非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の葛藤と俺の絶えない疑問

七十九話







【新転勇人】








「三郷さん……?」
「ぃやだ!わ、私の方が先に好きだったもん!」
彼女は、三郷さんはこれまでとは違った風貌で浅見くんたち二人へ言葉を紡ぐ。
「私、が好きだったの!」
力強く、思いのたけをぶつける。
「私が先輩を一番好きだもん!」
昨日までの彼女からは考えられないような力強さで発せられたその言葉は、想いの強さを証明するには充分すぎるものだった。
「三郷……」
浅見くんも言葉が見当たらない様子で目線を少し下へと落とす。
先輩は何も言わずに三郷さんへ目を向けて。

そんな時、HR開始の予鈴がなった。
何も解決してなく、三郷の一途な想いで満ちた教室に予鈴だけが響く。


「…………と、とりあえず昼に部室まで来てくれるか?そこでもっと話そう」
予鈴が終わり、浅見くんの声と生徒たちが自分の教室へと戻っていく足音で俺は我に返った。
浅見くんはいつもと違う、取り繕ったような笑顔を浮かべて俺たちの方へと戻ってきた。
「戻ろうぜ」
「うん……」
俺は円香の手を取り教室へと戻った。

円香と先輩は別れるまでの間一言も喋らず、別れ際に「またお昼に」と交わしただけだった。








お昼休み。
俺は円香と一緒に部室へ向かっていた。
円香はずっと思いつめたような表情で俺たちは言葉を交わさずに歩いていた。
三郷さんのあの想いを聞いてなにか思うところがあるのだろうか。
「ま、円香……?」
「・・・・・・」
聞こえていないのか、無視か……。
「円香さんや〜」
「・・・・・・」
やばい胸が苦しいッ!
返事が貰えないのはどんなことよりも苦しいッ!
「円香さ――」
「勇人くん好きです。」
「ふぇ?」
えなにこれこわい。
下げて上げる作戦?
急に剛速球来て焦りましたよ円香さん。
「勇人くん大好きです」
ノーモーションで500キロの球が飛んできた。
いやホントどうしちゃったの?
いつもみたいに顔真っ赤になりながら言うならまだしも、そんな真面目な顔で言われたらこのあとに親への挨拶でも待ってるんじゃないかって思っちゃうよ?
「勇人くん愛してます」
円香の脳が恋愛に侵食された!
愛の言葉を、壊れたロボットみたいに永遠と言ってくるんだが。
いや嬉しくないわけじゃないし、現に気持ち悪いほどニヤけてるんだけど、何をどう考えたら壊れたロボットになるの?

女の子って難しいのね……。






そんなことをしているうちに部室へ到着していたようで、俺はある覚悟をしてドアを開いた。





「で!で!?他には!?」
「え、ぁ…………かっこいいところとか……」
「んー!わかるぅ!」
ドアの先には、なんでか分からないが意気投合してる先輩と三郷さん。

そして、

「ちょ、二人とももうやめて……」

珍しく赤面している浅見くんの姿があった。

「ちょ、え?なに?」
さすがの俺も疑問の声を上げざるを得なかった。

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