非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の先生と俺の先生

百三十三話





【新転勇人】





俺たちはいつも通り部室に来た。
「先生怒らせちゃったでしょうか」
「いやあの人ただ嫉妬してるだけじゃない?」
先生を待ちながらそんな言葉を交わす。
いつも誰よりも先にいる左道さんや、ちょこんと端で静かに佇んでいる三郷さんがなぜかいない。
「みなさん遅いですね」
「そうだね」
円香は寂しそうに目を伏せる。
「――はーい先生ですよー」
円香の様子を伺っていると、いつもとは雰囲気の違う由美ちゃん先生が入ってきた。
心做しかいつもより声に怒気が込められている気がする。
なんかやばい予感がする……。
「で、なんで呼び出されたか分かってる?」
「……はい、勇人くんといちゃいちゃしすぎたかなぁ……とは」
「はぁ」
円香の答えに対し、露骨にため息をもらす先生。
円香はビクリと身体を震わせ俺へ横目を流す。
先生の雰囲気にあてられたのだろう。

そして、先生がゆっくりと口を開いた。
「先生がイチャつくなって言ってるのは、まぁ嫉妬っていうのも三割くらいあるけど、残りは、今日みたいに互いのことに気を取られて大事な話を聞かないことが起きないようになの。」
「ぁ……」
言葉が出なかった。
正直な話、婚期の亡者、天からの糸を切られた女とか思ってた。
由美ちゃん先生はあくまでも先生で、友達でもなんでもないのだ。
「まぁイチャつくなっていうことじゃないの。ただメリハリをつけなさい?あくまでも学生なんだから」
「はい」
「……はい」
俺は心に刻み付けるように頷く。

先生は、ただ婚期を逃して恋愛という名の海をさまよい歩いてるだけの人ではなかった。と。
メリハリをつけて、円香を引きはがす時は引きはがす。
優等生の鏡だったあの頃の円香に徐々に戻していく。

「分かってくれて嬉しいわ。じゃあもう先生出てくね。イチャイチャは程々にね!」
最後の言葉に凄い皮肉を感じたけど、先生はゆっくりと部室を出ていった。
「勇人……」
「うん。」
円香はいつになく肩を落とし、反省の色がビシバシ伝わってくる。
「私少し自重しますね」
「おぉ!」
思わず声が出てしまった!
今日のことが原因だろうけど、やっと伝わったんだな!
なんだか涙が出そう……。
出ないけど。


「……じゃあ帰ろっか」
「はい!」
そんなこんなで、先生に叱られ、円香も分かってくれた有意義な日になった。











すまぬよ。
火曜日から熱出て寝っぱなしでしたー。
現在、熱は下がったのですが咳や怠さはまだ残ってます。
食事をとるかのように薬飲むので水曜日には完全復活であとがきも、風邪菌で脳がやられているので頭おかしい感じに仕上がると思います。

ごめんねなんか。
井戸って普段インテリで頭おかしいイメージなんてないだろうからびっくりすると思う。
先に謝っておくよ。ごめーん。

コメント

  • Karavisu

    お大事にー

    1
  • ミラル ムカデ

    お大事に……

    1
  • ノベルバユーザー81968

    お大事に

    2
  • うみたけ

    お大事に

    4
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