非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の放置ぷれいと俺の彼女と仲間たち

八十九話





【新天円香】




卍放課後なう卍

と、友達がプリクラをとっている中、私たちは今商店街にポスターを配り、貼り歩いています。
去年は先生たちがやっていたようですが、今年は“表面上はボランティア部”として成り立っているこの部活が任されたのです。
「円香ーあとどのくらい?」
小走りで寄ってきた真結が言いました。
「んー、あと半分ってとこですね」
「おっけー。じゃあ今もってるのから半分無くなったら引き上げよっか。まだ時間はあるんだし」
「そうですね」
どうやら2日の間に終わらせればいいみたいなので、今日無理に終わらせなくてもいいのです。 

私は遠くでじゃれ合う勇人くんと浅見さんを見ながらまたポスターを貼る作業に戻るのでした。





【新転勇人】





「勇人ー」
「ん?どしたの?」
まだ大量のポスターを持った浅見くんは口角を下げ、いつもの彼らしくない淀んだ表情で、

「ゲロめんどい」

今にもポスターを落としそうなほど肩を落としていた。
でも仕方ないのだ。
今この場には、円香、左道さん、浅見くん、俺、しかいないのだ。

「仕方ないじゃん。俺が先輩の分もやってきます!(精一杯のモノマネ)って爽やかな顔で言っちゃったんだから」
「でもよ〜」
そう言って、四分の一くらいを持ってチラチラと俺と目を合わせてくる。


………………はぁ。
「分かったよ、それだけだからね?」
「よっしゃ!さすがだ相棒!!」
お!久しぶりに相棒って聞いたな。
あの時以来だけど自重してたのか?
「どした?」
…………いや、浅見くんがそんな器用なことできるわけないか。
「ううん、なんでもない」
「そうか…………よし!あっちの方も貼りに行こうぜ!!」
浅見くんは指さした方へ勢いよく駆けていく。
「わかったから待って――あ、チラシ落としてる。もー急ぐからだってば!」
俺は浅見くんのようにポスターを落とすことのないように脇に抱えるようにして、落としたポスターを拾い集めてる彼の元へ向かった。









すっかり日も暮れ、帰りの身支度と、ポスターをクリアファイルにしまう作業をしていた時だった。
「ね、あの子オープンスクールの時にも来てなかった?」
左道さんが向ける目の先には俺の唯一の悩みの原点である花咲莉子が立っていた。
でもなんでこんなところに?
「勇人くん、あの人って」
「うん…………そういえばなんで左道さんは気づいたの?」
「え?あなた達のあっつ〜いキスを見せられてた人達の中に一際綺麗な人がいて、その隣にいた人だからだけど?」
さも当たり前のようにいう左道さんに俺は少し感心してしまった。
それと同時に、目の前で変なことしたら一生いじられ続けるっていう恐怖感も☆
「あの子勇人の友達?なら呼んでくるぜ!」
疑問形を俺にぶつけたのに答えを聞く前に走り出す浅見くん。
んー、自分が『こうしたほうがいい!』って思うことはすぐ実行しちゃうタイプなんだよな。
まぁ色々聞きたいこととかあったから結果オーライだけど。
遠くから「こいよ!」「いいからいいから!」「いやいやいや違う違う!!魔法の鏡の車撮影じゃない!」と聞こえてくるんだがあの二人なんて話してんの?
魔法の鏡の車撮影ってアレでしょ?
ばかなの?

あ、笑顔で戻ってきた。

「ダメだってさ」
「いやダメなのかよッ!」
ついつっこんじゃったじゃん!
それならなんで笑顔だったの!?
「でもあの子から、あの時はごめんなさい、いじめのことは忘れてって伝えてって言われたんだが何かあったのか?」
……忘れて、か。
一度、人生を預けてもいいと思うほどに恋をした相手。
そして、人生の中で最も嫌いになり、過去の自分を恨み未来の自分を変える原因になった相手。

そんな相手を忘れろと?

「無理な話だよ」

少なくともあの失敗があったから今があるんだ。
アニメだってゲームだって面白い作品と出会えたし。
ああいう女性はダメだということも分かった。
そして何より、あいつやほかの同級生から逃げるようにして受験をし、合格し、今も尚通っているこの学校で円香に出会えた。
全てが全てあいつのおかげって訳じゃない。
現にすげぇ泣いたしすげぇトラウマだった。
でも今は隣に円香がいる。
周りにはみんながいる。
あの時とは違う。
「円香、変な質問するけどいい?」
「はい?

「俺のこと好き?」
「えっ!わ!えぇ〜!」
「好き?」

「は、はい。大好きです」

こんなにも愛おしく思ってくれている彼女がいるのだから。

過去を泣くのはやめよう。
失くしたものを数えるのもやめよう。
過去を忘れることをやめよう。

今手にしている幸せものだけでいいじゃないか。
目の前の希望を数えればいい。
その中に絶望があろうとも彼女となら、みんなとなら乗り越えていけると思うから。






【新天円香】





「勇人くんたち行っちゃいましたね。」
私は後ろにいる真結へ声をかけます。
「なんか置いてかれたのにドキッとしました。…………もしかしてこれが噂に聞く放置ぷれいなのでしょうか」
お母さんがたまにお父さんのご飯だけ遅く出したりしてます。その度に、お父さんはこれが好きなの、放置されたいの、と意味のわからないことを言っているのですが、これが例の……って!!
「つっこんでください!!!って……」
振り返ったところには誰もおらず、私がただ独り言を言っているだけでした。
真結!?
いつからいなかったんですか?
まさか…………。
『用事思い出したから先帰るね、おつかれ』
5分前じゃないですか!!勇人くんたちが行く前じゃないですか!
写真を貰う時も思うんですけど忍者かなにかなんですか!?


…………私は『お疲れ様です』とだけ返信し、日に日に日が短くなっていく夕暮れ時を歩き始めました。








ここは連載の流れで出したかったのにい……。


ま、いいところでなんか勇人がかっこいいので私くらいはふざけようと思います。


可愛い人ってなんであんなにいい匂いなの?花でも食べてるの?

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