非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私の作戦勝ちと俺の過去の傷と新たな罪
九話
「気になっているのは事実です。上からすぎて申し訳ないですが。」
俺は本心を口にする。
嫌いではない。
それは大いなる事実だ。
だが、恋愛における“好き”にはまだ到達していない。
「ここ最近ふとした時に新天さんの顔が浮かびます。けど、好きの定義が、ずっと一緒にいたい、もっと深く関わりたい。というものなら、申し訳ないですが、好きまでは到達できてないです」
彼女を傷つけることになろうとも、俺は本心を告げる。
あ、あとあのことも言っといたほうがいい気がするな。
俺の中学の頃の話を。
固まる新天さんを他所に、俺は過去の話を始める。
俺が人を信じられなくなった理由、独りになると決めた理由を。
「中学の頃、実は俺一回告白されてお付き合いしたことがあるんです。新天さん程ではないですけど、とても可愛らしい子でした。俺にとっての人生初彼女。それだけでも嬉しいのに顔が良いなんて贅沢を味わいました。調子にのっていた俺は、デートに行った時のお金はほとんど出していました。それに、そんなに高いものではないですが装飾品のプレゼントを贈っていたりしました。間違いなくあの頃の俺は幸せでした。
ですが知ってますか新天さん。幸せと不幸のバランスは五分五分に保たないとダメなんです。俺が彼女と付き合って得た幸せはとても大きいものでした。だからこそ不幸はそれに見合うものでは無いといけなかったのです。
ある日俺はコンビニへと歩を進めていました。それはもうルンルンに。―ですがある光景を見てそんな気持ちは爆ぜます。コンビニの前には俺の彼女がいて、その彼女の前には、学校一のヤンキーがいたんです。それだけならまだ絡まれてるだけかと思えたのですが、俺のプレゼントした装飾品を彼に手渡し始めたのです。俺はそんな光景を信じたくなくて、一気に今来た道を戻りました。
そして次の日、彼女にそれを伝えると「あーバレちゃったか。じゃあもういいやさよなら〜」と告げられ、事実上の破局となりました。彼女は次の日には新しい彼氏が出来ていました。俺なんてただの金蔓だったんです。そんな事があってから、俺は余計オタク趣味やゲームなどに没頭しました。人は裏切るもの、嘘をつくものだと決めつけて今に至ります。」
黙って長々とした俺の話を聞いてくれた新天さんは何かを考えているようだった。
「新天さんが信じられない訳では無いです。でも、新天さんとお付き合いしたら中学の頃とは比べ物にならないくらい幸せだと思います。そしたら不幸もあれ以上のものが俺に襲いかかってくると思うと……」
「じゃあ試してみましょう。」
「え?」
突然声を出した新天さんに驚き、素っ頓狂な声が漏れる。
それより試すってどういうことだ?
「勇人くんが人を好きになれるまで私がそばにいます。結果的に私を選ばなくたって何も言いません。去勢もしません。これでどうですか?」
どうですかって…それじゃまるで俺が新天さんを利用しているみたいじゃん。
「とても嬉しいんですが新天さんは貴重な高校生活を俺なんかと一緒でいいんですか?」
「はぁ…何回言えばわかるんですか?」
わざとらしく大きなため息を吐いた新天さんは、俺の瞳をまっすぐ見つめて言った。
「―結果がどうであれ、愛する人のそばにいれるだけで私は満足ですよ」
その笑顔はひまわりのような笑顔で俺はそんな笑顔に心を奪われた。
「だから私と付き合ってみませんか?」
俺は新天さんの時間を貰ってもいいのか。
新天さんは良いって言ってくれたけど俺のことを好きだと言ってくれたのにお試しなんかで付き合ってしまって良いのだろうか。
「―勇人くん。私は大丈夫ですよ。……いや、下心なんて無いですよ?本当ですよ?お試しで付き合ったらもうこっちのもんだなんて思ってないですよ?」
なんか勝手に墓穴ほった気がするんだけど大丈夫かな?
