非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私のぶくぶく。と俺のつけたい名前

百六十六話






【新転勇人】






「ちょっと、え?何勇人くん言ってるんです」
 嬉嬉としてパンツを取り出していた円香はそれを床に落とし、唖然とした表情を浮かべていた。
「え、え……い、いやでも待ってくださいよ!」
円香は落としたパンツを拾って広げてみせる。
「ほら!似合ってますよ勇人くん!これ勇人くんのですよ!」
「いや、俺のではないですねはい。」
遠近法を駆使して俺に着せてみせる円香に無慈悲に告げる。
「多分それ円香のお父さんのやつだよ」
さながら画家のような格好で動きを止めた円香画伯。
目をぱちくりさせ瞳だけでパンツと俺を交互に見る。
「ネマキ、キテル」
「うん。着てる。」
パンツの悪魔と契約してしまった我が愛しの円香さん、このまま「パンツクウ。オレオマエノパンツスキ」とか言いかねない。
「パンツ、ハイテナイ……?」
多分この顔、漫画やアニメなら口から煙が出てるよね。もう思考停止しており「ハイテナイ……?ハイテナイ?」とうわ言のように繰り返している。
さすがにここでズボン脱いで「安心してください。履いてますよ」とか言えないしなんならそっちの方がこの子興奮するだろうし。
「あの円香さん?」
「ン」
ほらもう“ん”だけで物事要求してくる男みたいになってるし!
ホントそろそろ目覚ましてあげないと、いろいろ失っちゃうよこの子。
「あのね?」
「ン」
「ほら、将来結婚してから楽しんだ方が良くない?」
ここは最終手段に出ることにした。
結婚のワード出したらさすがに人に戻ってくれるでしょ。
ねぇ?
円香さん……?
「ケッコン……チギリ……」
まどか……さん?
「ケッコン……え!?結婚!!!?今!?」
「今じゃねえよ」
針が千本ありそうなツッコミをしてしまった。
でもこれで伝わってくれないと厳しいけど……。
「じゃあいつパンツ?」
「うんうん結婚ね?パンツじゃなくて。結婚ね?」
今まで俺が結婚とかそういうワード避けてきたからびっくりしてるのか思考回路が渋滞してるようだ。
「勇人くんは結婚したいですか?」
タラちゃんみたいな喋り方になってるのは置いといて、
「まぁ俺だって円香に負けないくらい円香のこと好きだし。将来的には?まぁ?そりゃあ?円香と生きてきたいよ。うん。」
瞬間、ぴかぁっ!と見たことないくらい嬉しそうな笑顔になってくれた。
今だ!と、俺は彼女に畳み掛ける。
「ほら!じゃあその未来の旦那様のものじゃないパンツはどうするの?」
「っ!!こうしますっ!!」
円香はそれを床に――じゃなくて引き裂いたァァ!!?
「よし!完璧ですねっ!」
「ソ、ソウデスネ……」
えなにあの力……化け物になった反動でもあるの?おかしくない?こんなことしてとびきり笑顔なのもおかしくない?それとも俺がおかしい?なに?え?
「で、どうします?」
「どうって?」
円香は指を立て当たり前と言わんばかりの表情で、
「私は3人がいいです!」
「子どもの数!?しかもいつものぶっ飛び方よりリアルで生々しいな!」
「もっと言うと男の子男の子女の子がいいです!」
もうパンツとかどうでも良くなっているであろう脳はきっと野原で将来授かる子どもと追いかけっこしてるみたいな妄想に勤しんでるのであろう。「あはは〜待って待って〜」「ぱぱ〜」「んー?どうし」「ぱぱは私のものです!」いやなんで?どんな道筋で妄想膨らませても円香なら我が子と張り合うだろうなあって。だって今でも多分あれだよ?ほら、雨とか湯船とかにも張り合うよ?「勇人くんに密着できるなんてずるいです!」って。
おもしろ女の子じゃん。
「で、勇人くんは?」










