非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私のふりょー回避と俺のつまらないゲーム

百話







【新転勇人】






「あっ!まど――」
左道さんと二人で廊下を歩く円香の姿を見つけ、名前を呼ぼうとしたけど“別れた”ことを思い出し途中で言葉を切る。
むしろ前までは円香の方から教室に入って来るレベルだったのに。
呼ぼうとして呼ばないとかいうおかしなことをしてしまったから周りの生徒からすごい変な目で見られている。

あの仮説の真偽はどうなんだろな……。
あれがあってたらめっちゃ謝らないといけないし、その上言わないといけないこともある。
まるで円香の性格と気持ちをを分かってるかのようなことを言っているけどこれが悪かったのかもな。
円香だから許してくれる。
円香だから俺の悩みを分かってくれる。
どこかでそう思っていたのかもしれない。
恋愛はお互いのことをよく知ってからが大事って結花も言ってたし。
「勇人くん、ちょっと来てくれるかな?」
「え?あ、はい。」
なんだ?
俺は先生の後ろについて歩き、廊下へと出た。

「あなた新天さんと何かあったでしょ?」
「なっ――」
「見てればわかるわよ、先生がいくつ恋愛を見てきたと思ってるの!」
恋愛の亡者怖い……。
「先生人生賭けて恋愛しようと思ってるんだから!そんな先生にバレないとでも思ったの?」
人生賭けてって…………うわ、顔がまじだ。
「先生も恋したい!」とふんがふんがと鼻で大きく息をしながらすげえ近い距離で、教えろ教えろと瞳で伝えてくる。
「ちょ、あのぉ、近すぎるんですけど。」
周りの人がすごい目で見てるから!
くっ……!
こうなったらあれを言うしか……ッ!
「せ、先生?ほら、この構図っておもちゃ売り場でおもちゃをねだる子供と親みたいですよ?」
「……………………コ……」
「コ?」
先生はまっすぐ俺を見つめ、瞳だけは笑っていないヤンデレ的な目で。
口角を不気味に釣り上げて、
「…………コロス……」
「ちょ教師!!警察沙汰になりますよ!!」
いくら何でも殺すはダメ!絶対!でしょ!!
まぁ俺も言いすぎた感あるけど!
「君じゃなくて新天さんに酷いことしてやるゥ……」
俺に直接的な攻撃をするんじゃなくて周りから削ってじわじわ行くタイプか!!

…………こうなったら……。


「先生!窓の向こうにイケメンが!!」
「なっ!どこ!どこに私のイケメンが!!?」
かかったッ!

「じゃ!先生!あとは頑張ってください!勇気と自信ですよ!!」
逃げるが勝ちだッ!
先生が来れない所と言ったら…………男子トイレ!!
俺は後方を確認して先生がまだ窓に張り付いていることを確認する。
イケメンなんていないのに。



俺は男子トイレの個室へと隠れる。
というかただ籠る。

とりあえず予鈴がなるまで。
由美ちゃん先生のことだから授業なんて関係なしにブチ切れてきそうだしな。


よし、ゲームしよう。

俺は円香と付き合い始めてからなかなか手をつけられていなかったソシャゲを開く。
前までの日常だったゲームを。


懐かしいそのゲームは、俺が久しぶりにログインしたら【おかえりなさいボーナス】というキャンペーンをやっていた。
大勢のフレンドには削除され、『ログインしろよカス』などと少量の手紙も届いていた。
大事だったはずのフレンドと引き換えに円香との楽しい毎日をとったんだ。
暗い闇の底から明るく火のさす道へと俺を引き上げてくれた円香に俺は彼女の気持ちを、覚悟を踏みにじるようことを言ったのか……あくまで仮説だけど。


「………………このゲームつまんねぇな……」

そう言って俺が携帯を閉じたと同時、一限の予鈴が鳴った。
さすがに予鈴が鳴ってまで外で待ち構えるほど執念深くはないだろう。

俺は一応物音を立てないように個室から離脱し、一応手を洗って外へ出る。
トイレで遅れたって理由をつけるのに手を洗ってなかったらおかしいしね。
俺はポケットからハンカチを取り出し手を拭きながらドアを開ける。


――視界の端の方でに俺と同じような行動をする人影が二つ見えた気がした。


「――早く戻らないと怒られちゃいますよ!ふりょーですよふりょー!」
「はいはい優等生な円香さんは大変ですねー」


俺の耳によく馴染む。
透き通るような綺麗な声が。


「勇人……くん……?」


俺の“元彼女”がそんな綺麗な声で俺の名前を呼んだ。






百話目です。
はい。

これが紛れもない百話目です。


夏から書き始めて、まさかこんなに多くの人に読んでもらえるとは思ってもいませんでした。
多分「多くねぇよw」「低く見積もりすぎw」とか、実際はそこまで多くもないし“読む”ではなく“見る”なのかもしれません。

でも、私はこの現状で読んでくれている方、好きだと言ってくれている方を多いと感じます!
それはまだ未熟だからで、いつかきっと今の幸せな気持ちを上回るような気持ちに出会えるよう、「あの時多いとか言ってたけど全然だったな」と思えるように頑張りたいと思います!

あれ?めちゃめちゃ真面目じゃん!
やっぱり百話目だからかな?百話目マジックかな?

ということで、少し長くなってしまいましたがこれからも頑張っていきたいと思いますよ!!

思いますよってなんだよ。

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