非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の世界に響く声と俺の疾走

九十七話





【新転勇人】





俺は走っていた。
少しの肌寒さなんて気にせず、だらしない格好で。
こんな朝早くに寝巻きのまま走ってるやつなんていないだろう。


それもこれも円香からあのメッセージが送られてきたからだ。


『別れましょう』


俺がメッセージだけでも飛ばしていたら変わってたのか?
一言、『明日謝りたいことがある』ってメッセージを入れれば変わっていたのか?

俺は二度とあの子と一緒に笑えないのか?



加速する足取り。
雨上がりの独特の匂いが鼻を抜けていく。
足がつりそうで脇腹が悲鳴をあげているが気にしない。


俺はメロス並みに走った。
いやふざけてるとかじゃなくてマジで。








引きこもりだった俺にはこの距離でも死ぬ程きついのです。
ゼェゼェと息を切らしながら、震える指でインターホンを鳴らす。

まだ……まだ話し合いたいんだ。
もし本当に別れることになってしまっても、きちんと謝りたい。
あんな顔をさせてしまったことを。
俺の不甲斐なさを。

「はーい、って勇人くん!?円香はどうしたの?」
「あっ、いや……」
言動から察するにもう居ないのだろう。
「ごめんなさいまた来ます!!」
俺はそれだけ告げ円香の家を後にする。
「まって!」
「はい?」
背中を向け、走り出した時、優香さんから制止の声が聞こえた。
「円香と何かあったの?」
「…………はい……」
優香さんは「そっかぁ」と呟き、そして真っ直ぐな瞳で言った。
「円香が何かしたのならきっとあの子なりの考えがあるはずだから。よく話し合いなさい。」
まるで自分の体験と重ねるように、ゆっくりと噛み締めながら。
「まぁあたしは分からないけどね」
受け取り間違えたようだ。
うん、体験と重ねてなんていなかった。

「ありがとうございます。」
俺は一旦家へと向かって走り出した。

ん?そんな時間ないだろって?


…………バッグを忘れたんだよ!!




【新天円香】




「久しぶりです……」
私は教室で一人、教科書類を整えながら考えていました。
一人で登校するのも、一人で教室にいるのも。

「だめ。勇人くんのためなんだから。」
自分に言い聞かせます。
でないと勇人くんにメッセージを送ったり、電話をかけてしまうかも知れません。
「頑張るんです円香!出会う前に戻るだけです!!」

既に勇人くん成分が枯れ果ててしまっていますが……。

「これで花咲さんとのことがうまくいけばいいんですが」
じゃないと私の欲望より勇人くんの悩みを解決するために心を鬼にした意味が無いのです。
「…………さようなら」
私はここにいない彼へ。
そして、私の隣からいなくなってしまった彼へ。
最後の言葉を告げました。

「――円香ァ!!」
崩れ落ちていた私の世界に、扉の大きな音と共に私の大好きな人の声が響きました。

時刻は通常の登校時間より三十分程早いところを指していました。






突然ですけど、100話記念で何かやってほしい!と嬉しいコメントがありました。期待していただける感があってすっごい嬉しいです。
そこでなんですけど、何かやってほしい!とかあったら教えてください。
例えば、【もし勇人たちが異能力に目覚めたら】
とか、
【もし勇人たちの足が急激に伸びたら】
とか、
【もし勇人たちの性別が入れ替わったら】
とか。
イイね!と思ったやつをやりたい、やらせたいと思います。
じゃあ、ちゃお

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コメント

  • 猫ネギ

    異世界転移して欲しいなぁ

    3
  • 紅月

    能力持ったやつ見たい!!

    3
  • ニャオン/ユキ

    性別が入れ替わったやつみたい!

    3
  • クロエル

    画を描く人の協力が必要ですが表紙絵をつけるとかは
    どうでしょうか

    3
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