非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

俺の友達からの相談

六十九話





【新転勇人】




三郷奈々さんごうなな?」


ちっとも聞いたことのない名前だ。
俺が知らないだけで実は有名だったりするのかな?
俺はとりあえず浅見くんと電話を繋げて会話する。
ごめん結花。もうちょいうるさくなるかも。

「もしもし」
『おう、でよ、話の続きだけどそいつにちっと困ってるんだ』
「そのこころは?」
『中三の頃から追っかけられてるんだ』

ん?
それはなに、鬼ごっこ的な意味で?
中三の頃からまだ続いてる鬼ごっこってこと?

「それは鬼――」
『ごっこ的なことじゃないぞ、昔とある事でLime交換しててちょくちょく連絡があるんだけど…………』

そんな言葉続いてその事のトークのスクリーンショットと思われる写真が送られてきた。
そこには――



三郷奈々
『先輩、始業式の日私とおしゃべりしてくれませんか?』


三郷奈々
『やっぱり私とじゃ嫌……ですかね』


三郷奈々
『ごめんなさい、おこがましいお願いでした。ごめんなさい』




一切返信せず、俗にいう【既読スルー】というやつをしているのがバレバレな画像だった。
三郷さんって子相当気にしてるんじゃないかこれ。

ていうか――

「この子が童顔黒髪巨乳なら何でこんなことしてるの?」

大好物じゃん、と。

『う〜んそれがな。』
浅見くんの声質がなんだか淀んだものになった。
なんだろう、なんか問題でもあるのかな。
『メガネなんだ』
「へ?」
『メガネ外した時だけなんだ』









ん?
『え、勇人生きてるか?』
「……うん、ちょっと理解に苦しんでた」
『あぁ、良かった。』
メガネ外した時だけ童顔?
『話戻すけど、メガネ外したらすんげぇ美少女なんだ』
「なにそのリアルギャルゲヒロイン」
『あ、これまずい』
「メガネを外したら美少女なんてギャルゲーには必ずといっていいほど存在する地味っ子キャラ!そんなゲームでしかありえないと思ってたヒロインが現実にっ!?」
『勇人、とりあえず落ち着こう。深呼吸だ』
「え、あぁ……すぅーーはぁぁ」
ふぅ。
思ったより熱くなってしまった。
『大丈夫か?』
「うん、ごめんね取り乱した」
ちょっと衝撃すぎたから。
『おう、で、その子メガネ外した時だけすんげぇ可愛いんだけど、俺には……その……』
「金霧先輩がいるもんね」
『おう!まだ実ってないけど先輩一筋なんだ俺!』
先輩の話題になった瞬間電話口からでも分かるくらい明るくなったな浅見くん。
わかりやすい。
『だから三郷はダメなんだ。』
「そっか…………で、それがどうしたの?」
『なんか勇人最近俺との壁無くなった気がする』
「そう?でも浅見くんだってもう俺と友達ごっこじゃなくなったよね?」
『おうよ!その説はほんとに悪かった』
………………なんか湿っぽくなっちゃったな。
「大丈夫よ。」
『あぁ…………それで相談した理由なんだが――』
「にぃ!?うるさい!電話しないようにベッドに潜り込むよ!」
『あっ』
どっちがでかい声だしてるのさ、とツッコみたいくらいの結花の声が浅見くんにも聞こえてたようで。
『うーん…………また明日話すか!』
「そうしてくれると助かるかも、ごめんね」
『あぁ大丈夫大丈夫!じゃまた明日な!』
「うん、おやすみ」

耳からスマホを離し通話を終了する。

さて、結花が俺へ“にぃ”と言いながらベッドに潜り込むって欲望丸出しな事言ってたからとりあえず結花の部屋に行っていじめてこようかな。

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