幼女転生から始める異世界解読術
第8話 図書館の王女様
俺達の目の前に現れた十五歳くらいの美少女。俺は誰だろうと思っている中、ティナ慌てふためめいた声でいった。
「ど、どうしてここに王女様がいらっしゃるんですか?」
「王女様?」
「あんたまさか王女様の顔も忘れたの? 流石にライバルでもそれだけは驚きよ」
だからライバルじゃないと言いたいが、ティナとリルの言葉の意味をよく考えてみる。
(王女ってこの国のか?)
え? それって、
「だ、大丈夫なんですか?」
「大丈夫なわけないでしょ! それに聞いていたでしょ? 私にも協力させてほしいって」
「はい、私も力にならせてください」
「ええええ!」
「反応が遅いわよ」
これは急展開だった。転生してわずか二日目で国の王女様に出会って仲間になんるだなんて、ゲームならもうゴールだ。
「ぜ、是非協力を」
「馬鹿、してもらうわけにいかないでしょ」
殴られた。
「え、えっと王女様、それは本気で言っているのですか? 私達は、その、冴えない一般人であって王女様の足元には到底及ばないと思いますが」
「今はこのような状況ですから、身分だなんて関係ありません。そこの方が何かしらの力をお持ちなのは風の噂で聞いています」
「わ、私は決してそんな力などは」
俺の方を見つめながらそんなことを仰る王女様。俺は思わずドッキっとしてしまう。
(男なら耐えられないセリフだよなこれ)
見た目が女なのが非常に勿体ない。
「突然の申し出に戸惑われる気持ちは分かりますが、今この国には、世界にはあまり時間は残されていません。ですから少しでも力になりたいんです!」
「お、王女様、頭をあげてください」
頭を下げてまで頼まれてしまった。何て国思いの人なんだと俺は思った。きっと彼女は誰よりも国のこと、世界のことを思っている。だからこうして俺達にも頭を下げられる。
だから俺もその思いに答えたくなった
「あの、王女様、一つ聞いてもいいですか?」
「王女様はこの世界を変えられると信じていますか?」
「はい。私一人だけの力では微力ですが、手を取り合えば変えられると信じています」
「なら、私達がその思いに力を貸すというのどうでしょうか」
「ちょっとユウ、王女様に手を貸してもらうのは」
「違うよお姉ちゃん。私は王女様に協力するってだけで、貸してもらう訳じゃないよ。それならいいでしょ?」
「それなら、まあ」
本当に信じられないような話だけど、願っていることが同じである以上、手を取り合うのが一番だと思う。転生して二日目の人間が何を言っているんだと言われそうだけど、どんな事だって一人より二人、二人より三人の方がいいに決まっている。
それはどこの世界に行っても変わらない。
だから俺は王女様の目の前に立ち、手を差し出した。
「私はユウって言います。失礼なことを言ってしまう時もあると思いますが、よろしくお願いします」
そしてその手を王女様はしっかりと握り、こう言った。
「私はサラスティア王国第一王女、アーニスと申します。これからよろしくお願いします、ユウ様」
こうして俺の本格的な異世界救世録は、この王立図書館で本格的に始まりを告げた。
■□■□■□
アーニスが城へ戻り、俺達も準備のために一度帰宅することになった。
「ねえ、あなたリュウノスケって言ったっけ? 一つ聞いていい?」
帰宅して久しぶりに俺とティナが二人きりになった時、ふと彼女がユウにではなく中の俺に話しかけてきた。
「何?」
「王女様まで巻き込むか立ちになっちゃったけど、ちゃんと責任とれるの?」
「責任?」
「言っておくけど世界を救うからって、何でもかんでも好きにして言いわけじゃないの。この世界にだってこの世界のルールがある。あなたが今日したことはそのルールを破ったことに近いの」
ティナの言葉がいつになく真剣だった普段とあまり変わらないように聞こえるけど、その声色からは恐怖すら覚えた。
「郷に入っては郷に従えってこと?」
「私はその言葉は知らないけど、あなたが住んでいた世界とこの世界は違う。もっと言うなら物語のように何でもかんでも上手くいく世界じゃない。それだけは忘れないで」
「肝に命じておくよ」
俺はそれに対してそう一言述べることしかできなかった。
たった二日。
たった二日しか一緒にいただけの関係だ。簡単に信用が生まれるわけがないのは分かっていた。むしろマイナスになっているかもしれない。
「ねえティナ」
「何?」
だからここからはユウではなく夏目龍之介としての言葉を言わせてもらう。
「ティナは憎い? 私のこと」
「リュウノスケならもちろん憎いわよ。でも憎んでも何も始まらないでしょ?」
「うん。でも私もティナについてこの二日で思ったことがあるの」
「思ったこと?」
「ティナが憎んでいるのって夏目龍之介じゃないでしょ」
「な、何よいきなりそんなこと! あなたに何が分かるの?」
「分からないよ。でもそれはこれから知るよ」
この二日間、彼女と会話して思ったことがある。それは彼女が抱いている俺への憎しみについてだ。
どうしてかは今は分からないけど、彼女の憎しみはどこか別の何かに向けられていた。
「私達の事、そしてエルフ族の事についても」
「ど、どうしてここに王女様がいらっしゃるんですか?」
「王女様?」
「あんたまさか王女様の顔も忘れたの? 流石にライバルでもそれだけは驚きよ」
だからライバルじゃないと言いたいが、ティナとリルの言葉の意味をよく考えてみる。
(王女ってこの国のか?)
