俺の転生体は異世界の最凶魔剣だった!?
24 邪龍の魂
(*´꒳`*)ここから本編です。
今日はサナが大凡一日中実体化する日だ。なので何も出来ない俺は暗い空間にいる。魔剣視点でもいいのだが、つまらないし、気分的に眠たいからこの空間にいた。
そして夢を見た。
「ここは……俺の部屋?」
気が付くと辺りはあの真っ暗な空間ではなく、前世の俺が住んでいた家の寝室だった。俺はその部屋にポツリと佇んでいた。
感覚は夢を見ているようなのだが、腕を抓ると痛みがあった。更に、景色には所々に色が抜け落ちて、モノクロ状態の空間があった。だが、抵抗も無く前世の日常のレールに沿って進んでいる気がする。
「……取り敢えず学校に行くか」
何気ない日常。いつも通り参拝してから学校に向かう。登校すれば、学校にはいつもの活気があり、いつもの授業があり、いつものバイトがあった。しかし、その何気ない日常に俺はなぜか違和感を覚えている。
「何かが違う………」
チク、タク、チク、タク、と音を立てているバイト先の時計を背景に、俺は本の整理をしていた。店内はレトロな雰囲気が漂っていて、更に客が少ないので秒針の音が店内に木霊している。
「そもそも何をしていたんだっけ………ん?」
ボーッとしながら店内を歩いていたら、外に何か動物の影が見えた気がした。こんな都会では、まずニュースに載る位の体型だった気がする。だが、巡回しているパトカーの警察官おろか、通行人ですら気が付いていないようだった。
「誰も気が付いていない?……と言う事は見間違いか」
誰も辺りを見回していないし見間違いだったのだろう。きっと大柄で熊みたいな毛むくじゃらだったに違いない。と言うか絶対にそうであって欲しい。あ、でも絶対は存在しないか。
お店の自動ドアが開いた。入って来たのは現代では目立つ様な古い西洋の、平民の服装の女性だった。簡単に言えばファンタジーに良くある村人の服装だ。だが、誰もがそれが普通の様に気にも留めていない。
女性は俺の方へと近付いて来る。距離が縮まるにつれて、俺の心には恐怖が湧き出て来た。
そして女性は俺の前まで来ると、優しい笑顔と声で言った。
「貴方の所為よ」
その瞬間、整理してた時に持っていた本が黒くなり、砂の様に崩れ落ちた。そして俺の足元から床が崩れ落ち、俺は意識を失った。
目が覚めると、そこは自分の部屋だった。そう、いたって普通の俺の部屋。外とは違い何も違和感がない。
「さっきまで俺はバイト先に居たはず……」
時計を覗けば時刻はとっくにバイトが終了し、家に着いて自室で勉強している時間だった。だが今日は体はもう洗ってしまい、特に課題も無いのでもう寝ることにした。
翌日の朝。特に問題無く学校に来れた。学校にもバイト先と同じ雰囲気が漂っていて、どこかおかしい。そして担任が教室に入って来て朝のHRが終わった。
授業は普通に進み、昼休みになった。俺はいつも通り自席で、ボッチで自炊の弁当を食べていた。
教室を観察しながら弁当を食べていると、廊下で大きな狼が歩いていた。それなのに周りの生徒はソレが存在しないかの様に会話している。
そしてその狼が俺の前に来た。その瞬間、教室とその教室にいた生徒たちは消えて、代わりに荒野が広がっていた。俺の目の前にいる狼はそのまま俺を見つめて、荒野からは次々と黒い皮膚に変色した部分の持つ人間たちや見たことも無い魔物が集まって来る。それら全員は苦痛の表情で涙を流していた。
そして聞こえてくる。その大人たちの苦痛の声、子供たちの泣き声、吠える魔物たちの声、唸りを上げる魔物たちの声、衰弱する魔物たちの声。
どの声にも共通して、俺に恨みの感情を抱いている。その恨みに自分の魂が押し潰されそうになる程苦しい。
「どうして僕たちが死ななきゃいけないの?」
「私たちは何もしてい何のに……」
“我々はただ、生きたいだけだったのに……”
