熱心に何を調べているんですか?」
「奏の事です」
「どうして今その事を?」
「記憶を取り戻してからずっと気になっていたんですよ、奏のその後を」
だから調べていたんですと俺は言葉を付けた。だけどそれに対してスズはどこか渋った顔をした。
「それはやめておいた方がいいですよ?」
「どうしてですか?」
「ただ傷つくだけですよ」
「私なら傷ついても構いません。それくらいの覚悟はできていますから」
「傷付くのはカナデさんです」
「奏が? どういう事ですか」
「知りたいですか?」
「気にはなりますから」
「なら少しだけ」
そこでスズは俺に語ってくれた。俺が知っているその後に何があったのか。耳を塞ぎたくなるような事実が彼女の口から。
「今私が話せるのここまでです」
「今の話本気で言っているんですか?」
「本気ですよ。全てではありませんが」
「なら、今すぐにでも奏を」
「やめてくださいよユウさん」
「どうして?! 奏が生きているなら、今すぐに奏を」
「だからそれがカナデさんを傷つけるのでやめてください!」
必死に引き止めるスズ。だけど俺はその足を止めることができない。
奏は今も生きている。
それが事実なら今すぐ彼女に会いに行って、彼女の声を聞きたい。大切な人の声をこの耳で聞きたい。
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