非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の結婚相談と俺の親父のイイハナシ

百四十話






【新転勇人】






「……僕の彼女です」
結局「お義父さまとお話させてくれるなら今回は見逃しましょう」という海外テロ集団なみの交換条件を突きつけられ、乙女の準備とやらで数分部屋を追い出されて今に至る。
結花は服を脱がない約束をして自分の部屋に戻した。
俺のいない部屋で何をしていたかは分からないが、ごく稀に、本当にごく稀に左道さんから買ってる円香コレクションが見つかったらまずかった。
まぁ二、三枚しかないんだけどね。
「さ、先程ご挨拶をさせていただいた新天円香でち!」
初っ端から盛大に舌をかんでしまった円香。
「いたいですー」と舌先をペロッと出しながら俺の方を向いてくる。
いや、そんな「どうにかしてください」と言わんばかりの涙目で言われても無理なものは無理だよ?
逆に何をしろって言うのさ。
親父はそんな円香を見て、笑いながら言った。
「かわいいね、おじさんと結婚する?」
「いやっ、あの、それは……」
「おいなに変な事言って困らせてんだよ。母さんに言いつけるからな!」
「あー!それだけは!さっきも言ったけど何故か無視されてるんだから!なにとぞ!」
スマホ片手に親父が飛びついてくるのを抑え込む。
「まぁ母さんこの間帰ってきたばかりだから戻っては来ないだろうけどさ」
「え何それ俺聞いてない」
親父が遠い目をして動きを止める。
ホントこの人喜怒哀楽が激しいな。
いうて喜怒哀楽の「怒」の部分は見たことないけど……。
「あっそ」
親父をもう一度ソファへ座らせて、隣で小声で「あめんぼあかいなあいうえお」と繰り返していた円香に目を向ける。
「勇人くん勇人くん!そろそろあの話をしてもいいですか?」
俺の目線に気づいた円香が、小声で耳打ちをしてきた。
あの話?
さっぱり分からない……どの話だ?
本かディスクか、の話か?
それとも『もっかいしよ事件』についてか?あの話を自分から言うのか?


俺があれやこれやと考えているうちに、沈黙を肯定ととってしまったであろう円香か咳払いをひとつして、口を開いていた。
「お義父さま――息子さんを私にください!」
床に膝をつけ、頭を床に擦りつけるように腰を折って言った。
つまり土下座だ。

「「は?」」

いやいやいやいや、は?
珍しく親父と波長があった気がするよ。
「――息子さんを私にください!!」

いや、聞こえてなかったわけじゃないからそれだけは安心して?
反応に困ってるの。
それより頭上げよ?

だって、なんの話だろうなぁって考えてたらいつの間にか正解出てるんだもん。
衝撃度で言ったら、クイズタイムショ○クで一問目答える前に椅子回されてるのと一緒だからね?猶予なかったから!
今何問目?ってしたかったよ!!
「ダメ……でしょうか……?」
顔を上げた円香の表情は、真面目も真面目、大真面目な表情で少し考えてしまった。
だが、少し考えれば答えは出てるだろう。

「ダメに決まってるでしょ」

「良いに決まってるじゃん」

「「あ?」」
前言撤回波長はこれっぽっちもあってなかったわ。
「な、なんでですか勇人くん!お義父さまはいいって言ってるじゃないですか!」
立ち上がった円香が俺の肩を掴んでブンブンと前後に揺らしながら尋ねてくる。
親に許可取れちゃった円香には敵無しなのか……。
だが俺はここで甘えさせない!
何かを得るには何かを捨てなければいけないんだ。
この場合、永遠の幸せを得るために、数年の時を恋人として過ごすことでそれが成立する。
だから!!
「親父は!ね!?俺はまだ年齢的に足りてないしそもそもお金が無いと二人で生活できないでしょ?」
「お金なんてなくても愛さえあれば大丈夫です!」
「お金無いと同棲できないよ?赤ちゃんもダメよ?」
「うぅ……セミダブルのベッドで寄り添いながら寝たいですし、勇人くんとの赤ちゃんはほしいです……」
お、おう……やけにはっきりとした未来予想図だな……女の人は現実的っていうしやっぱり未来予想図IIくらいまでは考えているのだろうか。
「円香ちゃん。」
何やら神妙な面持ちで親父が円香へ何かを諭そうとしていた。
…………割と根はしっかりしてるもんな。
「おじさんたちはお金ない時に結婚して、ここまで来れたから今すぐでも大丈夫だよ」
「おいコラ」
よくよく考えたら根がしっかりしてる親だったら、運悪すぎるのにギャンブルで大金スったりしねぇよなァ!クソが!
「でもね?覚悟は必要だよ?周りのママ友には嫌な目を向けられるかもしれないから。」
どうした親父。無理しなくていいんだぞ。
「はい。」
無理すると円香が真面目に今すぐの結婚を考えちゃうから。
「それに、おじさんたちはまだ結婚式を挙げてない。理由は言わずもがな結婚当初はお金がなくて式があげれなくて、そのあとすぐに瑠璃子さんが忙しくなったから時間が取れなかったんだ。だから、すぐに結婚式をあげたいのならお金を貯めてからの方がいいかもね」
いやホントにどうしたの?
「まぁ息子の式台くらいなら全然出すから安心してほしいって言うのが本音だけどね。」
生活費はスるくせに……なんて言えねぇよ。
割と真面目に喋ってるんだもん。
真面目に円香を諭してるんだもん。
「けど、今すぐってのはオススメしないかな。まぁ互いに今すぐ結婚したいって言ったら別だけどね。」
「お義父さま。」
「なんだい?」
「また数年後にお願いしに来ます。」
「わかった。大事なのは相手のことを想うこと、だからね。」
「はい!」



