気づいたら魔王軍の親衛隊やってた凍結中

AdieuJury

4話

「参るっ!」
「来いやぁぁぁ!!!」

アネスは槍を使った突進をしてきた
まぁ最初はオーソドックスにくるよな
なら...

斬撃波ソニックブーム!」
「なにっ!?」

突進してくるアネスに向かって斬撃波を放ってみた
案の定驚いてはいるが、ギリギリのところで躱された
そして、躱すと同時にアネスは突進を続けた
ここまでは予想通りだ
俺は突進の一撃を受け流し、鍔迫り合いに持っていった
鍔迫り合いならリーチの短い方が有利に動けると思ったからだ
しかし、アネスはすぐに弾いて距離をとった
槍と剣ではリーチが違う
それを利用してくるんだろう

「ふふっ...やるではないか」
「まだまだこれからだ」
「面白い...見せてもらおうか!」

再び突進をしてきたが...何かが違う

音速槍アクセルランス!」

アネスの突進速度が急激に上がった!?
まずいっ!?

「くっ!」

灰斗はとっさに槍の切っ先を件で受け流し、攻撃を躱した
あっぶねぇ...
あと少し回避が遅かったら腹を刺されてたな...

「ほう、これも躱すか」
「お前、強すぎだろ...」

一応見えたけど...やばいな

「ならば...我が奥義の一つを見せてやろう。死なんとは思うが...まぁ頑張れ」
「めちゃくちゃ心配になること言わないで!?」

くっそぉ...
だけど見た感じ連撃系の技を放とうとしてるのか?
なら...

「我が連撃を受けてみよ!」
「受けて立つ!」

そう言って二人は走り出した
そして...

「奥義『乱槍アサルトランス』!」
剣闘乱舞けんとうらんぶ!」

ドゴォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオン!

という音と同時に砂煙が舞った
やがて砂煙は晴れ...立っていたのは

「はぁ、はぁ、はぁ...ふぅ。異世界初勝利ってとこか?」
「ぐっ...まさか、ここまでとは...」

灰斗だった
アネスは仰向けで倒れていた

まさか勝てるとは...ってかアネスが親衛隊ってことは、魔族の中でもかなり上の方ってことだろ?
ていうことは......

「なぁ、イブ」
「なに?」
「お前強すぎじゃね?」

灰斗はこの結論に至った
だってどう考えてもおかしい
昨日惨敗したのに普通勝てるわけがない
しかしイブから返ってきた回答は違った

「違うわよ、カイトの動きが一日で変わりすぎなのよ」
「へ?」
 
ど、どういうことだ?

「だから、昨日とは別人並みの強さって言ってるの。それだけ強いと...私でもギリギリってところね。私とアネスの強さってほとんど同じくらいだもの」
「は?それはないだろ」

昨日はあれだけ酷かったのに

「じゃあ非常識なカイトにどこがおかしいか教えてあげるわね」

おい

「まず一つ目。昨日のままだったら、音速槍の段階で終わってたわ。だって私の動きもあれくらいの早さだからね。つまり身体能力が大幅に上昇しているのよ」

...こいつ音速で動けるのか

「次に二つ目。カイトの斬撃波の大きさが大きすぎることね。私も使えるけど、普通はあれの三分の一くらいよ。斬撃波の大きさは魔力に比例するから。単純に考えて私の三倍くらいの魔力を持っているってことね」

たしかに月牙〇衝みたいな大きさだったな...

「で、最後。乱舞系の技の連撃の多さね。普通のは三~五くらいなんだけど、さっきアネスは最大の五連撃を放ったのに...カイトは十連撃だったわよね?そんなスキルは見たことがないのだけど...もう驚くことが多すぎて疲れるわ...」

ご愁傷さまです

「それにしてもなんで急に強くなったの?昨日と比べて変わったこととかない?」
「うーん...」

変わったことか...あっ

「そういえば気分が良くなったな」
「え、気分?」
「おう、なんかこっちに来たばかりの時は気分が悪いってか...体が重かった感じだったんだよ。それが今はないな」
「なるほど...それが原因かもね」

まぁ強いことはいいことだろ

「それにしても凄いわね...剣術も、もう教えることないし」
「...まだ剣を手にして二日目なんだが」
「それでもよ!槍をあんなにキレイに受け流すなんて私もできないし...むしろ教えてもらいたいわ!」

いや、それは無理じゃないかな?
流石に自分でもよくわかってないものを教えるのは無理...とは言えないので

「また今度な」
「いいの!?」
「そりゃ、住まわせてもらってる側だし...断る理由もないしな」
「カイト...ありがとね!」

うっ!笑顔が眩し過ぎる...