次々と彼らは俺に問いかける。これはおそらく、魔剣が喰らった魂達なのだろう。見たことのない人々、見たことのない魔物達は、古い書物の登場する者達と容姿が酷似していた。
そこに一頭の龍が降り立った。その龍は黝く、艶やかな鱗肌を持ち、瘴気を口から垂れ流していた。
“我はニドヘッグ。汝、我が一部により創られた魔剣とお見受けする”
突然話しかけられた。周りにいた人々や魔物達はもういない。幻想の様に跡も残さずに消えてしまっていた。しかし、不思議と龍への恐怖を感じない。
「もし、違うと言ったら?」
“カッカッカッ、それは無い。汝は魔剣だ”
「それってどう言う、っ ︎」
そこで急に視界が明るくなった。そして思わず目を瞑り、両腕で顔を覆う様に光なあらがった。暫くして目を開くと、目の前には彼女がいた。肩までの黒髪で、赤い瞳の釣り目。間違い無い、彼女はアトラク=ナクアだ。
「ここは俺の心象風景の……」
「危なかったな、あともう少しで喰われるところだったぞ?」
「喰われる?何を?」
「それはお前の魂に決まっておろう」
この会話の感覚、懐かしい……会ってから期間が長くは無かったが、なぜか懐かしかった。
「俺の魂がか?」
「あゝ、そうだ。お前達二人が喰らった魂が、まだ弱いお前の魂を喰おうとしておったのだ。ま、そいつらは遙か強力な邪龍の魂に負け喰われ、次に邪龍がお前の魂を喰おうとしたのだ」
邪龍……ニドヘッグの事か。ニドヘッグは確かニーズヘッグっていう龍で、世界樹の根を喰らっていた邪龍の名前だっけ?ま、今は流しておこう。
「へー。そうだったんだ。そういえば、外は今どれくらいなんだ?」
「結構危なかったのに簡単に流すのか……外はそろそろ交代の時間だそうだ」
「そっか、ありがとう。あ、そうだ。もう一つ聞きたいことがあったんだ」
「なんだ?」
「最近、アトラの毛が白くなってきたんだけど、大丈夫かな?」
アトラとは、あの白くモフモフした愛らしい仔蜘蛛で俺の天使の事だ
「……?……あゝ、娘の事か。それは大丈夫だ。ただお前の好みに変化しているだけだ」
「そうなのか。じゃ、またここにきた時に」
俺はそう言って、サナと交代したのだった。
今日はサナが大凡一日中実体化する日だ。なので何も出来ない俺は暗い空間にいる。魔剣視点でもいいのだが、つまらないし、気分的に眠たいからこの空間にいた。
そして夢を見た。
「ここは……俺の部屋?」
気が付くと辺りはあの真っ暗な空間ではなく、前世の俺が住んでいた家の寝室だった。俺はその部屋にポツリと佇んでいた。
感覚は夢を見ているようなのだが、腕を抓ると痛みがあった。更に、景色には所々に色が抜け落ちて、モノクロ状態の空間があった。だが、抵抗も無く前世の日常のレールに沿って進んでいる気がする。
「……取り敢えず学校に行くか」
何気ない日常。いつも通り参拝してから学校に向かう。登校すれば、学校にはいつもの活気があり、いつもの授業があり、いつものバイトがあった。しかし、その何気ない日常に俺はなぜか違和感を覚えている。
「何かが違う………」
チク、タク、チク、タク、と音を立てているバイト先の時計を背景に、俺は本の整理をしていた。店内はレトロな雰囲気が漂っていて、更に客が少ないので秒針の音が店内に木霊している。
「そもそも何をしていたんだっけ………ん?」
ボーッとしながら店内を歩いていたら、外に何か動物の影が見えた気がした。こんな都会では、まずニュースに載る位の体型だった気がする。だが、巡回しているパトカーの警察官おろか、通行人ですら気が付いていないようだった。
「誰も気が付いていない?……と言う事は見間違いか」
誰も辺りを見回していないし見間違いだったのだろう。きっと大柄で熊みたいな毛むくじゃらだったに違いない。と言うか絶対にそうであって欲しい。あ、でも絶対は存在しないか。
