非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私のネタと俺のギャルゲ台詞
百十九話
【新転勇人】
「円香ー、そろそろ機嫌直して?」
「ふんっ!」
「もう……」
円香は浅見くんが先輩に言ったセリフをまんま言ってほしいとただをこねるのでしばらく聞こえないふりをしてたらすっかりご機嫌ななめになってしまった。
「勇人くんのばーかばーか」
「まど――」
ぷいっ!
…………はぁ。
「勇人くん、そろそろ奈々ちゃんの競技だよ」
「おっ、ついにか……」
ちょうど円香がご機嫌ななめだし、多分今から三郷さんの競技を見たら更に機嫌を損ねると思うし。
「というより何でこんなに開始遅いの?」
「大玉に穴が空いてたとかで始まるのに時間かかったんだって」
なんだそれ。
待機してた一年がかわいそうだな。
『続きまして一年生による大玉転がしです。当初は泥水の中から飴玉を探そう大会だったのですが、偉い人から怒られてしまったので急遽大玉転がしとさせていただきます。』
確信しました。
うちの学校は頭おかしいヤツしかいない。
「浅見くん、三郷さんのこと応援してあげないの?」
「あぁ、俺は先輩一筋だからな」
「へぇ〜、てことは少しは意識してるんだ」
「なんでそうなる!」
「いや、だってひとつも意識してないなら別に応援してあげてもよくない?」
詭弁だ。
でも好きな人からひとつも応援されないなんてかわいそうすぎる。
その先の結果は決まっていたとしても応援されたいに決まっている。
「俺が応援したらいつまで経っても俺を好きなままだぜ?自分で言うのもなんだが、俺は先輩以外なんて考えられない」
「でも、応援しなかったとして、それだけで君を諦めるような子だと思う?」
「それは……」
「では問題です。先輩は友達を応援しない彼氏と応援する彼氏、どっちが好きでしょうか」
どっちが好きかなんて俺が知るわけがない。
けどこう言えばきっと浅見くんは、
「わかったよ、応援するよ、けど、この応援で三郷に希望を与えて、結果的にあいつが泣くようなことになったら一緒に事情説明しろよな?」
「わかってるさ」
誰がどう見ても浅見くんの心が三郷さんに寄っていくことは無いだろう。
けど、この世界に人を好きでいてはいけないなんてルールはない。
恋愛にはルールなんて存在しないんだ。
………………ギャルゲ主人公が言ってた。
□
つまるところ、俺は応援とは別にとある理由があってこの競技を見ている。
ここで問題!
円香になくて三郷さんにあるものってな〜んだ?
「……揺れている……ッ!」
俺を最低だと罵るか?
それなら勝手にしろ!
お前らは例えば犬を飼ってるとしてテレビやペットショップで「猫もかわいぃ〜」ってならないのか!?
否ッ!
飼ってる犬とはまた別物として考えているだろ!?
それと一緒だ!
円香をペット扱いする訳では無い。
だがしかし!
三郷のいい所も見てあげるべきだと俺は思う。
「勇人くん別れましょうか」
「すいませんでしたァッ!!!」
前言撤回。
円香の方が揺れる。
主に大地とか。
「三郷ー!いけーッ!」
「ほら見てくださいよ浅見さんを。」
俺は、声を反響させるように口元に手をかざしながら応援する彼へ目線を移す。
「私へあんなことをした人だと思えますか?」
「い、いや……もしかして――」
「いいえ?当初は勇人くんへの嫉妬で私へ接触してきたのは許せない節もありましたが、合宿以降、むしろ私への接触で良かったなと。勇人くんに直接嫉妬をぶつけなくてよかったなと」
「そ、そっか。じゃあネタで言ってるのね」
「はい、ネタです。面白いですよね」
多分聞こえてたであろう浅見くんの背中が数回震えてたけど、心の広さに救われたのね。
「勇人くん!奈々ちゃん速いよ!」
「ホントだ、浅見くんの応援が効いてるのかな」
三郷さんは、自分への視線なんて諸共せず、なりふり構っていない姿勢で大玉を転がしている。
「勇人くん」
いつの間にかすっかり機嫌がよくなった円香が何かを乞うような、うるうるとした上目遣いで俺を見ていた。
「どしたの」
円香は一度俺から目をそらし深呼吸をすると、
「私にも浅見さんが言ったあの言葉を――」
「まだ覚えてたの!?何度言ったってダメ!」
「ぶぅー!」
可愛く拗ねて見せた円香。
かわいい♡
【左道真結】
奈々ちゃんの競技が終わり、部活対抗リレーが始まろうとしていた。
我が新聞部と最近ただの集まる口実と化した幸福部は特に報酬に興味が無いので辞退した。
報酬とは購買のパン一年間配給権だ。
部活が始まる時間に部員分全員にパンを配給するというもの。
動かずおしゃべりしている私たちには無縁の代物だ。
リレーの入場、整列が行われているさなか、私の地獄耳ならぬ地獄眼がグラウンドの端に何かを捉えた。
巨乳同士……奈々ちゃんと金霧先輩……?
