茶師のポーション~探求編~
ギルドマスター、探求者を敵に回す
この男、Bランクがどんなものか知らない。それが分かる一言だった。Bランクの魔獣と「B級品食材」を混同していたのだ。
「ギルドマスター、俺ら魔物大暴走のクエストから降りるわ」
そう言いだした国際ランク持ちの探求者たちに、ギルド側が慌てた。
「当り前だろうが。こんな奴をVIP扱いしているギルドでどうやって従えと」
「国際探求者ギルド、日本支部に言えばあっさりと更迭できますよ」
マスターはあえてそれを口にした。その言葉に、ギルドマスターが顔を真っ赤にした。
「あなたは二十年前から全く変わっていない。以前は若輩者ということで、当時のギルドマスターとサブマスター他m幹部が責任を被ったというのに」
「き……貴様っ」
「あぁ、私は当時中国におりましたので、初期大暴走鎮圧には関わっていないですよ」
それでも、大暴走に詳しいのにはわけがあるのだが、どうやらギルドマスターは気づかないらしい。たった二十年で、己を忘れるとはいい度胸である。
「師匠、話が終わんないから、まずは今起きている大暴走の話しようよ」
弟子が、すべてを知っていて、あえて口を挟んできた。
そんな弟子をたてることにしたマスターはため息をついた。
「そうですね。まずはこの大暴走規模が迷宮から出ないようにするのが先決です。サブマスターはまともなはずですので、そちらと交渉しましょう」
どうやら、このギルド支部では日陰者扱いのようだ。まったくもって残念なことである。あれほど有能な男はそういない。
「師匠ってさ、ギルド職員のこと頭に入ってるの?」
こそこそを聞いてきた弟子に、拳骨を落とそうとしたが、逃げられた。
「弟子、あれほど覚えておきなさいと言ったでしょう? ギルドマスター、サブマスターを始めとした幹部くらいは」
「う゛……藪蛇だった」
説教をしようと思ったが、そちらは後回しにしても差し支えない。まずはサブマスターと条件のすり合わせを最優先すべきである。
そんなマスターに、国際ランク持ちがぞろぞろとついてきた。
「まぁ、公衆の面前であんなことを言った依頼人につくという時点で、探求者を敵に回していますよね」
特に高ランク者を。
それすらも分からない愚か者は、マスターの知ったことではない。
ついでだ。ポーションの行方も聞いておこうか。
そんなことを思いつつ、確かサブマスター用の部屋には簡易キッチンがあったはず。そこで茶をふるまおうかと考えていた。
過去の一件、そして己が「無能」と言われたことで、ギルドマスターは凍りついており、マスターたちを止めれなかった。
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