非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の木霊する声と俺の仮説

九十八話





【新天円香】





「一昨日はごめんっ!」
私と目が合った瞬間、条件反射とも言わんばかりに勇人くんが叫びました。
「…………考え直してくれませんか……?」
勇人くんは懇願するように、私に初めて謝罪の意を込め頭を下げます。
「勇人くん……」
違うんです。
この前のデートは仕方なかったと思いますし、ちょっとは寂しかったけど違うんです。
私といると勇人くんは……。
「全面的に俺が悪いです。本当にごめん。」
……やめてください…………。
「花咲のことを一旦置いとけなかったから。円香にあんな顔させちゃって。」
やめてください……。
「もう二度と、円香にあんな顔をさせないから。俺の隣でもう一度――」
「やめてくださいッ!!」
私は、気づけば二人だけの教室に木霊こだまするほどの声を出していました。
そして、意図せず出てしまったその言葉に続いて、私の胸の内は爆発し、決壊してしまいました。
「私は勇人くんの幸せを考えてこんな結末を選んだんです!それなのになんでそんなこと言うんですか!?分かってくださいよ!私の彼氏だったじゃないですか!なんでわかってくれないんですか!!?」
「…………いや……ご、ごめん……」
あ……。
私なんで……。

「い、いや……私も…………」
「そ、そっか…………」

そう言って、肩を落としている勇人くんは小さくなった背中を私へ向けて教室をあとにします。
「じゃ、じゃあ……今までありがとう……」


勇人くんのいなくなった教室で、不本意にも軽くなった心を殴りたくなる気持ちを抑えつつ、先程捲し立ててしまったことを後悔の気持ちを連ねます。
「私……なんで…………」
なんであの時大声を出してしまったのでしょう……。
あんなこと言うつもりじゃなかったのに。
しかもなんでそれでこんなにスッキリして……。
自分が嫌いになりそうです。
大好きな彼にあんなことを言ってしまうなんて……それにあんな悲しそうな顔をさせてしまって。
「……何が正解だったんですか……別れない方が良かったんですか……?」
人の幸せを願ってはいけないのでしょうか。


はぁ……もう忘れちゃいましょう。
何もかも。

勇人くんのことを好きではなくなって、ただの“他人”になりましょう。
勇人くんはあんなことを言ってくれていたけど、違うのです。
嬉しいのですが、それだと今までのと同じなので。
私だけが心に傷を負えば……きっとその方が――。






【新転勇人】





「俺の幸せって…………」
教室から離れ、独り円香の言っていた言葉を考える。
正直あんな円香を見るとは思わなかった。
円香なら優しく二人で話し合えると思っていた。
「そんなことって……もう一度付き合ってください、って言おうとしたことについてだよな……」
俺はそんな嫌われたのか……?
それとも、俺の幸せってことは俺が花咲で悩んでるのを…………。
「まさかッ!?」
円香は俺が花咲のことで悩んでるのを察して俺が花咲だけに集中できるように身を引いたのか……?
だからの意味での“そんなこと”で、だから“俺の幸せ”ってことか?
考えが自意識過剰な気がする、というか自意識過剰だけど。

こればかりは聞いてみないとわからない。
…………今から教室に行く時間は!?

そろそろ他の生徒が登校してくる時間。

今すぐにでも行きたいが大事な話は時間がある時に話したい。
「でもこの仮説があってるとしたら?」
円香は優しさで俺と別れて、そんな覚悟を決めた円香に対して俺は「もう一度――」なんて言おうとしたのか。


また円香の気持ちを考えてない行動をしていたのか…………。








徐々に生徒が登校してくる中、俺のスマホがゲームの通知ではない通知音を鳴らした。

画面には『左道さん』からのメッセージが表示されていた。




『準備が出来たよ』
と。









ちょっとすれ違いすぎじゃない?



この前の100話記念のやつのコメントありがとうございます。

そういえば、なろうのようにできるだけコメントは返したいと思ってたのを忘れていました。
一日何百件とコメントが届く訳では無いのであとがきで返しちゃおうと思います。
名前とか間違ってたらごめんなさい。


名前を忘れてしまいましたが【表紙絵】の提案をしてくれた方!
んーありがたい提案だけど、井戸書けない!書ける知り合いいない!
それにその場合ノベルバの方に偏っちゃうから厳しいかもしれない!
ごめんなさいトホホ……。
でも頭の片隅に置いておくよ!
コメントありがと!

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