兜の将軍と亡国の姫と補佐官と

きりんのつばさ

嫁入り当日、その3

「遅れましたがラウラ様、そろそろお着付けの時間です。準備よろしいでしょうか?」
「あ、はい。分かりました。一つお願いがあるのですがいいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「着替えている間、お話相手になってくれないですか?」
と私が彼女に聞いてみると、一瞬ポカンとした表情をしたが、すぐに
「私でよければ構いませんよ」
「ありがとうございます。リセさんからみてネルフェ様はどんな方ですか?」
「リセで構いませんよ。そして敬語で無くて構いませんよ」
「じゃあ私もラウラでいいよ」
「分かった。リセからみてネルフェ様はどんな方なの?」
「それを語ったら2日は潰せるよ‼️」
「・・そうなの?」
「そう‼️だって私の自慢の上司だからね‼️」
と大きい胸を張って自信満々に言っていた。
・・これは私への当てつけかな?
「リセってネルフェ様の事が本当に好きなんだね」
というとリセの顔がこれでも無いぐらいに赤くなり
「な、な、な、何をい、い、い、言っているのかな?わ、わ、わ、私がネルフェ様の事をす、す、す、好きだなんて・・」
・・・うわー分かりやすいな、この子
「だってあんな熱い目でネルフェ様を見ていたら誰だって分かるよ」
「・・1人分かってない人がいるよ〜」
「それがネルフェ様だと」
「そうだよ〜〜、毎回腕に抱きつくときに胸を押し付けたり、風呂や寝室に忍び込んでいるのに何もしないんだよ‼️」
いや、それはやりすぎなんじゃないのかな?そう思いながらも彼女の愚痴は続いた。
「この前なんか町で買った今年の流行りのワンピースを着て、屋敷を歩いたのにさ。ネルフェ様なんて言ったと思う?
『ワンピース綺麗だな。なんか気になっている男性でもいるのか?なんなら私からお見合いの機会でも作るか?』だって‼️貴方様ですよ‼️鈍感にも程があるって‼️」
・・ネルフェ様ってかなりの鈍感なのかな?
「ネルフェ様にお見合い話が来るたびに毎回リセチェックをして、ネルフェ様に相応しいか、チェックしてるのに・・」
「クスッ」
「あ」
「あっ、ごめん。つい見てて面白くて」
「酷いよ〜こっちは真剣なのに・・」
「でもネルフェ様のこと本当に好きなんだね」
と私がいうと優しい笑顔になり
「うん、大好き。戦争の中私を助けてくれて、そして私を自分の娘の様に育ててくれた」
そして自分の胸に手を当てながら
「あの人は私の生きる理由に等しいんだ。あの人の為なら本気でなんでもやれるよ」
「リセをそこまで言わせるなんて、ネルフェ様って本当に凄い人なんだね」
「私にとっては凄いなんかじゃ言えない、それ以上の人。あの人がどんな事になっても私は最後まで味方でいるよ」
と言った彼女の顔はとても綺麗だった。

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