「だから私と恋人ごっこしましょ?」
はぁ。
新天さん墓穴掘ったの気づいてないよね…。
―でも恋人ごっこか。
新天さんの本音はダダ漏れだけど、そろそろ俺も変わらないといけないかな。
こんなチャンス二度とないしな。
よし!
俺は新天さんの方へ手を差し伸ばす。
「俺と恋人ごっこをしてください」
「はい。よろこんで」
そうして俺たちの恋人ごっこが始まった。
「勇人くん恋人ごっこ了承してくれました…」
私は幸せに頬を緩めてしまいます。
事実上は“恋人ごっこ”ということになってますが、こうなったらこっちのもんです!
気づいたら勇人くんは私にメロメロです!骨抜きです!
「ふふふ…覚悟してくださいね勇人くん!私の魅力で魅了してあげます!」
何と言っても私にはお母さんがついています!人生の先輩だし、結婚してるしきっと――。
「無理よ。あなた貧乳じゃない」
あれどうしましょう。これまでにないほどの殺意が湧いてきます。
「だってあなたより身体の魅力を持つあたしでさえお父さんしか捕まえられなかったのよ?そんなあってないような胸で…フッ…」
「おいこらお母さん。今鼻で笑いましたよね?」
「い、いや?笑ってないわよ?その胸を見て笑ってなんか……ぶふっ」
そう言って吹き出すお母さん。
どうしましょう。仮とはいえ勇人くんとお付き合いできてなかったら殴っていたかもしれません。乳を。
「ごめんごめん。そんなに胸ガン見しないで!?穴が空いちゃうわ!あなたの場合は即肋骨だけど♪」
よーぉし決めました!家族の縁を切ります!もう怒りました!どこですか!市役所行けばいいんですか!?
私は振り返り、玄関に向けて足早に向かいます。
「あーうそうそ!ね?ごめんね?」
お母さんは私の手を掴み、歩みを止めようと謝ってくる。
確かに少し冗談混じりだったので全然許します。
ですが怒っていたのは事実ですのでただで許すのは気が引けます。どうしてやりましょうか……。
あ!そうだ!
「次言ったらその脂肪切り落としますからね」
「は、はひぃ……」
私は腰の引けているお母さんと一緒にリビングへと戻りました。
さて、作戦会議の始まりです!
「ただい―」
「兄貴ッ!」
「はひっ!」
俺が呑気な顔をして家に帰ると結花が怒りの形相で玄関で待ち構えていました。
「朝の女はなに!」
「新天さんだけど……なんで怒ってるの?」
「新天さん?新天さんってあの新天円香?」
「うん。そうだけど」
すごい怒っている結花はずんずんと足音を鳴らして俺へ近づいてくる。
「あの人がゆいのお姉ちゃんになるの?」
「いや考えが飛躍しすぎ!」
「でも…」
結花はなんとも言えない表情で怒りを浮かべいる。
いやいやそもそもなんで結花が怒って……―あ、そういえば結花も変な事言ってたよな?
「そういえば朝に言ってた俺と変なことしたって何?」
「いや、それはその…」
やっと俺が話の主導権を握ることが出来た。こうなったら結花を撃退することなんて容易いだろう。
「俺が寝てる間にしたのか?」
「いや…その…」
「どうなんだ?」
そろそろ蹴られたりすると思うけどあんまり新天さんのことを詮索されるのは嫌だからまだ畳み掛ける。
「謝れば許してやっても―」
だが次の瞬間、耳を疑うようなことを言った。
「―ゆ、ゆいが寝てる時に!(あながち間違ってない!)」
・
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・
・
「は?」
「も、もう部屋戻るから!じゃあね!」
そう言い残して自分の部屋へと戻っていく結花。階段を上る彼女のスカートが短すぎてパンツが見えていた。―だが俺の中ではそんなものどうでも良かった。
なに?俺無意識下のうちにあいつにやってはならないことをしてたの?
えぐくない?それ相当えぐいよね?