なんかいや〜な予感がする。
バレないように足音を消し、近くの木の裏で聞き耳を立てる。
「…………あの子はあたしに首ったけだから」
「し、知ってます」
首ったけって今日日きかないなぁ。
「さっきプロポーズされたの」
「…………」
なるほど。
先輩も案外悪い人だな。
浅見のことが好きな奈々ちゃんにその事を言うなんて。
これは相当な修羅場になるのでは……。
「で、でも好きな気持ちは捨てられません……」
「ん、そういうと思ってた、だから勝負。あたしからあの子を奪ったらあなたの勝ち」
「ま、負けません……」
「あたしも」
修羅場になることを予想していつでも仲裁に入る準備はしていたのだけれどそんな心配は必要ないくらい平和的解決をみせた。
てっきり「もう関わんないで」くらいのことを言うと思ってたのに。
それにしてもゲーム好きなのは知ってたけど何でもかんでも勝ち負けをつけたがるのかしら。
なんか構えていたのに勝手に修羅場もどきが収束してしまったな。
消化不良。
……よし、戻ったら円香のことからかおう。
三郷さんが浅見くんを好きな以上、この話も書かないといけませんよね。
そして、そろそろ体育祭が終わりそうなので、次のお話の予告を。
それでは新天さん、よろしくお願いします。
あ、次回予告風なので最後に、次回と出ますが次の章、とかそういう意味なので。次から違う編という訳ではありませんよ。
それでは。
どうぞ。
は、はい。
え、えーっと……。
(エ〇ァ次回予告BGM)ポチッ
体育祭を終えた勇人くん一同。
しかしその先に待っていたのは先輩の受験勉強だった。
彼らを待つのは幸せか、それとも――
次回、新世紀非リアの俺が――第百二十数話。
『部屋の中心で勉強嫌だと叫んだ先輩』
次回も……さ、さーびすさーびすっ!
…………うぅ、恥ずかしいぃ。
【新転勇人】
「円香ー、そろそろ機嫌直して?」
「ふんっ!」
「もう……」
円香は浅見くんが先輩に言ったセリフをまんま言ってほしいとただをこねるのでしばらく聞こえないふりをしてたらすっかりご機嫌ななめになってしまった。
「勇人くんのばーかばーか」
「まど――」
ぷいっ!
…………はぁ。
「勇人くん、そろそろ奈々ちゃんの競技だよ」
「おっ、ついにか……」
ちょうど円香がご機嫌ななめだし、多分今から三郷さんの競技を見たら更に機嫌を損ねると思うし。
「というより何でこんなに開始遅いの?」
「大玉に穴が空いてたとかで始まるのに時間かかったんだって」
なんだそれ。
待機してた一年がかわいそうだな。
『続きまして一年生による大玉転がしです。当初は泥水の中から飴玉を探そう大会だったのですが、偉い人から怒られてしまったので急遽大玉転がしとさせていただきます。』
確信しました。
うちの学校は頭おかしいヤツしかいない。
「浅見くん、三郷さんのこと応援してあげないの?」
「あぁ、俺は先輩一筋だからな」
「へぇ〜、てことは少しは意識してるんだ」
「なんでそうなる!」
「いや、だってひとつも意識してないなら別に応援してあげてもよくない?」
詭弁だ。
でも好きな人からひとつも応援されないなんてかわいそうすぎる。
その先の結果は決まっていたとしても応援されたいに決まっている。
「俺が応援したらいつまで経っても俺を好きなままだぜ?自分で言うのもなんだが、俺は先輩以外なんて考えられない」
「でも、応援しなかったとして、それだけで君を諦めるような子だと思う?」
「それは……」
「では問題です。先輩は友達を応援しない彼氏と応援する彼氏、どっちが好きでしょうか」
どっちが好きかなんて俺が知るわけがない。
けどこう言えばきっと浅見くんは、
「わかったよ、応援するよ、けど、この応援で三郷に希望を与えて、結果的にあいつが泣くようなことになったら一緒に事情説明しろよな?」
「わかってるさ」
誰がどう見ても浅見くんの心が三郷さんに寄っていくことは無いだろう。
けど、この世界に人を好きでいてはいけないなんてルールはない。
恋愛にはルールなんて存在しないんだ。
………………ギャルゲ主人公が言ってた。
□
つまるところ、俺は応援とは別にとある理由があってこの競技を見ている。
ここで問題!
