非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の好きなところと俺の不動

百二十三話





【新転勇人】






どうやらももちゃん先輩は本気で先輩を返さないようで、俺たち四人は先に学校をあとにした。
俺たち四人とは、俺、円香、真結、そして健気に昇降口で浅見くんを待っていた三郷さんの四人だ。
浅見くんは先輩を待つといって部室に居残り。
三郷さんには少し申し訳ないことをした。
俺らが降りてきた時めっちゃ輝いた目してたからなぁ。

それより大丈夫なのか……?
浅見くんが先輩に首ったけなのはもはや俺らの中では周知の事実なのに、実は無理して明るく振舞ってるだけだということはないのだろうか。
「奈々ちゃんは先輩のことどう思ってるの?」
ちょ、左道さん!?
いや、そんな「まぁまぁ見てな」と言わんばかりの目をされてもわかんないから!
俺が三郷さんへ向けていた視線で気づいたの!?
「せ、先輩は……だ、だだ大好きです……」
「そっか〜。なんで?恋敵じゃないの?」
ちょっと三郷さんぶっこみすぎでは?
いつにも増して手が震えてる気がするよ?
ほら、足を止めて大きな胸の上に置くようにしちゃってるし!
「で、ですけ……ど……私、頑張りたくて……」
「どうして?」
記者魂なのか、ただの興味なのか。
左道さんの怒涛の質問攻めが続く。
でもそれら全てはどこか確信を持って尋ねているようだった。
「好きだから……先輩のこと……人をこんなに好きになったことないから……」
「そっか。じゃあ、恋愛の先輩にでも聞いてみる?秘訣とかさ」
と言って円香を横目に見る。
「え、あっ……私!?」
「あ、あの!おふたりともお似合いで、仲良しさんなので……き、き聞いてみたいです……」
「あ、仲良いですか?そうですかそうですか〜…………んふ」
円香気づいて!!喜んでる場合じゃないよ!左道さんは円香を嵌めようとしてるんだよ!?
「ではお教えしましょう♪」
あぁ!もうダメだ!上機嫌だ!
「あのぉ……円香さん……?」
「あら!どうしました勇人くん?あっ!さては勇人くんも」
超ご機嫌じゃん。
聞く耳持たないよ。
「いやでも勇人くん照れ屋さんだから……」
あれ?部活での出来事忘れちゃったのかな?

こうなったら俺も強気で出るしかない。

きっと数ヶ月前の俺だと距離感とかどう思われてるとか気にして苦笑いで済ませてたかもしれない。
でも、最近はいろんなことが起きすぎてそろそろ馴れ馴れしく……というか打ち解けた距離感でもいいことが分かったからな!
「じゃあ円香から先に教えて?」
「いいですとも!まずはですねぇ!優しさですね!」
「と、というと?」
よし、落ち着くんだ。
声は震えてなかったはずだ。
俺は動揺しない強い男。
そう、不動明王だ。
よし、俺は不動勇人。俺は不動勇人。
「こうやって私の話を親身に聞いてくれるところですかね♪」
「くぅ……それはずるいだろぉ……」
円香も何かを学んだのか、俺の心を鷲掴みにするような魔性の笑みで俺へ視線を送っている。

そんな円香の可愛い笑みにまんまとやられてしまった不動(笑)勇人こと俺は話題を変えるために三人へ声をかける。
「せ、先輩の進路で思い出したんだけど――」
「で、二つ目も教えて円香」
左道さんめェ……。
絶対あの顔は楽しんでるよ。さっきまで円香を見て楽しむつもりだったろうに!
「ん〜二つ目は……私が言うのもなんですが敵が多いのに、私のことを好きでいてくれているところですかね。」
そりゃあ誰が敵でも円香の心を渡すわけがないが……んむぅ、なんだかむず痒いな。

「へぇ〜ですってよ、彼氏さんや」
くそぅ……人が狼狽してる姿が相当お好きなようで!
「三郷さん、左道さんのことあんまり信用しすぎない方がいいよ?」
「あっ!そうですそうです!今はたまたま私の味方をしてくれただけで、普段は私利私欲を満たすためならなんでもするんですから!」
弾かれたように口を開いた円香は今までさんざん遊ばれてた不満をぶちまけた。
「えぇ〜、酷い言われようだねぇ。でも安心して奈々ちゃん!この二人嘘ついて私を嵌めようとしてるだけだから」
「で、ですよね……うん、そうですよね……」
だが効果はゼロ。
三郷さんは浅見くんだけではなく、左道さんにまで惚れてしまっているようだ。
初対面じゃあんなに写真撮られてたのに……。
…………解せん。
「もういいですもんね!ね!勇人くん!」
「そうだね!もういいよね!」
俺たちは手を取り合い二人の少し先を歩く。
「ねぇねぇ奈々ちゃん?実はあの二人ね、今やかなりのバカップルぶりを見せてるけど、最初はお互いにおどおどしてたんだよ」
「あ、あの御二方がですか……?」
「そうだよ。」
なにか嫌な予感がする。
こういう時の左道さんは余計なことしか言わない。
三郷さんに余計な知識を与えてしまう可能性がある。