ごめんなさい新天さん。
俺は人間として最もやってはならないことをしてしまっていたようです。
決してドMという訳では無いのですが、俺のことを家畜以下の存在として扱ってくれると幸いです。
新天さんに合わせる顔がない…。
俺はトボトボと自分の部屋へと向かい、無気力な体をベッドへ投げ出した。
「気になっているのは事実です。上からすぎて申し訳ないですが。」
俺は本心を口にする。
嫌いではない。
それは大いなる事実だ。
だが、恋愛における“好き”にはまだ到達していない。
「ここ最近ふとした時に新天さんの顔が浮かびます。けど、好きの定義が、ずっと一緒にいたい、もっと深く関わりたい。というものなら、申し訳ないですが、好きまでは到達できてないです」
彼女を傷つけることになろうとも、俺は本心を告げる。
あ、あとあのことも言っといたほうがいい気がするな。
俺の中学の頃の話を。
固まる新天さんを他所に、俺は過去の話を始める。
俺が人を信じられなくなった理由、独りになると決めた理由を。
「中学の頃、実は俺一回告白されてお付き合いしたことがあるんです。新天さん程ではないですけど、とても可愛らしい子でした。俺にとっての人生初彼女。それだけでも嬉しいのに顔が良いなんて贅沢を味わいました。調子にのっていた俺は、デートに行った時のお金はほとんど出していました。それに、そんなに高いものではないですが装飾品のプレゼントを贈っていたりしました。間違いなくあの頃の俺は幸せでした。
ですが知ってますか新天さん。幸せと不幸のバランスは五分五分に保たないとダメなんです。俺が彼女と付き合って得た幸せはとても大きいものでした。だからこそ不幸はそれに見合うものでは無いといけなかったのです。
ある日俺はコンビニへと歩を進めていました。それはもうルンルンに。―ですがある光景を見てそんな気持ちは爆ぜます。コンビニの前には俺の彼女がいて、その彼女の前には、学校一のヤンキーがいたんです。それだけならまだ絡まれてるだけかと思えたのですが、俺のプレゼントした装飾品を彼に手渡し始めたのです。俺はそんな光景を信じたくなくて、一気に今来た道を戻りました。
そして次の日、彼女にそれを伝えると「あーバレちゃったか。じゃあもういいやさよなら〜」と告げられ、事実上の破局となりました。彼女は次の日には新しい彼氏が出来ていました。俺なんてただの金蔓だったんです。そんな事があってから、俺は余計オタク趣味やゲームなどに没頭しました。人は裏切るもの、嘘をつくものだと決めつけて今に至ります。」
黙って長々とした俺の話を聞いてくれた新天さんは何かを考えているようだった。
「新天さんが信じられない訳では無いです。でも、新天さんとお付き合いしたら中学の頃とは比べ物にならないくらい幸せだと思います。そしたら不幸もあれ以上のものが俺に襲いかかってくると思うと……」
「じゃあ試してみましょう。」
「え?」
突然声を出した新天さんに驚き、素っ頓狂な声が漏れる。
それより試すってどういうことだ?
「勇人くんが人を好きになれるまで私がそばにいます。結果的に私を選ばなくたって何も言いません。去勢もしません。これでどうですか?」
どうですかって…それじゃまるで俺が新天さんを利用しているみたいじゃん。
「とても嬉しいんですが新天さんは貴重な高校生活を俺なんかと一緒でいいんですか?」
「はぁ…何回言えばわかるんですか?」
わざとらしく大きなため息を吐いた新天さんは、俺の瞳をまっすぐ見つめて言った。
「―結果がどうであれ、愛する人のそばにいれるだけで私は満足ですよ」
その笑顔はひまわりのような笑顔で俺はそんな笑顔に心を奪われた。
「だから私と付き合ってみませんか?」
俺は新天さんの時間を貰ってもいいのか。
新天さんは良いって言ってくれたけど俺のことを好きだと言ってくれたのにお試しなんかで付き合ってしまって良いのだろうか。
「―勇人くん。私は大丈夫ですよ。……いや、下心なんて無いですよ?本当ですよ?お試しで付き合ったらもうこっちのもんだなんて思ってないですよ?」
なんか勝手に墓穴ほった気がするんだけど大丈夫かな?
