呪血使いに血の伴侶を。~マイナスからのスタートチート~

創伽夢勾

C17:勧誘

 俺はあくびをしながら目を覚ました。横を見ると、すでにメアは起きていてミスリルの短剣を丁寧に磨いていた。

「おはよう。メア」

 俺がメアに声をかけると、慌てた様にミスリルの短剣を床へと落としそうになる。
 俺はそんな様子につい笑いしてしまう。

「お、おはようございます。ハク様」

 メアは立ち上がり、ぺこりと頭を下げる。そのまま短剣を拾うと、二本とも腰の鞘へと納める。
 俺もその間にローブを着込む。俺たちは準備を済ませると朝ごはんを食べるために食堂へと向かった。
 そのあとはマキナの料理を食べ、昨日と同様ギルドに向かった。


 俺たちがギルドに着くと、周りから視線が集まる。昨日とは違いメアだけでなく俺にも向いているようだ。
 カウンターの方へと目を向けるとシーファがこっちに向けて手招きしていた。
 シーファのもとに向かうと、周りの視線は俺たちを追う。ある程度品定め的なものが終わると、視線は各方向に散らばった。

「大変ですね新人ルーキーは」

 ニヤニヤしながらシーファが俺に向けて言ってくる。どうやらシーファが言うには昨日のことがギルド内で広がってしまった、ということらしい。

「めんどくさい事この上ないな」

 とりあえず、昨日に引き続き何か依頼がないか聞いてみる。すると、シーファは昨日と同様掲示板から3枚ほど依頼書を見繕う。

ゴブリン5体の討伐:(E)
フォレストウルフ3体の討伐:(E)
バブルスライム:4体の討伐:(E)

「おい、ちょっと待てこれ、ぜんぶEランクじゃねーか」
「だってー、昨日もEランクの討伐依頼受けて無傷で帰って来たじゃないですか」
「『だってー』じゃねーよ、もういいや」

 俺はそんなことを言いながら、フォレストウルフ3体の討伐:(E)の依頼書にハンコを押してもらい。それを受けることにした。
 めんどくさい。あのやりとりをするのが、っていう俺の気持ちをよそにシーファは俺たちに向けて手を振っていた。

「行ってらっしゃーい」

 そんな見送られる言葉を聞きながら、俺たちはギルドの外に出た。

「とりあえず、リックのところに行くか」
「リックさんのところですか?」
「あのスチールの剣じゃ物足りなかった」

 俺は昨日の戦闘を思い出した。血の能力は表立って使えないため、何か他に武器になるものを持っていた方が楽なのだ。

「酢でって言うのも考えたんだけど……」
「やめましょう。すぐにリックさんのところに行きましょう」

 俺の言葉を遮るようにメアが俺の手を取り、リックの武器屋へと歩を進めた。

「ほい、いらっしゃいってハクじゃないか。なんだい、昨日の今日で」

 俺たちが武器屋い着くと、きちんと起きていたリックに出迎えられた。
 リックに今の抱えている状況を俺は出来るだけ秘密がばれないように伝えた。

「なるほど、つまりだ。俺の作った剣が気に入らないと」
「なんだ、あの剣作ったのリックか。ってことはメアの持ってるミスリルの方も?」
「いんや、そっちは親父が作ったもんだ」
「今親父さんは?」

 俺は何か地雷を踏んだのか、リックの雰囲気が沈んでいく。この雰囲気から察するに親父はもうすでに亡くなったとかそんなところかな?

「いや、悪……」

 俺が謝ろうとしたその時、リックが手に持っていた片手用のハンマーを店の壁に立てかけてある盾へと投げつけた。
 ガコンッと音を立ててハンマーと盾は床へと落ちた。

「あんのくそ親父『俺にはまだ求めるものがある。娘よこんな悪いお父さんを許してくれ! あとこの店は好きに使っていいから』じゃねーよ。ふざけんなよ」

 リックはぶちぎれていた。俺の予想はどうやら外れたらしい。横にいたはずのメアは驚いたのか俺の後ろに回り、しっかりと俺のローブを握っていた。

「っち、すまねーな。あれのことを思い出すとどうしてもな。この店にあるのは大半は親父が作ったものだ。私の腕前じゃまだまだだからな。レベル上げにも行かなきゃ出し」

 俺はそんなリックを見てつい声をかけてしまった。

「手っ取り早くレベルを上げる方法があると言ったら?」
「ハ、ハク様?」

 俺の言葉に驚いたようにメアが反応する。だが、メア以外にも反応した奴が一人。
 リックは頬についたススを擦ると俺に尋ねてくる。

「その方法とは?」

 早速食いついてきてくれたようだ。

「流石にそんなほいほいと教えることは出来んな。ただ、メアの反応を見ればわかると思うが、嘘は言ってないぞ?」
「確かに、嘘をついてるようには見えないな」

 メアは俺とリックに見つめられあたふたしていた。俺はそれを見て笑いそうになるがそれをぐっとこらえた。

「リック。それを教えるにあたって俺から頼みがある」
「なんだ? 私にもできることとできないことがあるぞ」
「俺の、いや俺たち専属の鍛冶師になってくれ」

 俺は言い切った。俺はこの状況で鍛冶のスキルを覚えている暇もないし、メアには何とも向かなそうだ。それに俺たちはこれからいろいろな場所を巡って旅していくつもりだ。その町々でいちいち鍛冶屋に通うのも関係を築くのもめんどくさい。
 そう思って出た行動だ。
 リックは俺の言葉に右手を顎に当てて悩む。この様子を見る限り、特にこの場所にこだわることがないようだ。

「んーよし、なら証拠を見せてくれ。そのレベル上げの方法を実証したって方法を」

 なるほどそう来るのか、まぁ、確信のあるものじゃないと信じれないよな。
 手っ取り早く証拠を見せるには、レベルの上がり具合を見せることだが、俺のステータスは今の状況で見せるわけにはいかないしな。

「メア。ステータスウィンドウを出してくれ」

 メアは俺の意図を理解したのか、すぐにステータスを開く。俺はそのままレベル以外の部分を伏せてリックに見せるように言う。

「うん。見たよ9レベだね。まだ冒険者新人って感じだね」
「まぁ実際そうだからな。それでだ、この後俺たちは依頼で外に出るんだ。そこでメアのレベルをリックと同じまで上げてくる。これで証明になるか?」

 これでリックを引きこめるのなら特に越したことは無い。

「私のレベルは18だぞ?今日中に追いつけるものか」
「だからこそだろ? 証明になる。とういうことで俺たちは言ってくるよ。また明日来る」

 俺たちはそのまま、リックの武器屋を後にした。

「そう言えばハクの奴。結局武器はどうするんだ?」

 そんな疑問を残したリックが一人残されていた。

「呪血使いに血の伴侶を。~マイナスからのスタートチート~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ファリド

    17話の所に誤字があったので書いて起きます 素手が 酢で になっています この機会に他の話の所も見直してみる事をオススメします。 話は面白いのでこれからも頑張って下さい

    1
コメントを書く