イイハナシダー。
色々突っ込みたかったけど、真面目に話してる親父とそれを聞く円香を見たらそんなことできなかったわ……。
でもあの円香が今すぐの結婚は諦めると……。
初めて親父の背中がでかく見えるよ……。

「でも覚えておいて?おじさんの息子だからね?本当にいいの?」

おい俺のさっきまでの気持ち返せよ。
涙出かけてたんだからな?
何自分で言ってんだよ。

「大丈夫です。お義母様の子でもあるので」

おぉ……ここで出てくるか辛辣円香……。
「さすが円香ちゃん。これなら勇人を任せられる」
なに目尻にちょっと涙溜めてんだよ。
気づいてないの?
遠回しにバカにされてるんだからね?


「はい!ありがとうございます!任せてください!!」


なんか近々優香さんにご挨拶させられるかもしれないな……。










俺たちの馴れ初めや、勇人くんのカッコよかったシーンランキングとかを永遠と親父に語り、すっかり満足でホックホクな円香が口を開いた。
「何か勇人くんの昔話みたいなのってありませんかね。私気になります!!」
僕気になりません!!
「あーあるよ!あれは勇人が二歳の頃だったかなぁ」
嬉々として語り始めた親父を止めるべく、身を乗り出したその時、リビングのドアが開き、結花が顔を出した。
「そろそろ帰るって」
結花の後ろから例のあいつが顔を出した。
「おじゃましましたー。新天さん、また喋りましょ!」
……人の彼女に気安く喋りかけやがって…………許さんからな……。
「気をつけて帰るんだよー」
親父は口に手を当て響かせるようにして彼に声をかけた。
リビングのドアが締まり、靴を履く音と、衣擦れの音がかすかに聞こえる。
結花となにか喋っているようで、二人の声もかすかに聞こえた。
……………まって?
さっきあいつなんて言った?
“また”喋りましょ!
って言わなかったか?
「円香!?あいつになんか変な事言われなかった!?」
「おい勇人!その言い方は――」
「ちょっと黙ってて!」
「父さん悲しいぞ……」
伏せた顔からチラチラ目線を向けてくる親父は無視して、円香へと視線を向ける。
「ほら!俺がいなかった時にセクハラとかされなかったか!?」
「あ、それは安心してください。ただ、勇人くんの方が魅力的だと話していただけですから」
「良かったぁ……」
心からの安堵のため息が漏れた。
何かあったらどうしようかと。
てか慣れたと思っても、面と向かって褒められると照れるな。
「父さんも瑠璃子さんとそんな話したい」
「じゃあまず土下座の写メ送りな。写真なら撮ってあげるから」
「それで許してくれるかな?」
大の大人が泣きそうになってるんじゃねぇよ。
許す許さないじゃなくて、
「母さんは絶対に許さないでしょ」
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
親父はものすごい勢いで床に頭を擦り付けた。

円香の笑い声、俺の笑い声。
まさか親父のことで一緒に笑える日が来るなんて思ってなかった。



親父がおバカすぎて。










なんで反応してくれないのォォォォン!!

なんで割とコメントくださる方々が急にコメントしてくれないのォォォォン!!

名前は出さないけど、プロフィール画像がやけに美少年だか美少女の黒っぽい名前の方とか!

最古参二人組の王様っぽい名前の方とノベルバナンバー81なんちゃらさんとか!

ムカデっぽいのとか桜っぽい名前の方とか!

あとカルナ!君もだ!!

なんで君たちはジト目のときは結束力半端ないのに井戸のことは無視するのォ!

寂しいぃ!!

ね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛!!

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コメント

  • アキ

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  • 猫ネギ

    お、おう

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  • ミリオン

    頑張って

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