非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私の考えと俺の勘違いが招くもの
七十三話
【新天円香】
…………いじめって……え?あの“いじめ”ですか?よくニュースに取り上げられている……?
二人の表情は真剣そのもので、嘘を言っているようには見えません。
「いじめ……ですか……」
「あぁ。勇人、たのんだ?」
「うん。円香、ちょっときて?」
「はい?」
勇人くんに呼ばれ、私は部室の外へとついていきます。
後ろ手にドアを閉め、勇人くんは小さな声で“いじめ”の説明を始めました。
中学の頃からいじめを受けていたこと。
初めは小さな嫌がらせだったのが今になっては大きくなり、次第にエスカレートしてきているということ。
学校側はそれを認めず、本人からの申し出でも「勘違い」「神経質なだけ」と吐き捨て彼女を放置。
今彼女が頼れるのは私たちしかいないこと。
そして――浅見さんを“好き”だということ。
「勇人くん……いじめってなんでおこるんでしょうね……」
「…………利害が一致しない時とか……今回は多分……ストレス発散目的だと思う……」
ストレス発散…………自分たちのエゴで他人をどれだけ傷つけるのかわかってないんでしょうか。
「んで、下手に刺激するのも良くないから、俺たちがそばに居ることで何とか沈静化させようって思ってるんだ」
「分かりました。」
私たちは再び部室へ戻り、三郷さんと他愛もない話を交わし始めました。
【新転勇人】
三郷さんは浅見くんの事が狂おしいほど好きなのだろう。
部室に戻ると耳まで真っ赤にした三郷さんとそれに気づいてない様子の浅見くんが肩を組みスマホを見せていた。
こりゃあ赤くなるわ。
俺だって円香にこんなことされたら赤くなって爆発するもん。
「ほらこれ!これめっちゃおもろいんだよ!」
「はぅぅ〜〜〜〜」
「な!!あと……ほらこれも!これやっばいよな!」
浅見くんのマシンガントークが止まらない。
マガジンに何発入ってんのさ。
「お!勇人!何でそこに突っ立ってんだ!お前も見てみろよこれ!面白いぞ!」
浅見くんがこっちに向くのと同時に三郷さんも振り向いて「助けてくださいそろそろ活動限界です!」と言わんばかりの表情を向けてくる。
「あ!三郷これも見てみろよ!めちゃ笑っちまうよな!」
はぅぅ〜〜〜〜浅見くんが容赦なさすぎて怖いよぉ〜
「あのぉ浅見くん?そろそろ――」
なんで気づかなかったのだろうか。
近づいてくる足音に。
そもそも何で彼女に今日は“ない”と伝えなかったのだろうか。
きっとどこかで、“ある”と伝えなければ来ないと思っていたのだ。
そんな勘違いのせいで、この場の空気が凍りつくなんて。
「やっほー、真結に先行っててって――」
それは紛れもなく、いや、他にこんな制服の着方をする人はいない。
だらしなく開けられたボタン。
それだけで“誰なのか”分かってしまう、あの人だ。
浅見くんの表情は凍りつき、急に勢いのなくなった彼と部室へ入ってきた彼女を忙しなく交互にみる三郷さん。
「先輩……」
三郷さんの肩に手を回したまま、そう呟いた彼を見ながら俺は思った。
俺は悪くない。と。
【新天円香】
…………いじめって……え?あの“いじめ”ですか?よくニュースに取り上げられている……?
二人の表情は真剣そのもので、嘘を言っているようには見えません。
「いじめ……ですか……」
「あぁ。勇人、たのんだ?」
「うん。円香、ちょっときて?」
「はい?」
勇人くんに呼ばれ、私は部室の外へとついていきます。
後ろ手にドアを閉め、勇人くんは小さな声で“いじめ”の説明を始めました。
中学の頃からいじめを受けていたこと。
初めは小さな嫌がらせだったのが今になっては大きくなり、次第にエスカレートしてきているということ。
学校側はそれを認めず、本人からの申し出でも「勘違い」「神経質なだけ」と吐き捨て彼女を放置。
今彼女が頼れるのは私たちしかいないこと。
そして――浅見さんを“好き”だということ。
「勇人くん……いじめってなんでおこるんでしょうね……」
「…………利害が一致しない時とか……今回は多分……ストレス発散目的だと思う……」
ストレス発散…………自分たちのエゴで他人をどれだけ傷つけるのかわかってないんでしょうか。
「んで、下手に刺激するのも良くないから、俺たちがそばに居ることで何とか沈静化させようって思ってるんだ」
「分かりました。」
私たちは再び部室へ戻り、三郷さんと他愛もない話を交わし始めました。
【新転勇人】
三郷さんは浅見くんの事が狂おしいほど好きなのだろう。
部室に戻ると耳まで真っ赤にした三郷さんとそれに気づいてない様子の浅見くんが肩を組みスマホを見せていた。
こりゃあ赤くなるわ。
俺だって円香にこんなことされたら赤くなって爆発するもん。
「ほらこれ!これめっちゃおもろいんだよ!」
「はぅぅ〜〜〜〜」
「な!!あと……ほらこれも!これやっばいよな!」
浅見くんのマシンガントークが止まらない。
マガジンに何発入ってんのさ。
「お!勇人!何でそこに突っ立ってんだ!お前も見てみろよこれ!面白いぞ!」
浅見くんがこっちに向くのと同時に三郷さんも振り向いて「助けてくださいそろそろ活動限界です!」と言わんばかりの表情を向けてくる。
「あ!三郷これも見てみろよ!めちゃ笑っちまうよな!」
はぅぅ〜〜〜〜浅見くんが容赦なさすぎて怖いよぉ〜
「あのぉ浅見くん?そろそろ――」
なんで気づかなかったのだろうか。
近づいてくる足音に。
そもそも何で彼女に今日は“ない”と伝えなかったのだろうか。
きっとどこかで、“ある”と伝えなければ来ないと思っていたのだ。
そんな勘違いのせいで、この場の空気が凍りつくなんて。
「やっほー、真結に先行っててって――」
それは紛れもなく、いや、他にこんな制服の着方をする人はいない。
だらしなく開けられたボタン。
それだけで“誰なのか”分かってしまう、あの人だ。
浅見くんの表情は凍りつき、急に勢いのなくなった彼と部室へ入ってきた彼女を忙しなく交互にみる三郷さん。
「先輩……」
三郷さんの肩に手を回したまま、そう呟いた彼を見ながら俺は思った。
俺は悪くない。と。
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