呪血使いに血の伴侶を。~マイナスからのスタートチート~

創伽夢勾

C3:初戦闘

「って、ここ洞窟の中なのかよ」

 小屋の扉を開けて俺が目にしたのは、浅い洞窟の壁だった。
 洞窟の入り口からは、光が差し込んでいた。50m先にはもう出口が見えているからだ。
 俺が後ろを振り返ると、洞窟の周りの壁にすっぽりと嵌るように小屋が建てられていた。
 俺は歩いて洞窟の入り口を目指した。

 洞窟の外には、自然の広がる森があった。

「おいおい、これ外に出るのにどれだけ時間が……ん?」

 俺の目の前の茂みが音を立てて揺れる。
 その茂みからひょこっと顔を出したのは、可愛らしい。と……り?
 その鳥は、鶏と呼べる見た目だが、その体長は俺より高く2メートルはありそうだ。

「一番最初の戦闘がやたらと強そうじゃないか。普通こういう時ってスライムとかじゃ……ってやば」

 俺が喋ってる間にその鳥は俺に向かってその巨体をぶつけようとしてきた。
 俺はとっさに回避し、横に転がる。

「くっそ、動きのわりに早いじゃねーか」

 俺は右手を口に持っていく。そのまま親指を噛み、その皮膚を傷つける。
 そのまま俺は血液操作を使用し、落ちるはずだった血を宙に浮かべる。
 その血は、集まり短剣の姿を形成する、それは血性変化を用いて、血の短剣と化した。

「行くぞ、鳥」

 俺の言葉に反抗するように、鳥は叫びをあげる。
 そして叫び声をあげながら俺に向かって突っ込んでくる。
 俺もそれに合わせ、鳥に向かって走り出す。
 そこまで距離のなかった俺と鳥の間はすぐに衝突し、鳥は俺の後ろを駆けていく。
 そのまま、首を失った・・・・・鳥の巨体は地面に倒れ、俺の足元にはその鳥の頭が転がっていた。 すると、俺の頭の中にぴこーんと言う音が鳴る。きっとレベルが上がった音だろう。と仮説を立てた。

「あぁ、これが生き物を殺す感覚か」

 俺は短剣を握っていない手を、開いたり閉じたりして、その感触を確かめていた。

「思っていたよりは平気そうだ。とりあえず、ステータス見てみるか」

 俺はステータスを表示させる。すると、レベルが5も上がっていた。

「すごい、まさかこいつそんだけ強いのか?」

 俺は地面に倒れている鳥を見る。

「まぁ、最初は上がりやすいのは当たり前か」

 俺は鳥の死体に右手で触れる。すると、鳥の巨体は地面の上からなくなっていた。
 歪空の指輪に仕舞い込んだのだ。
 頭も仕舞い。俺は立ち上がる。

 俺は短剣を手に持ったまま、森の茂みを分けながら森の外を目指した。



 森をあること小一時間。魔物とも何度か遭遇したが、とりあえずは今のところ無傷だ。
 あの鳥以上の魔物とはまだ出会っていない。
 魔物を数匹倒したおかげか、レベルも9まで上がっていた。
 そうして歩いていると、木々の間から一本の道が見えた。

 森を抜け、道に出る。そこの道は意外に整備されていて、普通に歩ける。
 俺は周りを見渡す。右を見て、左を見ると3人の男性が俺に向かって走ってくる。
 フードの先端を持ち、俺は顔を隠すように深くかぶる。
 男たちは俺を視界にとらえると、腰にある短剣を引き抜いた。
 明らかに俺に対する敵対行為だ。

