気づいたら魔王軍の親衛隊やってた凍結中

AdieuJury

2話

玉座の間で話を終えた俺達は、すぐに訓練場へ向かった

「よし、なら早速スキルの練習を始めましょ!」

いきなりか...まぁいい

「と言っても、教えてあげられるのは『ノーマルスキル』と『ユニークスキル』のことだけだけどね『アメイズスキル』に関しては、それぞれ特殊すぎて、効果がわからないのよ」
「そうか、ならまずは『ノーマルスキル』から教えてくれ」
「わかったわ。まず、あなたのステータスにあった「初級魔法」「索敵」について教えるわ。この二つについては、まず魔力について説明するわね」
「魔力?」
「魔力っていうのは、簡単に言えば血液よ。血液のように身体中を常に巡っているもの、それが魔力よ」
「なるほど、わからん」
「ふふっ、まぁそうよね。じゃあまずは深呼吸して、脱力してみて」
「わかった」

すぅー、はぁー、すぅー、はぁー
っとイブに言われた通り深呼吸をすると、血流とは違う何かの流れを感じた

「感じれたかしら?」
「あぁ、これが魔力か?」
「そうよ、じゃあその魔力を手のひらに集めて放出してみて。最初はできないと思うけど、なれると思うから」
「わかった」

魔力を手に......
それを放出!

ポンッ!

っという音を立てて青白い玉が手のひらから出てきた

「なんだ、簡単じゃないか」
「え!?」

ん?変なことをしたか?

「...なんでそんな早く出来るのよ!?」
「え?普通じゃないのか?」
「普通な訳ないでしょ!」
「そ、そうか」

まぁ出来て悪いことはないだろう

「もう...まぁそこまで出来るならもう「初級魔法」と「索敵」は使えるわ。「初級魔法」は魔法名を言って放つだけだし、「索敵」はその魔力を薄く広めるだけだしね」
「そうか、案外簡単なんだな」
「...普通は一日かけて覚えるものよ...」

あ、それを考えると俺早すぎだな
たった数分でできるようになったし

「まぁいいわ、次に「鑑定」と「真偽」だけど、これについてはとっても簡単よ。「鑑定」は心の中で「鑑定」と言いながら相手を意識してみること、「真偽」は相手の話を注意深く聞くことよ」

いくらなんでも簡単すぎないか?

「実際にやってみた方が早いわね。私のステータスを「鑑定」してみなさい」
「わかった」

よし...鑑定

イブリース
職業  魔王
《魔眼》『魔剣』『剣聖』『大魔道』『魔拳』『魔圧』「上級魔法」「上級剣術」「威圧」「鑑定」「索敵」「隠蔽」「真偽」
魔法適正 火、水、風、地、雷、闇
称号  魔王  幼女  甘えん坊  泣き虫  破壊者  剣を極めし者  魔法を極めし者  体術を極めし者  

......色々おかしなものもあるな

「おい、イブ」
「なに?鑑定できた?」
「「隠蔽」はかけなくてもよかったのか?称号が丸見えだぞ?」
「え!?」

すぐさまイブは確認した

「...かけるの忘れてたわ」
「...そうか」
「忘れて頂戴!」
「さすがに無理だ」
「うぅ〜...」

イブの顔が赤くなっている
恥ずかしいのだろうか
そりゃ称号で甘えん坊とか泣き虫とか見られたら恥ずかしいよな
俺はまだそんな称号すらないけどな
勇者の称号もなかったとなると...
俺は何の目的で召喚されたんだろうか...

「...過ぎたことを言ってもしょうがないわ。その代わり、責任取りなさいよね」
「責任?」
「私を甘えさせなさい」

...え?

「だから、私があなたに甘えることを許可しなさい」
「...まぁいいか」
「いいの!?」
「お前が頼んだんだろ?それにここに住まわせてもらうわけだし...それくらいならいいぞ」
「...ふふっ、ありがと」

なぜ礼をいわれるんだ?
わからん...

「まぁその話は置いといて、次に『ユニークスキル』について、説明するわね。といっても、私のステータスを見てわかったように、『魔剣』のことについてしか教えられないから。『黒炎』と『魔装』なんて聞いたこともないしね」

そうなのか...『黒炎』は一番期待していたが...しょうがない

「わかった。それで頼む」
「じゃあ私の言う詠唱を手に魔力を集めながら復唱してみて」
「わかった」
「じゃあ行くわよ...『古より携えられし伝説の魔剣よ...」
「『古より携えられし伝説の魔剣よ...」
「我が呼びかけに答え、今ここに現れよ!』」
「我が呼びかけに答え、今ここに現れよ』」

二人がそう詠唱すると、足元に魔法陣が現れ、そこから剣が出てきた
イブの剣は鮮やかな藍色の美しい剣だ
灰斗の剣は刃、柄、鍔の全てが黒く染まっている
灰斗はその黒い剣を持つと、なにやらすごい魔力が流れているのを感じ取ることが出来た

「これが...魔剣か」
「そうよ、私のは『魔剣ティルフィング』っていうのよ。カイトのは?」
「俺のは『魔剣レーヴァテイン』と言うらしい」
「というか、よく召喚できたわね...」
「ん?どういうことだ?」
「召喚するには一定の魔力を超えていなきゃならないのよ。つまりカイトの魔力量は最低でも私の半分以上の魔力を保有していることになるわ」

マジか...俺すでにそんなに持ってるの?
ってかどんだけ異常なの?

