非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の家と俺の覚悟の意味

八十二話






【新転勇人】






「いらっしゃ〜ぁい♪」
あ……歩くおっぱい……!?
「円香の母です。」
母ぱい!?
円香……恨むなら遺伝の不確定性を恨むんだよ。
まぁ円香にこれほどの胸が付いてたら鬼に金棒だもんな、不幸中の幸いか。
俺は砂場で幼稚園児が作ったような山みたいにささやかな円香の胸も好きよ。
「勇人くんお母さんに騙されないでくださいコレに夢と希望は詰まってませんから」
「お母さん悲しい」
円香のお母さんはしゅんとした様子で肩を落とす。たゆん。
いくら貧乳を尊んでる俺も、このエベレストを見て無心を貫けるほど男を捨てたわけじゃない。

「勇人くんとりあえずリビングに来てください」
「わ、分かった……」
ついに来たか。
俺はもう一度意を決し、父親の待つであろうリビングへと足を踏み入れた。




「いらっしゃい」
俺の“渋めで厳格な父親”という予想を裏切り、“温厚で柔らかみのある”声質で俺を出迎えてくれた。

「円香の父です」
円香のお父さんはテーブルの上にあった水を飲むとそう言った。
「は、はい、新転勇人と申します。円香さんとは――」

まて……?
いきなり、「円香さんとはお付き合いをさせていただいてます」と言ってもいいのか?
だとしても嘘をつくのは良くない。
…………いきなりお付き合いを〜って言ったら水でも投げつけられるんじゃないか?
温厚そうだけど実は〜みたいな。
俺は助けを求めるように円香へ視線を移すと、
「神様神様神様っ」
と願いを神様へ送っていた。
いったい今すぐ願わないといけないことってなんなんだい?
俺は円香の隣にいるお母さんへ目を向ける。

円香のお母さんは微笑みながら手をひらひらと振ってきた。
「ちょ!ちょっと!」
え?
そんな俺とお母さんのコミュニケーションを見ていたお父さんがいきなり声を上げた。
まさか……
「優香さんは僕の妻だぞ!んッ!」
そのまさかだったー!
お父さんは優香さん、円香のお母さんの手を握って言った。
言うなら今しかないっ!
「い、いえ、円香さんとお付き合いさせていただいているのでそんな気持ちは全くございません!」
「僕の女房に魅力がないのかッ!」
めんどくせぇ人だなぁ!
「ごめんなさいね、この人嫉妬しちゃったみたいなの♪」
笑いながらお父さんの頭を撫でる優香さん。

それより…………

「僕が円香さんと付き合ってることには触れないんですか……?」
気になりすぎて聞いてしまった!
仕方ないじゃん!結構覚悟してきたんだから!

しかし、やっぱり俺の覚悟を裏切る形でお父さんが口を開いた。
「うん、知ってるからね」
覚    悟    の    意    味    !
「円香から話に聞いてたからね〜、愛しい彼ができたって」
「ちょっとお母さん!やめてくださいよぉ」
まじかよ……先に言ってくれよぉ……。

可愛いから許しちゃうけどね!!
「あ!聞く?円香が勇人くんに告白する時に泣きついてきたって話!」
「ねぇ!ホントにだめ!やめてください!」
「ぜひ聞かせてください」
「ちょっと勇人くんも!ダメですってぇ」
リトル勇人が聞いておけと言っているからな。
ごめんね円香。
でも聞かなくちゃいけない気がするんだ。
「泣きながら帰ってきて、大声であたしのこと呼んだから何があったのかなぁ?って思ったら、振られちゃったよぉって!」
「なにそれかわいい」
「ね!可愛すぎてつい胸の大きさをからかっちゃった♪」
「むぅ、怒りますよ!」
ぷんすかぷんすか。
腰に手を当て頬を膨らませる円香。
正直この格好が可愛すぎるからむしろ怒って欲しいまである。
「ちょっと!僕の女房と仲良くしすぎ――」
「洋平さん?しーーっ……」
「はい」
優香さんには逆らえないのね。
なんだかんだで俺もこうなりそうで震えるわ。

「も、もう!こんな人たち放っておいて私の部屋に行きましょ!?ね!?」
「是非とも行かせていただきまする」
初!女の子の部屋!
しかも円香の部屋!
「あたしたち下にいるから変なことはしないようにね!」
「何言ってんだ!」
「あら♪」
ついツッコミ入れちゃったじゃないですか!
清い付き合いだから!

「お母さん後で覚えておいてくださいね?」
黒円香だ……。
目が本気だ、笑ってない……。
「行きましょ?勇人くん。」
「はい」
俺はこの時初めて黒円香を目撃した。




初めてじゃないか。
去勢されかけたし。うん、そういや意外とぶっ飛んでたわ。
ネジとか色々。

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