円香になくて三郷さんにあるものってな〜んだ?
「……揺れている……ッ!」
俺を最低だと罵るか?
それなら勝手にしろ!
お前らは例えば犬を飼ってるとしてテレビやペットショップで「猫もかわいぃ〜」ってならないのか!?
否ッ!
飼ってる犬とはまた別物として考えているだろ!?
それと一緒だ!
円香をペット扱いする訳では無い。
だがしかし!
三郷のいい所も見てあげるべきだと俺は思う。
「勇人くん別れましょうか」
「すいませんでしたァッ!!!」
前言撤回。
円香の方が揺れる。
主に大地とか。
「三郷ー!いけーッ!」
「ほら見てくださいよ浅見さんを。」
俺は、声を反響させるように口元に手をかざしながら応援する彼へ目線を移す。
「私へあんなことをした人だと思えますか?」
「い、いや……もしかして――」
「いいえ?当初は勇人くんへの嫉妬で私へ接触してきたのは許せない節もありましたが、合宿以降、むしろ私への接触で良かったなと。勇人くんに直接嫉妬をぶつけなくてよかったなと」
「そ、そっか。じゃあネタで言ってるのね」
「はい、ネタです。面白いですよね」
多分聞こえてたであろう浅見くんの背中が数回震えてたけど、心の広さに救われたのね。
「勇人くん!奈々ちゃん速いよ!」
「ホントだ、浅見くんの応援が効いてるのかな」
三郷さんは、自分への視線なんて諸共せず、なりふり構っていない姿勢で大玉を転がしている。
「勇人くん」
いつの間にかすっかり機嫌がよくなった円香が何かを乞うような、うるうるとした上目遣いで俺を見ていた。
「どしたの」
円香は一度俺から目をそらし深呼吸をすると、
「私にも浅見さんが言ったあの言葉を――」
「まだ覚えてたの!?何度言ったってダメ!」
「ぶぅー!」
可愛く拗ねて見せた円香。
かわいい♡
【左道真結】
奈々ちゃんの競技が終わり、部活対抗リレーが始まろうとしていた。
我が新聞部と最近ただの集まる口実と化した幸福部は特に報酬に興味が無いので辞退した。
報酬とは購買のパン一年間配給権だ。
部活が始まる時間に部員分全員にパンを配給するというもの。
動かずおしゃべりしている私たちには無縁の代物だ。
リレーの入場、整列が行われているさなか、私の地獄耳ならぬ地獄眼がグラウンドの端に何かを捉えた。
巨乳同士……奈々ちゃんと金霧先輩……?
なんかいや〜な予感がする。
バレないように足音を消し、近くの木の裏で聞き耳を立てる。
「…………あの子はあたしに首ったけだから」
「し、知ってます」
首ったけって今日日きかないなぁ。
「さっきプロポーズされたの」
「…………」
なるほど。
先輩も案外悪い人だな。
浅見のことが好きな奈々ちゃんにその事を言うなんて。
これは相当な修羅場になるのでは……。
「で、でも好きな気持ちは捨てられません……」
「ん、そういうと思ってた、だから勝負。あたしからあの子を奪ったらあなたの勝ち」
「ま、負けません……」
「あたしも」
修羅場になることを予想していつでも仲裁に入る準備はしていたのだけれどそんな心配は必要ないくらい平和的解決をみせた。
てっきり「もう関わんないで」くらいのことを言うと思ってたのに。
それにしてもゲーム好きなのは知ってたけど何でもかんでも勝ち負けをつけたがるのかしら。
なんか構えていたのに勝手に修羅場もどきが収束してしまったな。
消化不良。
……よし、戻ったら円香のことからかおう。
三郷さんが浅見くんを好きな以上、この話も書かないといけませんよね。
そして、そろそろ体育祭が終わりそうなので、次のお話の予告を。
それでは新天さん、よろしくお願いします。
あ、次回予告風なので最後に、次回と出ますが次の章、とかそういう意味なので。次から違う編という訳ではありませんよ。
それでは。
どうぞ。
は、はい。
え、えーっと……。
(エ〇ァ次回予告BGM)ポチッ
体育祭を終えた勇人くん一同。
しかしその先に待っていたのは先輩の受験勉強だった。
彼らを待つのは幸せか、それとも――
次回、新世紀非リアの俺が――第百二十数話。
『部屋の中心で勉強嫌だと叫んだ先輩』
次回も……さ、さーびすさーびすっ!
…………うぅ、恥ずかしいぃ。
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