「聖剣だとそこまでの魔力量は必要ないんだけど...どうしても聖剣よりも魔剣は燃費が悪いからね。威力は魔剣の方が高いけどね。あ、それと、一回成功したら、こんな長ったらしい詠唱をしなくても呼び出せるからね。来いっ!ってくらい短くても来るし」

聖剣は効率重視で、魔剣は威力重視ってところか
ってかそんな短い詠唱で呼べるのか...

「はぁ...もうノーマルスキルとユニークスキルで教えられることはないわね...」
「いや、最後にもう一つ」
「なに?」
「剣術だ。魔剣を持てても振れなきゃ意味無いからな。実践形式でいいから俺と模擬戦の形で戦ってくれ。それで戦い方をつかむ」
「わかったわ。それなら私も教えられるわね」
「助かる。ルールは剣術のみの戦闘で、相手が気絶または降参で決着だ。殺しはなしだが、本気できてくれ」
「いいの?本気でやったら数秒で終わるよ?」
「あぁ、構わない。俺も黙ってやられるほどではないと思うがな」
「わかったわ。じゃあこのコインを投げて、地面についたら開始ね」
「わかった」

その灰斗の言葉と同時にイブはコインを投げた
そしてそのコインが落ちて...

キンッ......

その音と同時に二人が動き出した
しかし早いのはイブだ

「一瞬で終わらせるわよ!」
「させるか!」

イブが突進しながら剣を振り下ろす
一応峰打ちのようだがかなり速い
それを灰斗はなんとか防いでいた
しかし...

「甘いわよ! 」
「なっ!?」

防いだ瞬間にイブの姿が灰斗の前から消えた
そして...

「...まいった」

次に灰斗がイブに気づいた時には首元に『魔剣ティルフィング』の刃が突き立てられていた

「さすがに無理か。一泡吹かせてやろうと思っていたのだがな...考えが甘かったな」
「いや、本当なら初撃の峰打ちで気絶させようと思ってたからね。こっちの世界に来たばかりであの攻撃に反応できるのは大したものだと思うわ...」
「それでも悔しいな...またやってくれるか?」
「もちろん!灰斗には強くなってもらって、スヴェトラーナを救ってもらわないとね!」
「スヴェトラーナ?」
「この国の名前よ」
「あぁ、スヴェトラーナって言うのか。まぁ確かに俺は強くならなきゃならんな」

そして...あいつらを相手にしなければならない
勇者の中には香織もいるだろう...
それでも来るならば殺しはしないが、倒すしかない
...最善を尽くすか

「あ、そうだわ。もうそろそろ軍隊が帰ってくる頃よ。一時休戦の状態に入ってるから、警戒はするけど、大きな戦いにはならないと思うし」
「そうなのか?」
「相手も相当な戦力をつぎ込んできたからね。また戦力を蓄えてないといけないから、一ヶ月は大きい戦いにはならないと思うわよ?」

そういうもんか?
まぁいいや

「じゃあ俺はなにをすればいい?」
「そうね...私の親衛隊でもやってもらおうかしら」
「親衛隊?」
「そうよ、親衛隊はこの国で一番強い三人がなれる部隊で、今はその第三席が戦死してしまったから、欠番なのよ」
「でも他に文句をいう奴らも出でくるだろ?いいのか?」
「それは大丈夫よ、条件の中に魔武器系スキルを使えることっていうのがあって、今のこの国の兵士には親衛隊以外で使える人がいないから」

それなら...大丈夫じゃないな

「いや、それにしてもまだこっちに来て数時間だぞ?普通はそんな奴に親衛隊を任せられるわけないだろ?」
「それもそうね...じゃあ帰ってくるまでに、軍隊以上に強くなるって言うのはどう?」
「!?...そんなこと出来るのか?」
「私の予想だと『黒炎』と『魔装』が使えるようになればすぐに強くなれるわ。『魔王剣』に関しては、お父さんに聞くのが一番早かったんだけど...」

...あれ?さっきその二つのことは知らないって言ってなかったか?

