存在定義という神スキルが最強すぎて、異世界がイージー過ぎる。

つうばく

第00話 「プロローグ(2)」

「俺とお前はどんな約束をしたんだ?」

 一番ひっかかっていたことだ。
 この約束というものが、多分、今こいつが俺の前にいる理由だろうし。

『それはですね ──── 私の世界を救うという約束です』

 声の主が言ったのは、なんともとんでもない内容だった。

「それって……この世界をってことか? もしくは……」

『貴方様の後者の考えですね』

「やっぱし、そっちか〜。そっちで来たか〜」

 俺の後者の考えとは……この世界とは別の世界。
 いわゆる、異世界と呼ばれるものだ。

 その異世界を助けるということは、つまりそいうことなのだろう。

『すみません。違います』

「えっ! 違うの?」

『はい。お決まりとされている魔王を倒せなどではありません』

「マジかー」

『マジです。魔王なら、現地の勇者が倒すでしょうから』

 まさかの勇者召喚ではないと。
 ……なんていうか、少しショックだ。

『しかし、大丈夫です。私が倒してほしいのはもっと強い奴ですから』

「それ、何も安心出来ないよ!?」

 魔王よりも強い敵出てきちゃったら駄目じゃん。

『仕方がないことなんです。本当は現地勇者に倒してほしいのですが……』

 あっ。
 弱いのね。

『はい。魔王を倒せるぐらいのレベルでしかないです』

「それ絶対強いよね!?」

『大丈夫です!』

 何が大丈夫なんだよ……。

『貴方様はそれ以上に強くなれるスキルをお持ちですので』

 また出たよ、スキル。

「なに? その俺が持つスキルがチートな訳?」

『いえ、全然』

「………………………………は?」

『全然、強くありません。しかし、貴方様が使うからこそ強いのです』

「……良く分からないのだが」

『つまりは……最低スキルだけど主人公使うから補正かかってるよねー……という感じです』

 誰だ。
 一体、今の声は誰なんだ。

 まさか……!?

『変な声で悪かったですね!』

「全然っ! ただ、喋り方が全く違ったから、少し驚いただけです! はいっ!」

『そうですか、なら、良いですが』

 正直、ギャルかと思ってしまった。
 今風のな。

「それで、俺は何を倒せば良いわけ?」

『それはですね……すみません。言えないようです』

「はっ? それってどういう?」

『ああ、ここは貴方様の精神空間です。その空間に干渉している私には契約がかかっていて、色々とあるんですよ』

「今、あやふやに言ったのも契約ってことか」

『はい。そうです』

「……その敵って言うのは行けば分かるのか」

『それは時期に』

「そうか。なら、さっさとここから連れて行ってくれ。あんたが言う異世界に」

『かしこまりました。では』

 そう言うと声は消えた。

 代わりに俺の前には大きな魔法陣が現れた。

「ここに入れ……っか。オーケー。行ってやるぜ! そしてお前の世界を救ってやる」

 俺はそう心に誓い、おもいっきり魔法陣に突っ込んでいった。

 そして、その場から俺は消えた ───


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