非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の繋ぎたいッ!と俺のジェントリー

七十五話









【新転勇人】









手を繋げなくてちょっとショックな今日この頃。
俺たちは今、先輩を追いかけています。
「勇人くん……?」
隣で小走りを続けている円香が、おろおろと顔を覗き込むようにして聞いてきた。
「どした?」
「あの……ですね?……」

小走りしながらでは言葉を発しにくいのか、円香は言葉を途切れ途切れにして言葉を紡ぐ。
「やっぱり、勇人くんが手を……繋ぎたいなら…………その……」

…………俺は試されているのか……?


さっき断られたのに、断った本人から手を繋ごうと?
むむむ……これは難問だ。

T〇L〇VEるといちご1〇〇%どっちが好きか決めるくらい難問だ。
「……あのぉ……」
いや……まじで何が正解なの?
試されてるんだったらここはもうジェントリーな勇人くんをお届けするのが正解だろう。

…………まてよ?

円香が“手を繋ぎたい”って可能性は?
その場合断るのはジェントリーではないよな。
いや最近の円香なら「やっぱり手を繋ぎましょ?」ってストレートに来るはずだ。

ということは…………
「大丈夫よ、先輩のほうが今は大事ですし早く行こ?」
「ぁぅ…………はい……」
最高にジェントリーだよな……?
というかジェントリーってなに?






【新天円香】






手   を   繋   ぎ   た   い   の   で   す   !

ですが今のよりストレートにってなると些か都合が良すぎる気がするんですよね……。


うう……繋ぎたいよぉ……。






【金霧杏佳】






――人の愛情が他に向けられることを憎むこと――

…………か……。
あたしは藁にもすがる思いでWiki〇〇ペーdiaを検索したけど、思うような結果は得られていなかった。
“人の愛情”……か……。
浅見はあの後輩を“愛してる”んだよね。
「はぁ……ダメだぁ……」
あたしは思わず自分のクラスの下駄箱の前でしゃがんでしまった。

頭の中で形容しがたい音が鳴り続いている。
本当は勇っちとか新天に泣きつきたいんだけど、やっぱりあたしは先輩だし、あたしゲームを優先的に考えちゃうしコミュニケーション苦手だし……だから新天以外に頼れる人いないし…………。
「ダメ……ネガティブなことしか出てこないよ……」
あたしじゃわかんないから新天に“好き”ってどんな気持ちか教えてもらいたい。
この汚い嫉妬の感情とあたしは浅見をどうしたいのか。
あの子なら教えてくれるはず。
「新天……勇っち……」



「――先輩ッ!!」










【新転勇人】








先輩は下駄箱の前で頭を抱えてうずくまっていた。
「勇っち……?新天……?」
そう言って俺たちに向けた目にはうっすらと涙さえ浮かんでいた。
「大丈夫ですか……?」
「勇っち……」
「はい?」
先輩は涙ぐんだ目で、縋るような弱々しい瞳で、
「好きって何?あたし浅見を好きなの……?」

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