 俺は短剣を逆さに構える。

「おらぁ! ガキィ。邪魔だぁ」

 先頭の男が俺に迫ってくる。それに続くようにもう一人が短剣を構え、もう一人は弓をつがえる。
 俺と2人の男たちとの距離がだんだん縮まっていく。
 そして次の瞬間。俺は身を屈め、右手に持つ短剣を横にふるった。
 たったそれだけの行為で、男の振るった短剣は俺の頭上を越え、俺の振るった短剣は男の足を切り落とした。
 俺の横から耳を劈くような悲鳴が聞こえる。
 そうすると、もう一人の男が短剣を俺に向け、叫びながら突っ込んでくる。

 相手の足起きるとき、俺に躊躇いはなかった。俺は人の命を奪えるか?
 いや、俺は邪魔するものを見逃さない。俺に向けられる理不尽を許さない。

 俺は男の喉元に向かって、短剣を投げつける。
 スキルに投擲Bランクを持っている俺が投げつけた短剣は、狙い通り男の喉に突き刺さる。
 俺は走り、膝立ちになった男の喉元から短剣を引き抜く。
 すると、俺に向かって矢が飛んでくる。
 俺は身を反転させながら、矢を左手でつかむ。
 それと同時に俺に敵わないと思った、弓使いの男は無様にも俺に背を向け、逃げていく。

「お、おい待て。俺を助けろ!」

 足のなくなった男が逃げる弓使いにそう言うが、それでも弓使いの男の足は止まらない。

「チッ、面倒だ」

 俺は短剣を上に投げ、血性変化を解除する。
 それと同時に左手に持つ矢を右手に渡し、さっき敢えて・・・矢じりで負った傷口から血を血液操作で取り出し、上空の血と混ぜ合わせる。
 上空に浮かんでいた血は、俺の手の上で弓の形へと姿を変える。
 そのまま、血性変化で弓と弦としての性質を与える。
 弓は赤黒く、弦は深紅。そんな弓が俺の手にすっぽりと納まる。
 俺は矢を血で作られた弦に番える。
 そして強くそれを引く。
 素早く左手で狙いを定め、逃げる弓兵に向かいその矢を射た。
 その矢は男の後ろからちょうど心臓のある位置へと突き刺さる。
 そして男は力なく前のめりに地面に倒れた。

 すると、男たちが走ってきた方面から、剣を持った男が走ってくる。
 俺はすぐに血性変化を解き、左手の傷口から血を体内に戻す。そのあと、左手の傷は何もなかったかのように再生した。
 俺が血を仕舞ったのは、走ってきた男に敵意がないと分かったからだ。なんせ、その男の敵意はこの男たちに向いているからだ。
 それと同時に、俺の探し求めていた人だ。
 だからこそ俺のスキルを見せて、何かあっても困るからな。

「お、おい。俺お前がやったのか?」
「まぁな」

 俺の後ろにいる足を切り落とされた男は、弓の男が死んだ時点で気を失っている。

「こいつらは、なんなんだ?」
「は? 見てわからないのか? 盗賊だ、盗賊。ちょうど俺が滞在していた村に5人の盗賊が来たんだが、俺が二人を倒した時点でこいつら逃げやがって。それを追いかけてきたらってのが今の状況だ」

 なるほど、と言うことはこいつに付いていけば、村にはたどり着けるということか。

「じゃあ、こいつらは任せていいか?」
「あ、あぁ構わねーが」
「それと、俺もその村に案内してくれ。一日泊まりたい」
「それも構わねーよ。なんてったってこの盗賊を倒したのは、お前さんだからな。俺の名前はアーノ。よろしくな」

 そういって、アーノは俺に向かって手を差し出してくる。
 まぁこういうのも悪くはない、か。

「俺はハク。よろしく頼む」

 俺はアーノの手を握り返し、名前を告げた。
 男の死体二人分は俺の歪空の指輪で、回収しても良かったが、ノアがくれたこの指輪の価値観も今の状態ではわからないため、使わないでおく
 そして俺は一人弓の男を引き摺りながら、アーノは気絶した男を肩に担ぎ、もう片方の手でもう一人の男を引き摺って俺たちは村を目指した。

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