「そう思う理由は?」
「私のお父さん...先代魔王も、私達が今まで見たことないスキルを持っていたからよ」
「なるほどな...」
「そのスキルは《乖離》といって、二つ以上のものを切り離すスキルよ」
「それは強いのか?」
「強いなんてものじゃないわ。簡単に人も殺せるスキルよ。例えば、身体と血液を切り離して殺すとかも可能よ...だけど、直接繋がっているものはダメみたい。例えば、身体と心臓とかね。これは一つのものとして扱われるらしいのよ。まぁどちらにせよ、対象が死ぬことに変わりはないけどね」

何そのチートスキル
強すぎるだろ

「そのスキルは今まで出てきたことがないスキルだったわ。文献にも出てこないスキルだし...だから、カイトのその二つも、多分お父さんと同じくらい強いスキルの可能性があるのよ」
「へえ...それで俺のスキルも強いと判断したわけか」
「そうよ」

それなら納得
まぁ強いとは限らんけどな

「そういえば、さっきの模擬戦の前にスキルのことを話しておけばよかったわね。そうすればもう少しやりあえたかもしれないのに」
「まぁそれを言っちゃ言い訳だからな。負けは負けだ」
「ふーん...まぁいいわ。ということで、早速試してみましょ?確かカイトは『解析』を持っていたわよね?鑑定と同じように自分のスキルを調べてみて。あ、ちなみにノーマルスキルは人によって覚えているスキルや魔法が違うから、それも確認してね?」
「わかった」

やって見るか...解析

「初級魔法」
簡単な魔法を使えるようになる
・火球・・・火の球を飛ばす
・水球・・・水の球を飛ばす
・風球・・・風の球を飛ばす
・土球・・・土の球を飛ばす
・雷球・・・雷の球を飛ばす
・光球・・・光の球を飛ばす
・闇球・・・闇の球を飛ばす
・体力回復・・・体力を回復する
・精神回復・・・精神力(魔力)を回復する
・状態異常回復・・・様々な状態異常を回復する
・身体強化・・・身体能力を強化する
・属性付与・・・属性を一つ付与する
・道具倉庫・・・道具をしまう空間を作る
・武器生成・・・思い描いた武器を生成する、特殊武器は不可

「初級剣術」
簡単な剣術を使えるようになる
斬撃波ざんげきは・・・斬撃を飛ばす
剣闘乱舞けんとうらんぶ・・・五~十の連撃を行う

「初級刀術」
簡単な刀術を使えるようになる
舞斑雪まいはだれ・・・敵の横をすり抜けながら切り捨てる
蒼破刃そうはじん・・・前方の敵に対して、斬撃の球を飛ばす

「鑑定」
あらゆるものを調べることが出来る
ただし詳しく知ることは出来ない

「索敵」
広げた魔力に触れたものを察知する
魔力量によってその範囲が変化する

「真偽」
相手の話している言葉が真実か否かを判別する

『魔剣』
人によって種類は異なるが、魔剣を呼び出すことが出来る
なお、一度召喚した魔剣は二度目以降は同じ魔剣が召喚される

『黒炎』
決して消えることのない黒い炎を生み出す
この炎を消すには、対象を燃やし尽くす、術者本人が意図的に消す、または聖水を使うしかない


『魔装』
魔力を体に纏い、鎧のようにすることが出来る
・『魔装・朱雀』
・『魔装・青龍』
・『魔装・白虎』
・『魔装・玄武』

『解析』
鑑定よりもより詳しく調べることが出来る
ただし、他人のステータスを調べることは出来ない

《魔王剣》
魔王剣を呼び出すことが出来る
なお、一度召喚すると、二度目以降は同じ魔王剣が召喚される

《妖刀》
妖刀を呼び出すことが出来る
なお、一度召喚すると、二度目以降は同じ妖刀が召喚される

とまぁ、こんなところか
やっぱり思った通り『黒炎』と『魔装』はかなりのチートっぽいな
『魔装』には種類があるから、また今度試してみるか
あとはアメイズスキルの二つは『魔剣』と同じ感じか
上位互換ってとこだろ
多分使いこなせないけど...

「確認終わったぞ」
「ほんと!?で、どうだった?」
「あぁ、結構強そうなスキルが多かったよ。それに、初級魔法ってあんなにあるんだな。びっくりしたよ」
「え?」
「え?」
「一応私も初級魔法の時は八個だったけど...何個あったの?」
「あぁ、ええっと...全部で十四個だな」
「十四個!?」
「なんかそれぞれの属性の簡単な魔法一個ずつと、回復系三個だろ?あとは身体強化と属性付与、それに道具倉庫と武器生成で、計十四個だ」
「道具倉庫?武器生成?なによそれ...そんなの魔法聞いたことないわよ!?」

え?マジで?
俺どんだけ規格外なの?

「まぁあるんだし、有効利用させてもらおうぜ?」
「そ、そうね...でも普通の初級魔法は二、三個よ?私も八個だし...」
「まぁ気にすんな。とりあえず今日はもう疲れた...休めるところはあるか?」
「それなら、最初にいた部屋を使っていいわ」
「わかった、じゃあまた明日な」
「うん、また明日」 

その日、灰斗はめちゃくちゃ疲れていたので、ぐっすりと眠ることが出来た

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品