非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の一年半後と俺の否定

百二十六話






【新転勇人】






「京佳、将来はどう考えてるの?」
そんな声が上がったのは、ももちゃん先輩本人が、金霧先輩への説教で疲れ果てた時だった。
「将来?ん〜……保育士さんになりたいかなぁ」
「保育士!?先輩が保育士!!?」
浅見くんは目をキラキラさせて先輩へ肯定の眼差しを向ける。
「あ、浅見もいいと思う?」
「はい!そりゃあ先輩が保育士になるなんて!あ、いや、まてよ?変態父親が来るかもしれないな……」
先輩を心配する浅見くんかっこいい。
脳内は酷いことになってそうだけど。
「大丈夫、ももちゃんがいるから」
「えまって私まで保育士になるの?」
「うん、ももちゃんが必要」
「うっ……」
まさかももちゃん先輩まで?
「そ、そこまで言うなら考えなくもないわ」
「さすがももちゃんちょろ……優しい会長だね」
「ま、まぁね。親友だから」
顔を赤らめながら照れるももちゃん先輩。

・生徒会長
・クール系
・ちょろイン

ギャルゲーでも全然メイン飾れるレベルなももちゃん先輩。
さすがすぎますよ。

「浅見もももちゃんいれば安心だよね?」(鋭い眼光)

「そ、そうっすね、ももちゃん先輩いれば安心して送り出せますね」

浅見くんは先輩への同意を全身で表現しながらそう言った。
先輩すげえな。
あんな鋭い眼光から一気に優しい目付きになったもんな。
「勇人くん」
「ん?どうかした?」
隣に座っていた円香がなんだか不安げな表情で俺を見上げていた。
「わ、私、三年生の範囲もある程度までは予習しているんですけど、なにか先輩の力になれませんかね……?」
「マジかよ天才すぎない?」
あっ、つい口から出てしまった。
いやでも、仕方ないでしょ!?
だって高二のこの時期だよ?
やばすぎるでしょ……。
「ま、円香こそ卒業したらどうするの?」
そんな頭良かったら国立大の良いとこ狙えるでしょ。
「え?嫁ぎますよ?勇人くんの家に」
「ん?頭悪い?」
「?」
はて?と顔で本気で自分の考えが間違ってないと思っている円香。
俺はこの子をどう矯正すればいいんだろう。
「既に私の人生は勇人くんと共にあるのですがなにかおかしいですかね?」
…………そういわれるとちょっと……何もいえませんね……。
いや!ダメだ。
ここで甘やかしたらそれこそ高校卒業してすぐ結婚ルートだ。
土台を組まずに家を建てるようなものだ。危険すぎる。
どうにか円香にわかりやすいように伝えねば……
「円香?もし試験の時にシャー芯を忘れたらどうなる?」
「元々入ってた芯で頑張るしかないですね」
「だよね。じゃあ、卒業してすぐ結婚したらどうなる?」
「幸せになります」
ダメだ。早く何とかしないと。
これは現実を突きつけるべきなのか?
「勇人くんと結婚したら毎朝顔を合わせられるんですよね?」
あーもう妄想タイム始まっちゃったよ。
「もちろん同じベッドで寝ますから、セミダブルくらいの方が二人の距離が近くて……きゃっ!」
何考えてんの俺の彼女。
同じベッドは良いとして距離近いほうがいいからセミダブルっていうのは違うと思いますよ?
「あとはあとは、いってらっしゃいのちゅーしたり……えへ♡」
「おーい戻っておいでー、年単位で後の話だからねー」
俺は円香の眼前に手を泳がす。
だが一向に戻ってくる気配はなく……
「一緒の家で生活だなんて……破廉恥過ぎますよ!」
何故か俺の背中をバンバン叩いてくる。
照れ隠し!?照れ隠しなのそれ!?