「じ、じゃあとりあえず魔法の訓練しようか」
「わかったわ!」

じゃあまずは...

「周りに被害が出なさそうな身体強化からやろうか」
「おっけー!身体強化は全身に魔力を巡らせて、それをなるべく速く循環させるって言えばわかるかしら?」
「おう、それで多分大丈夫だ」

さて、やってみるか
まずは全身に魔力を巡らせて...

ミシミシッ......

「ちょ、ちょっと?」

それを循環させる!!

バキィ!!

「ちょっとぉぉおお!?」
「ふぅ...成功か?」
「なにが『ふぅ...成功か?』よ!成功してるけど、何よその身体強化!おかしいんじゃないの!?」
「へ?」
「足元を見なさい!」
「足元?」

なにがあるんだってうわぁ!?
よく見ると円形に地面がなくなってる!?
なにこれ!?
バッキバキじゃん!
でも.........

「これって普通じゃないの?」
「なわけないでしょ!!」
「そ、そうなのか」

俺どんだけ規格外なんだよ...

「この調子だと攻撃魔法はもってのほかね...敵襲の前に城が壊されちゃうわ」
「そ、そんなにか...」
「そんなによ、ほかの魔法を練習しましょ?身体強化も、調節しないとね」

...つ、辛そうだな

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はぁ...疲れた」
「私も驚き疲れたわ...全部規格外なんだもの」

とりあえず一通り確認は終わった
といっても、武器生成で鉄の剣作って、それに属性付与で属性付けたり、道具倉庫にもの沢山入れたりしただけだけどな
イブにも全部見てもらったが、本当に規格外らしい
うれしいやら悲しいやら...
あとは初級刀術の確認だけだけど...

「私はカタナ?なんて武器を見たことがないわ」
「失礼ながら私もです」

なんてこった...
俺も実物は見たことがない
武器生成はそのものをイメージすることができないと生成することができない
妖刀ならやれるかも知れないが...

「...正直怖いんだよなぁ」

イブに聞いたところ、アメイズスキルは強力だが、失敗した時の反動リバウンドもあるらしい
イブの魔眼は一日に十回使用できるが、使用回数を超えると、一日目が見えなくなるという反動だ
俺のスキルを解析で詳しく調べてみると...


《魔王剣》
魔王剣を呼び出すことが出来る
なお、一度召喚すると、二度目以降は同じ魔王剣が召喚される
反動リバウンド:失敗時、魔法を一切使えなくなる。期間は一日

《妖刀》
妖刀を呼び出すことが出来る
なお、一度召喚すると、二度目以降は同じ妖刀が召喚される
反動リバウンド:失敗時、即死以外の状態異常に陥る。期間は二日


こんな感じだ
魔王剣は魔法を一切使えなくなる...これは刀術や剣術のスキルは使えるのでなんとかなるが、問題は妖刀だ
即死以外の状態異常に陥る...これは本当にやばい
戦闘中にやってしまったらどんなに格下であろうとも負ける
最悪死ぬかもしれない
...だから逆に今やっといた方がいいのかな?
うーん...どうしよう








よし、やろうか

「ちょっと離れててもらってもいいか?」
「...何するの?」
「俺のアメイズスキルを試す」
「「!?」」
反動リバウンドの性質上お前らに迷惑はかからないとは思うが...念のため、な?」
「わ、わかったわ」
「陛下、こちらへ...」

さすが俺の中で一番真面目とされているアネスだな
仕事が早い
あいつらもちゃんと離れたな...
さて...やってみるか

不思議と詠唱は頭の中に流れ込んでくる

「『古より携えられし妖刀よ、我が名は灰斗、我は汝の力を求む、汝、我の呼びかけに応え、今ここに顕現せよ』」

灰斗が詠唱を終えると、魔剣の時と同じようで少し違う魔法陣が足元に現れ、そこから刀が出て来た

「これが妖刀か...」

刀を鑑定すると、名前が出てきた

『妖刀・夜刀神やとのかみ

どうやらこれが俺の妖刀のようだ

「できたぞ」
「「ホント(か)!?」」

イブとアネスは俺がそういうと、驚いた様子でこっちに走ってきた

「これが、カタナ?」
「そうだ」
「ふーん...」

あまり関心がなさそうだ

「よーし、とりあえずぅ...」

なんだ?急に眠気が...

「ちょっと!大丈夫!?」
「カイト殿!?くそっ、反動リバウンドか?」

い、いし.き.が...た...も..て...ない...

そのまま灰斗の意識は闇に飲み込まれていった

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