幼女転生から始める異世界解読術
第46話 呪いの真相 前編
更に翌日。本当にスズはその白馬の王子様に会いに行ってしまったので、今日は俺とフリスの二人で孤児院を切り盛りすることになった。
「フィアンセ?スズはそんな人に会いに行ったの?」
「私も詳しくは分からないんだけど、白馬の王子様だとか言っていたよ」
「随分と古い表現……」
どうやらフリスと俺は同じことを考えていたらしい。
「それで今日は私達二人でお世話をしろって事?」
「まあそういう事。フリスはまだ慣れていないから、主な仕事は私がやるからフリスは」
「私は子供たちの教育をすればいいのね」
「昨日みたいな事教えたら、スズさんに伝えるよ?」
「それだけは勘弁して」
なら教えようとするなよ。
「それが私の使命だから」
「全く格好良くないよ?!」
そんな使命捨てろよ。
「捨てない」
「いちいち心の声に突っ込まないでよ!」
と、そんなやり取りをしながらも今日もいつも通りの時間が過ぎていく。昨日の今日の話だというのに、まさかフリスがここまで会話をしてくれるとは思っていなかった。まだ少しだけぎこちなさが残っているとはいえ、少しだけ前進しただけでも良しとしよう。
「ねえユウ」
「何?」
「そこまで祝えると、ちょっと照れる」
「私別に褒めていなかったよ、今」
何を勘違いしたのか頬を染めるフリス。むしろまだまだ進展していないような気がするんだけど……。
「どこまでも進展したい。何ならいけるところまで」
「どこまで?!」
「それは……内緒」
「隠さなくても何となく察せるよ!」
察したくなかったけど、なんかコミュニケーションが取れるようになってからフリスが以前より面倒くさくなった気がする。嘘をつかないとは言ったものの、変な発言や考えをしたら何か勘違いされてしまいそうで怖い。
「怖がらなくて大丈夫。勘違いなんて……してないから」
「そう思うならこっちの目を見て行ってよ」
ほらね。
■□■□■□
フリスが以前より更に面倒くさくなった事で一日精神力を使ってしまった俺は、夜にはすっかり燃え尽きていた。
「ただいま帰りました。って、どうしたんですかユウさん、燃え尽きていますよ」
「燃え尽きていますからね」
そんな傍ら、スズが帰ってくる。俺はお帰りなさいとは言いながらも、まるで死人のように床に伏せいていた。
「そんなに疲れたんですか?」
「孤児院の仕事は問題なかったんですけど、フリスが」
「フリスさんがどうかしましたか?」
「以前より面倒くさい方で進化してしまいました」
「どういう意味ですか?」
「そのままの意味ですよ」
心を読める方も大変だけど、読まれる方も苦労することを俺は今日思い知らされたのだが、詳しくはもう思い出したくない。
「それよりスズさんこそ、白馬の王子様とはどうでしたか?」
「楽しい時間でしたよ。また今度お会いする約束をしましたし」
意気揚々と語り始めるスズ。その様子を見るなり、俺とは違って大成功だったらしい。決して俺も失敗をしたわけではないのだが、一人楽しんだスズが羨ましい。
「あ、そうだユウさん。今日その王子様から聞いたんですが、どうやらユウさんが考えていた事は正解だったみたいですよ」
「正解って何がですか?」
「ここの森の事ですよ。やっぱりこの森は全部が同じように見えて、あの泉のように僅かに変化している場所があるみたいです。そこを辿れば森から出ることは可能みたいですよ」
「やっぱりそうでしたか」
スズが仕入れてきたのは俺が考えた通りの情報だった。ただそこまででそれ以上の情報はなかった。俺が知りたかったのはこの森がどうしてこの森が脱出が不可能な森になってしまったのか。その根本的なところを解決しないと、今後も孤児院の子供たちも増える可能性もあるし、何よりスズがまた苦しむことになる。
(何かヒントになるようなものがあれば……)
これ以上ラーヤ達と距離を置き続けるわけにもいかないので、そろそろ本格的に動かなければならない。そう考えたとき、俺はふとフリスの事を思い出した。
(そういえば)
初めて彼女と出会った時、彼女はどこからやって来たのだろうか。そもそも妖精の国から出てきたと言ったが、もしかしたらこの森のすぐ近く、もしくは森の中に別の国があるのだろうか。
「スズさんに聞きたいんですけど、この森の中にある国はこのヒノプスだけですか?」
「はい。そもそもこの森もそんなに大きくはないので、ここだけだと考えられますけど」
「そうですか。なら、やっぱり」
この森から確実に出られる出口が存在する。そしてその場所がきっとフリスが通って来た道。つまり妖精の国に繋がる道の可能性が高い。そしてもしかしたらそこに……。
「行かないよ」
答えがあると思ったと同時にフリスの声がする。
「あそこには私帰りたくない。確かにユウの考えの通り、あそこにはこの森の謎を解く答えがある。でもそれは私が教えれば済むこと」
「フリスは知っているの?」
「話は聞いたことある。そもそも分かっていなければ、この森にわざわざ逃げ込まない」
それもそうだが、そもそも何故それを彼女は教えてくれなかったんだ?