え? それって、
「だ、大丈夫なんですか?」
「大丈夫なわけないでしょ! それに聞いていたでしょ? 私にも協力させてほしいって」
「はい、私も力にならせてください」
「ええええ!」
「反応が遅いわよ」
これは急展開だった。転生してわずか二日目で国の王女様に出会って仲間になんるだなんて、ゲームならもうゴールだ。
「ぜ、是非協力を」
「馬鹿、してもらうわけにいかないでしょ」
殴られた。
「え、えっと王女様、それは本気で言っているのですか? 私達は、その、冴えない一般人であって王女様の足元には到底及ばないと思いますが」
「今はこのような状況ですから、身分だなんて関係ありません。そこの方が何かしらの力をお持ちなのは風の噂で聞いています」
「わ、私は決してそんな力などは」
俺の方を見つめながらそんなことを仰る王女様。俺は思わずドッキっとしてしまう。
(男なら耐えられないセリフだよなこれ)
見た目が女なのが非常に勿体ない。
「突然の申し出に戸惑われる気持ちは分かりますが、今この国には、世界にはあまり時間は残されていません。ですから少しでも力になりたいんです!」
「お、王女様、頭をあげてください」
頭を下げてまで頼まれてしまった。何て国思いの人なんだと俺は思った。きっと彼女は誰よりも国のこと、世界のことを思っている。だからこうして俺達にも頭を下げられる。
だから俺もその思いに答えたくなった
「あの、王女様、一つ聞いてもいいですか?」
「王女様はこの世界を変えられると信じていますか?」
「はい。私一人だけの力では微力ですが、手を取り合えば変えられると信じています」
「なら、私達がその思いに力を貸すというのどうでしょうか」
「ちょっとユウ、王女様に手を貸してもらうのは」
「違うよお姉ちゃん。私は王女様に協力するってだけで、貸してもらう訳じゃないよ。それならいいでしょ?」
「それなら、まあ」
本当に信じられないような話だけど、願っていることが同じである以上、手を取り合うのが一番だと思う。転生して二日目の人間が何を言っているんだと言われそうだけど、どんな事だって一人より二人、二人より三人の方がいいに決まっている。
それはどこの世界に行っても変わらない。
だから俺は王女様の目の前に立ち、手を差し出した。
「私はユウって言います。失礼なことを言ってしまう時もあると思いますが、よろしくお願いします」
そしてその手を王女様はしっかりと握り、こう言った。
「私はサラスティア王国第一王女、アーニスと申します。これからよろしくお願いします、ユウ様」
こうして俺の本格的な異世界救世録は、この王立図書館で本格的に始まりを告げた。
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アーニスが城へ戻り、俺達も準備のために一度帰宅することになった。
「ねえ、あなたリュウノスケって言ったっけ? 一つ聞いていい?」
帰宅して久しぶりに俺とティナが二人きりになった時、ふと彼女がユウにではなく中の俺に話しかけてきた。
「何?」
「王女様まで巻き込むか立ちになっちゃったけど、ちゃんと責任とれるの?」
「責任?」
「言っておくけど世界を救うからって、何でもかんでも好きにして言いわけじゃないの。この世界にだってこの世界のルールがある。あなたが今日したことはそのルールを破ったことに近いの」
ティナの言葉がいつになく真剣だった普段とあまり変わらないように聞こえるけど、その声色からは恐怖すら覚えた。
「郷に入っては郷に従えってこと?」
「私はその言葉は知らないけど、あなたが住んでいた世界とこの世界は違う。もっと言うなら物語のように何でもかんでも上手くいく世界じゃない。それだけは忘れないで」
「肝に命じておくよ」
俺はそれに対してそう一言述べることしかできなかった。
たった二日。
たった二日しか一緒にいただけの関係だ。簡単に信用が生まれるわけがないのは分かっていた。むしろマイナスになっているかもしれない。
「ねえティナ」
「何?」
だからここからはユウではなく夏目龍之介としての言葉を言わせてもらう。
「ティナは憎い? 私のこと」
「リュウノスケならもちろん憎いわよ。でも憎んでも何も始まらないでしょ?」
「うん。でも私もティナについてこの二日で思ったことがあるの」
「思ったこと?」
「ティナが憎んでいるのって夏目龍之介じゃないでしょ」
「な、何よいきなりそんなこと! あなたに何が分かるの?」
「分からないよ。でもそれはこれから知るよ」
この二日間、彼女と会話して思ったことがある。それは彼女が抱いている俺への憎しみについてだ。
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