だが、頭ごなしに会話を止めるのは気が引けるから少し話を聞いてみる。
「円香なんて勇人くんのこと好きすぎて顔を直視できないからって私に写真を――」
「あー!あー!真結!それだめ!だめです!あぁー!!あー!!」
円香が俺の元を離れ、左道さんのところで口を塞ごうとしてる。
「んー!ん、ぷはぁっ、でね?写真を――」
「もー!怒りますよ!?誰にも言わないって約束じゃないですか!」
「はいはいごめんごめん」
笑いながら平謝りする左道さんは「じゃあ〜」と俺へ不敵な笑みを向けると、

「勇人くんったら大勢の前で円香にキスしたんだよ」

「なんだ……そのことか」
そんなの今や誰でも知ってるでしょ。
オープンスクールの時、壇上で円香にキスした通称【もっかいしよ事件】。
現実を受け止めたくない男子生徒たちの盛大なバッシングにキレた俺が大口叩いて壇上で円香にキスをしたあの事件だ。
一時期はあの話でもちきりだったから知らないはずがない。
はずなのだが……、

「き、きしゅ……み、んなのまえで……きしゅ……はぅ」

爆弾だったらもう爆発してもおかしくない時のように赤みを帯びた頬を抑え、まるであの時の円香のように「きしゅ……」と繰り返し、結果、
「ちょっと奈々ちゃん?大丈夫?目が虚ろ虚ろしてるけど」
「だ、だいじょぶれす……きしゅ……」
おかしくなってしまった。

今思えば、もっかいしよ事件が円香の頭のネジが飛んでしまった原因なのかもしれないな……。
おぅ……なんて罪深い……。







左道さんが三郷さんを現実世界に引き戻そうと試行錯誤している中、円香スマホが可愛らしい音とともに通知を告げた。

「あ、先輩からメールです」
「ん?なんて?」
「えーっと……今日お泊まり勉強会するから来て。もちろんフルパで。だそうです」

先輩……メールに用語使うのやめましょうよ、微妙に意味違ってくるし、「みんなで」でいいじゃないですか。まぁらしいっちゃらしいけど。

「勇人くん!早く準備していきましょう!」
「でも家知ってるの?」
「あ」
まったく。
俺の彼女はおっちょこちょいなんだから☆
「家なら私知ってるよ」
「「えっ……」」
…………いや、左道さんなら家をしっててもあおかしくないか……うん、おかしくはない。
けど、俺たち二人の口から未だかつて無い全力の「えっ……」という言葉が出たのは是非とも左道さんには覚えておいてもらいたいですね。
「じゃあ、準備していく?」
「あ、あの、私も……」
「もちろん!」
「やった……!」


そして俺たちはそれぞれの帰路へ別れる道で再び待ち合わせを交わして家に帰った。
…………お泊まりか………………ん?まてよ?
家が大豪邸とかじゃないと女子と同じ部屋になるよね多分。俺と浅見くん以外一部屋に収まんないよね?
あれれ?
おかしいですよ?

なんかまた変なことになって円香が殺意をばらまく気がするぞ?






ア〇パ〇マ〇!
〇ン〇ン〇ン!

いや、なんかマジで怒られそうだねこれ。


あ、なんか最近「井戸って男?女?ついてる?ついてない?」みたいな質問されるんですけど、
逆にどっちだと思います?

例えば今までのあとがきとかを全部男が書いていたとしてどう思います?
逆に女が書いてたとしてどう思いますか?

んー、つまりは面白くなればどっちでもいいよね!
俺が男であっても小説に支障が出るわけでもないだろ?
うちが女だからといってぇ、小説が急にテンアゲしてもうバイブス高め?みたいな?そんなことにはならないっしょ〜?
もはや井戸は概念的存在として扱ってください。
男だと思えば男。
女だと思えば女。
さぁ、あなたはどちら側の人間ですか?

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コメント

  • Karavisu

    ニューハーフ ん決定!

    1
  • アキ

    男だと思う...

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    男かな

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