「それは……教えたくなかったから」
「え?」
「これを教えたら、多分私は二度とあの場所に戻れないから」
「それって……」
まるで妖精たちがこの呪いをかけたみたいじゃないか。
「フィアンセ?スズはそんな人に会いに行ったの?」
「私も詳しくは分からないんだけど、白馬の王子様だとか言っていたよ」
「随分と古い表現……」
どうやらフリスと俺は同じことを考えていたらしい。
「それで今日は私達二人でお世話をしろって事?」
「まあそういう事。フリスはまだ慣れていないから、主な仕事は私がやるからフリスは」
「私は子供たちの教育をすればいいのね」
「昨日みたいな事教えたら、スズさんに伝えるよ?」
「それだけは勘弁して」
なら教えようとするなよ。
「それが私の使命だから」
「全く格好良くないよ?!」
そんな使命捨てろよ。
「捨てない」
「いちいち心の声に突っ込まないでよ!」
と、そんなやり取りをしながらも今日もいつも通りの時間が過ぎていく。昨日の今日の話だというのに、まさかフリスがここまで会話をしてくれるとは思っていなかった。まだ少しだけぎこちなさが残っているとはいえ、少しだけ前進しただけでも良しとしよう。
「ねえユウ」
「何?」
「そこまで祝えると、ちょっと照れる」
「私別に褒めていなかったよ、今」
何を勘違いしたのか頬を染めるフリス。むしろまだまだ進展していないような気がするんだけど……。
「どこまでも進展したい。何ならいけるところまで」
「どこまで?!」
「それは……内緒」
「隠さなくても何となく察せるよ!」
察したくなかったけど、なんかコミュニケーションが取れるようになってからフリスが以前より面倒くさくなった気がする。嘘をつかないとは言ったものの、変な発言や考えをしたら何か勘違いされてしまいそうで怖い。
「怖がらなくて大丈夫。勘違いなんて……してないから」
「そう思うならこっちの目を見て行ってよ」
ほらね。
■□■□■□
フリスが以前より更に面倒くさくなった事で一日精神力を使ってしまった俺は、夜にはすっかり燃え尽きていた。
「ただいま帰りました。って、どうしたんですかユウさん、燃え尽きていますよ」
「燃え尽きていますからね」
そんな傍ら、スズが帰ってくる。俺はお帰りなさいとは言いながらも、まるで死人のように床に伏せいていた。
「そんなに疲れたんですか?」
「孤児院の仕事は問題なかったんですけど、フリスが」
「フリスさんがどうかしましたか?」
「以前より面倒くさい方で進化してしまいました」
「どういう意味ですか?」
「そのままの意味ですよ」
心を読める方も大変だけど、読まれる方も苦労することを俺は今日思い知らされたのだが、詳しくはもう思い出したくない。
「それよりスズさんこそ、白馬の王子様とはどうでしたか?」
「楽しい時間でしたよ。また今度お会いする約束をしましたし」
意気揚々と語り始めるスズ。その様子を見るなり、俺とは違って大成功だったらしい。決して俺も失敗をしたわけではないのだが、一人楽しんだスズが羨ましい。
「あ、そうだユウさん。今日その王子様から聞いたんですが、どうやらユウさんが考えていた事は正解だったみたいですよ」
「正解って何がですか?」
「ここの森の事ですよ。やっぱりこの森は全部が同じように見えて、あの泉のように僅かに変化している場所があるみたいです。そこを辿れば森から出ることは可能みたいですよ」
「やっぱりそうでしたか」
スズが仕入れてきたのは俺が考えた通りの情報だった。ただそこまででそれ以上の情報はなかった。俺が知りたかったのはこの森がどうしてこの森が脱出が不可能な森になってしまったのか。その根本的なところを解決しないと、今後も孤児院の子供たちも増える可能性もあるし、何よりスズがまた苦しむことになる。
(何かヒントになるようなものがあれば……)
これ以上ラーヤ達と距離を置き続けるわけにもいかないので、そろそろ本格的に動かなければならない。そう考えたとき、俺はふとフリスの事を思い出した。
(そういえば)
初めて彼女と出会った時、彼女はどこからやって来たのだろうか。そもそも妖精の国から出てきたと言ったが、もしかしたらこの森のすぐ近く、もしくは森の中に別の国があるのだろうか。
「スズさんに聞きたいんですけど、この森の中にある国はこのヒノプスだけですか?」
「はい。そもそもこの森もそんなに大きくはないので、ここだけだと考えられますけど」
「そうですか。なら、やっぱり」
この森から確実に出られる出口が存在する。そしてその場所がきっとフリスが通って来た道。つまり妖精の国に繋がる道の可能性が高い。そしてもしかしたらそこに……。
「行かないよ」
答えがあると思ったと同時にフリスの声がする。
「あそこには私帰りたくない。確かにユウの考えの通り、あそこにはこの森の謎を解く答えがある。でもそれは私が教えれば済むこと」
「フリスは知っているの?」
「話は聞いたことある。そもそも分かっていなければ、この森にわざわざ逃げ込まない」
それもそうだが、そもそも何故それを彼女は教えてくれなかったんだ?
「それは……教えたくなかったから」
「え?」
「これを教えたら、多分私は二度とあの場所に戻れないから」
「それって……」
まるで妖精たちがこの呪いをかけたみたいじゃないか。
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