「だから私と恋人ごっこしましょ?」
はぁ。
新天さん墓穴掘ったの気づいてないよね…。
―でも恋人ごっこか。
新天さんの本音はダダ漏れだけど、そろそろ俺も変わらないといけないかな。
こんなチャンス二度とないしな。
よし!
俺は新天さんの方へ手を差し伸ばす。
「俺と恋人ごっこをしてください」
「はい。よろこんで」
そうして俺たちの恋人ごっこが始まった。
「勇人くん恋人ごっこ了承してくれました…」
私は幸せに頬を緩めてしまいます。
事実上は“恋人ごっこ”ということになってますが、こうなったらこっちのもんです!
気づいたら勇人くんは私にメロメロです!骨抜きです!
「ふふふ…覚悟してくださいね勇人くん!私の魅力で魅了してあげます!」
何と言っても私にはお母さんがついています!人生の先輩だし、結婚してるしきっと――。
「無理よ。あなた貧乳じゃない」
あれどうしましょう。これまでにないほどの殺意が湧いてきます。
「だってあなたより身体の魅力を持つあたしでさえお父さんしか捕まえられなかったのよ?そんなあってないような胸で…フッ…」
「おいこらお母さん。今鼻で笑いましたよね?」
「い、いや?笑ってないわよ?その胸を見て笑ってなんか……ぶふっ」
そう言って吹き出すお母さん。
どうしましょう。仮とはいえ勇人くんとお付き合いできてなかったら殴っていたかもしれません。乳を。
「ごめんごめん。そんなに胸ガン見しないで!?穴が空いちゃうわ!あなたの場合は即肋骨だけど♪」
よーぉし決めました!家族の縁を切ります!もう怒りました!どこですか!市役所行けばいいんですか!?
私は振り返り、玄関に向けて足早に向かいます。
「あーうそうそ!ね?ごめんね?」
お母さんは私の手を掴み、歩みを止めようと謝ってくる。
確かに少し冗談混じりだったので全然許します。
ですが怒っていたのは事実ですのでただで許すのは気が引けます。どうしてやりましょうか……。
あ!そうだ!
「次言ったらその脂肪切り落としますからね」
「は、はひぃ……」
私は腰の引けているお母さんと一緒にリビングへと戻りました。
さて、作戦会議の始まりです!
「ただい―」
「兄貴ッ!」
「はひっ!」
俺が呑気な顔をして家に帰ると結花が怒りの形相で玄関で待ち構えていました。
「朝の女はなに!」
「新天さんだけど……なんで怒ってるの?」
「新天さん?新天さんってあの新天円香?」
「うん。そうだけど」
すごい怒っている結花はずんずんと足音を鳴らして俺へ近づいてくる。
「あの人がゆいのお姉ちゃんになるの?」
「いや考えが飛躍しすぎ!」
「でも…」
結花はなんとも言えない表情で怒りを浮かべいる。
いやいやそもそもなんで結花が怒って……―あ、そういえば結花も変な事言ってたよな?
「そういえば朝に言ってた俺と変なことしたって何?」
「いや、それはその…」
やっと俺が話の主導権を握ることが出来た。こうなったら結花を撃退することなんて容易いだろう。
「俺が寝てる間にしたのか?」
「いや…その…」
「どうなんだ?」
そろそろ蹴られたりすると思うけどあんまり新天さんのことを詮索されるのは嫌だからまだ畳み掛ける。
「謝れば許してやっても―」
だが次の瞬間、耳を疑うようなことを言った。
「―ゆ、ゆいが寝てる時に!(あながち間違ってない!)」
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「は?」
「も、もう部屋戻るから!じゃあね!」
そう言い残して自分の部屋へと戻っていく結花。階段を上る彼女のスカートが短すぎてパンツが見えていた。―だが俺の中ではそんなものどうでも良かった。
なに?俺無意識下のうちにあいつにやってはならないことをしてたの?
えぐくない?それ相当えぐいよね?
ごめんなさい新天さん。
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