非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の結婚観と俺の電話

百四十七話






【新転勇人】






「仕方ないですよ。」
「ホントごめん……」
「私だってリビングに行ったと思いましたもん。」
円香の部屋で二人。
そこで必死にフォローしてくれる円香。
ただ俺があそこで間違わなければ……。
それを思うとどんな言葉をかけられようと俺は……。
「でもどうします?結花さん明日学校休ませますか?」
「そうだなぁ……何してくるかわからないから俺も家に居ようと思う。俺が引き起こしたことだからな。」
今の俺には結花のそばにいて守ってやることしか――
「こら!」
「いでっ」
顔を伏せ、今後のことへ考えを巡らせていた俺の頭へ円香の手のひらが飛んできた。
痛みを食らわせるためではなく、俺の意識をそらすのものなのだろう。
円香は叩いたところを撫でながら続けた。
「一人じゃないんですよ。何度言ったらわかるんですか?」
霧がかった俺の頭を晴らすように。
優しく淡々と、心に寄り添うようにして。
「夫婦っていうのは互いに足りない部分を補っていくものだと思います。悩みがあるなら共有して半分こしましょうよ。私も一緒に悩みます。一緒に苦しみます。」
「円香……」
「幸せも半分こしましょう。二人で一緒に楽しんで、一緒に喜びましょう。二人だけでも文殊の知恵です!」
この笑顔に一方的に助けられてるんだけどなぁ。
円香が俺の妻でよかった……。
「もちろん思想も半分こなので、今度から私を紹介する時は“妻の――”って紹介してくださいね!」
おっと危ない、感動ムードに騙されるところだった。
夫だけにね☆
まぁでも、
「ありがとう」
「いいえ、勇人くんの伴侶として当たり前のことをしたまでです」
今だけは、今だけはつっこまないでおこう。
俺は円香の手を取って立ち上がる。
すげぇ喉が渇いたからいただいたお茶を一気に流し込み円香へ目を向け言う。
「二人だなんて言わずに三人目を助けないとね」
「はい!結花さんもいれば三人寄れば文殊の知恵です!」
俺のせいで招いてしまったことを一緒になって考えてくれる彼女がいてよかった。
円香で良かった。


「ん電話か」
キリッとかっこつけて決め台詞的なことを言ったのにも関わらず間が悪い電話がかかってきた。
「真結からじゃないですか。どうしたんでしょうか」
小首を傾げながらもその電話をとる。

『勇人くん大変なの!』

第一声、電話口から囁かながらも気迫のこもった左道さんの声が響いた。
嫌な予感が頭を駆け巡り、幸せで満たされていた脳内が途端に黒に染まった。
声も出せず、続く左道さんの言葉を聞くことしか出来なかった。

『結花ちゃんが通ってる学校の裏の公園まで来て!円香は……来ない方がいいと思う』

「なにがあった?」たったそれだけの事なのに声が出ない。
自覚出来てしまうほどに手が震え、肋が砕けるような錯覚を得るほどに心臓が活動し。

『とりあえず早く来て!結花ちゃんが――』

結花、その言葉を聞いた途端居てもたってもいられなくなった。
それを考える前に体は動いて、「おじゃましました」とも告げずに円香の家を出ていた。
足は左道さんから聞いた公園へ向け。
先程まで円香が言っていたことなんて頭の片隅にすら残っていなかった。

「結花……結花……っ!」

口から零れるのは大事な妹の名前のみ。

「結花……ッ!!」
どうしてこんなにも早く?
あのあしですぐに結花を?
まず、どうして結花があいつらに従ったんだ?
まさか無理やり?

脳内には様々な疑問が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返していた。
熱くなった頭でそれを処理することは不可能で、ただただ足を動かす。


妹の、結花の元へ向かうために。






あのねぇ、割とマジで体調崩してた。
色々出た。
だからみんなが井戸をバカにするようにしてたコメントも全部前向きに見れたわ。
ありがとね☆
言われた通りによく寝たよ☆
そしたら治っちゃったっ!テヘッ
みんな親切にありがとぉ!
ぁたしぅれしぃ!
みんなのぉかげでぇすっかりげんきだょ!
ぁはっ☆

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コメント

  • Karavisu

    本文にさりげなくネタぶっこんでる

    1
  • 猫ネギ

    薬やめようね?

    1
  • ミリオン

    どんどん更新してね!

    0
  • ノベルバユーザー134974

    こじらせたか
    急いで病院行った方がいいぞ

    1
  • ルカ

    話の続きが気になる!

    1
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