「で、勇人くんは?」
さっきと全く同じテンション!!?まゆ一つ形変わってないじゃん!アンドロイドなの?パンツアンドロイドtype-Mなの!?
「な、なんだっけ?円香が雨に嫉妬する話?」
「ん?勇人くんは何言ってるんですか??」
いやそんなまともじゃないやつを見る目で俺を見ないで!?どう考えてもパンツ額縁に入れてる人の方がまともじゃないよ??
「普通に将来授かりたい私たちの子どもの人数ですよ!」
「んー、正直これといって考えてなかったからなぁ」
「つけたい名前とかも?」
「うん。けどあー、真面目な話するなら、円香との子どもなら何人でも嬉しいよ」
「っ……!」
野球チーム作りたい!とかFC円香作るぞ!とかそんなつもりもないしね。
「でもつけたい名前かー全然考えてなかったや」 
太郎とか花子は在り来りすぎ?
じゃあなんかふたりの名前合わせるとかは!?よくない!?すごいいい気する!
「円人?まどとはちょっと変だしなぁ。いや!勇香!!ゆうかはいい!読み方変わるけどいいんじゃない!?」
いやでも女の子に勇はないか?んむぅ。
「って、円香?なんかさっきから大人しくない?」
名前なら決まってますよぅ!勇人です!勇人にします!女の子なら勇子です!とかネジ飛んでんじゃねえかってこと言うはずなのに。
「そ、そ……」
そ?そなんて名前に入ってないし、なんな別の名前でも――
「そういうとこですよ!勇人くんっ!!」
そう言って円香は部屋から出ていってしまった。
「ちょ、っと……え?」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ之ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ……………………俺が今何したのよ……?




【新天円香】




「もうっ!本当にああいうところがずるいんですよねぶくぶく」
なんでああいうことサラッと言うんですかね。ぶくぶく。
だって何人でもいいってぶくそんなのぶくぶくぶくぶくじゃないですか!
「もーーー」
なんで急にあんな天然かましてくるんですか!てか私だけじゃないですよね!?あれはもうクリティカルですよね?挑戦者!挑戦者!挑戦者!挑戦者!挑戦者!のクリティカルですよね!??ぶちかまされてますよね!?
「うー何人もっていうのが頭に響きますぅ……」
詳しくはR指定かかるので言えませんが……言えませんがぁ!

「も、もういいです!」
私は意を決して湯船から出ました。
「一旦忘れてお泊まりを楽しみます!そうしましょう!」
忘れるというより意識しないに近いような決意を込めお風呂のドアを開けました。




【新転勇人】




「で、どうしてこうなった?」
「え?どうしました?」
うん。
何がおかしいんですか?みたいな目で見られても困るよ?
「いや、どうもこうも、厚着しすぎじゃない?」
俺の予想だと普通の部屋着か生地が薄すぎるTシャツとかで来ると思ってたんだけど、なんでそんな厚着どころの騒ぎじゃない格好してるの?
「体調悪いの?」
「いいえそんなことは全然全くこれっぽっちもないです」
ふむ。
「じゃあ気分が悪いの?」
「いいえそんなことは全然全くこれっぽっちもないです」
ふむふむ。
「じゃあ頭が悪いの?」
「いいえ?そんなことは全然全くこれっぽっちもないです」
ふむふむ。
「じゃあじゃあ、服の中に俺が脱いだ服とか隠してるの?」
「そんなはしたないことしませんよ!失礼しちゃいますね!」
くるくるくるっ……ぶすっ。
「じゃあなんでそんな厚着になってるの?」
「……だって、」
「だって?」
すると円香は、弱く暖かな電気が着いている部屋で、ガバッと体を起こしてこれ見よがしに身体を見せつけてきた。
「勇人くんがそんな餌に飢えた獣みたいな目で見てくるから!」
「えぇ……?」
いや部屋来た時からその格好だったじゃないですか。
「勇人くんのせいですよ!!」
「いや、それ戻ってきた時から――」
「勇人くんのせいなんですっ!!」

ッスーーーーーーーーーッ。

ま訳わからんこと言うのはいつもの事だしいっか。

その日。
円香はうーうー唸りながら暑苦しそうに寝ましたとさ。






お久しぶり。
【リアルが落ち着いたよ】っていう話と【書くの久しぶりで書き方変わってないかな】って話どっちが聞きたい?

うん。
うんうん。

なるほどね。
分かった。

じゃあ【カメレオンの舌は体長の2倍ある】って話をしようと思います。
さて次回は、
【じゃんけんの時、最初はグーじゃんけん、のセリフを音速で言ってパーを出すと8割型勝てる】
【攻めの反対は?の質問に対して受けって答えるとオタクがバレる】
【足の小指をタンスの角にぶつけると痛い】
の3本でお送りします。

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コメント

  • 大橋 祐

    ごめんなさい。もう流石にないやろと思って読むの遅れてました。
    まさか更新されるとは(失礼)
    井戸さんまたよろしくお願いします。

    1
  • 神崎律

    めちゃくちゃお久しぶりです!
    井戸様で生きてて良かった…

    1
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