茶師のポーション~探求編~

神無乃愛

権限発動


「ああいう輩は大にして名声だけを求めていますからねぇ」
 マスターは思わず呟いた。今回調査に回った面子に共通していることは「探求者であることを楽しんでいる」という一点のみだ。名声は二の次。中にはあえて国際資格を取らない者もいるくらいだ。
「あのさぁ、あんたら俺以上に語学駄目だよね。その時点でアウトだよ」
 うんうんと頷く探求者。そちらはどうやら日本限定の探求者たちだ。中には語学試験もその他試験も間違いなく受かるであろう人物までいる。
「子弟制度利用するにはとうが立ちすぎているしなぁ」
「年齢だって無理だろ。今から強制するのは不可能」
 ここで「まだ大丈夫」などと言おうものなら、そいつにこの面々を押し付ける気満々な空気が漂っていた。
 マスターとてここまでお馬鹿な奴らを引き取りたいとは思わない。
「いや、子弟にしたらこいつらのやることに責任取んなきゃいけないじゃんか。そんな貧乏くじ誰が引きたいの?」
 弟子の言葉はもっともであった。

 とりあえず、調査の邪魔をしているということで、探求者ギルドの権限を発動し、連中を身ぐるみ剥いで迷宮の外に出すことで一致した。

「うっわぁ、ポーション使い過ぎ。どんだけため込んでたのさ」
 どこからともなくそんな声が上がった。

 使われたポーションはかなり多く、そこら中に瓶が散乱していた。
「この時点で国際探求者にはなれんな。向こう五年資格取得不可、と」
 サブマスターが書類を出してなにやら書き込み、あっさりと飛ばしていた。

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