「勇っち、早く新天をとめて。このままだとももちゃんが」

ん?いつも凛々しく可憐な生徒会長のももちゃん先輩がどうしてしまうんですか――

「同じベッドで……いってらっしゃいのキス…………はひっ」

「あ、壊れちゃった」


ももちゃん先輩の既にヒロインヒロインしている属性に、新たに初心が追加された瞬間であった。










「そろそろ俺たちも勉強しない?」
「そうだね」
「やっかー」
「え゛」
円香を落ち着かせ、ももちゃん先輩がショートから復活してひと段落ついた頃。
そろそろ円香の教科書暗記を披露して欲しくなったので、俺から声をかけた。
「どうやら円香は教科書暗記してるみたいだしね〜」
「左道さんの言う通り。だから勉強道具持ってきてないだもんね〜」
「あ、え、そ、そそそそそそそそうですよ!?私にかかればお茶の子さいさいなのです!」
必死に強がってる円香かわいい。
別に忘れてるって言ってもいいのに。
そんなことで怒ったり責めたりなんてしないし。
「さ、さぁ!勉強しましょう!そのために来たのですからね!」
けどこのまま泳がせておくのも面白そうだし、もうちょっとだけ様子見てようかな。





【新天円香】





どうしましょう。
ついにこの時が来てしまったのですね。
もちろん丸暗記なんて出来てないですし、そもそも分からないことだらけですし……。
もう暗記してると言ってしまった以上引けませんからね。
…………いや待ってください?
三人のサポートに徹すれば、暗記してる事実を隠せるのでは……?

そうすればきっと…………。



「円香、やっぱり君は天才だよ、俺、今すぐにでも結婚したい。今すぐ円香と一緒になりたい!」




「ふっふっふ……完璧ですね」
「どうしたの?」
「あ、いや、何でもないですよ?」
危ないところでした。
ついバレてしまうところでした。

この作戦が成功すれば、あと一年半後には……おやすみとおはようを目を合わせて言えるような関係に……んふ♡

「さぁ!分からないことがあればじゃんじゃん私に聞いてくださいね!ね!」





【新転勇人】





「円香、ここ分からないんだけどさ」
「あ、ここはですね、これを代入して、」
「ふむふむ…………じゃあこれで正解?」
「正解です!ぐっじょぶです!」
円香先生かわい……じゃなかった。
円香先生凄すぎ……。
何聞いても解き方教えてくれるんだけど。
本当の天才なんじゃないのこの子。
「あ、円香ー」
「どうしましたか?」
クッ……当初の予定だと教科書暗記でからかって赤面する円香を堪能する予定だったのに……ッ!
ここは左道さんに任せるしかない。
悪知恵の強さなら左道さんが一番だしな!

「あのさ、ごめんね。実は円香が教科書暗記したって話聞いて、さすがに無理だと思ったから勇人くんとからかおうって作戦立ててたの。」

「「………………え?」」
今なんて言ったこの人。
「いやだから、今見てて分かったけど円香ならありえちゃうんじゃないかなってだから白状しました。ごめんなさい。」
チラッと俺へ目を向ける左道さん。

この人まさか……ッ!

「ちなみに勇人くんは〜円香の照れてる顔が好きらしいよ」

円香がダメだからってターゲットを俺に切り替えてきた!?

「勇人くん……」

あぁ、ダメだ終わった。
振られるとかじゃない。
けどこれって絶対……、
「今度は私の番ですよね?」
やっぱり……水を得た魚、もといネタを得た円香だ。
意味は、というかこの状態になったら大抵はひとつ言うこと聞いてあげるとすぐに収まる。

「じゃあ勇人くん」

早速か。

「今日私とお風呂に入りましょう」


「………………もしもし、優香さんですか?あのぅ、円香調子悪いみたいなんで、お迎えに来ていただけませんか?」
「あぅー!嘘です!嘘ですからぁ!」

ネジ何本飛んでるの?どこで買ってこれるそのネジは。

「一緒にお風呂……はひ……」

ほらまたももちゃん先輩がァ!



そんなこんなで勉強会が幕を開けた。









上がってるドッキリ。

そしてコメント100ありがとう!!
これも全てこの世界に貧乳が存在してくれているから。
ビバ貧乳!ビバまな板!
ない胸こそジャスティス!!

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コメント

  • Karavisu

    最後まで諦めない never give up

    1
  • 猫ネギ

    貧乳は国宝だ!!

    3
  • ミリオン

    理想を貫け!

    1
  • ノベルバユーザー170248

    はひっww

    1
  • クロエル

    メインの貧乳よりもサブの巨乳達の方がインパクトある気が…w

    2
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