お店の自動ドアが開いた。入って来たのは現代では目立つ様な古い西洋の、平民の服装の女性だった。簡単に言えばファンタジーに良くある村人の服装だ。だが、誰もがそれが普通の様に気にも留めていない。
女性は俺の方へと近付いて来る。距離が縮まるにつれて、俺の心には恐怖が湧き出て来た。
そして女性は俺の前まで来ると、優しい笑顔と声で言った。
「貴方の所為よ」
その瞬間、整理してた時に持っていた本が黒くなり、砂の様に崩れ落ちた。そして俺の足元から床が崩れ落ち、俺は意識を失った。
目が覚めると、そこは自分の部屋だった。そう、いたって普通の俺の部屋。外とは違い何も違和感がない。
「さっきまで俺はバイト先に居たはず……」
時計を覗けば時刻はとっくにバイトが終了し、家に着いて自室で勉強している時間だった。だが今日は体はもう洗ってしまい、特に課題も無いのでもう寝ることにした。
翌日の朝。特に問題無く学校に来れた。学校にもバイト先と同じ雰囲気が漂っていて、どこかおかしい。そして担任が教室に入って来て朝のHRが終わった。
授業は普通に進み、昼休みになった。俺はいつも通り自席で、ボッチで自炊の弁当を食べていた。
教室を観察しながら弁当を食べていると、廊下で大きな狼が歩いていた。それなのに周りの生徒はソレが存在しないかの様に会話している。
そしてその狼が俺の前に来た。その瞬間、教室とその教室にいた生徒たちは消えて、代わりに荒野が広がっていた。俺の目の前にいる狼はそのまま俺を見つめて、荒野からは次々と黒い皮膚に変色した部分の持つ人間たちや見たことも無い魔物が集まって来る。それら全員は苦痛の表情で涙を流していた。
そして聞こえてくる。その大人たちの苦痛の声、子供たちの泣き声、吠える魔物たちの声、唸りを上げる魔物たちの声、衰弱する魔物たちの声。
どの声にも共通して、俺に恨みの感情を抱いている。その恨みに自分の魂が押し潰されそうになる程苦しい。
「どうして僕たちが死ななきゃいけないの?」
「私たちは何もしてい何のに……」
“我々はただ、生きたいだけだったのに……”
次々と彼らは俺に問いかける。これはおそらく、魔剣が喰らった魂達なのだろう。見たことのない人々、見たことのない魔物達は、古い書物の登場する者達と容姿が酷似していた。
そこに一頭の龍が降り立った。その龍は黝く、艶やかな鱗肌を持ち、瘴気を口から垂れ流していた。
“我はニドヘッグ。汝、我が一部により創られた魔剣とお見受けする”
突然話しかけられた。周りにいた人々や魔物達はもういない。幻想の様に跡も残さずに消えてしまっていた。しかし、不思議と龍への恐怖を感じない。
「もし、違うと言ったら?」
“カッカッカッ、それは無い。汝は魔剣だ”
「それってどう言う、っ ︎」
そこで急に視界が明るくなった。そして思わず目を瞑り、両腕で顔を覆う様に光なあらがった。暫くして目を開くと、目の前には彼女がいた。肩までの黒髪で、赤い瞳の釣り目。間違い無い、彼女はアトラク=ナクアだ。
「ここは俺の心象風景の……」
「危なかったな、あともう少しで喰われるところだったぞ?」
「喰われる?何を?」
「それはお前の魂に決まっておろう」
この会話の感覚、懐かしい……会ってから期間が長くは無かったが、なぜか懐かしかった。
「俺の魂がか?」
「あゝ、そうだ。お前達二人が喰らった魂が、まだ弱いお前の魂を喰おうとしておったのだ。ま、そいつらは遙か強力な邪龍の魂に負け喰われ、次に邪龍がお前の魂を喰おうとしたのだ」
邪龍……ニドヘッグの事か。ニドヘッグは確かニーズヘッグっていう龍で、世界樹の根を喰らっていた邪龍の名前だっけ?ま、今は流しておこう。
「へー。そうだったんだ。そういえば、外は今どれくらいなんだ?」
「結構危なかったのに簡単に流すのか……外はそろそろ交代の時間だそうだ」
「そっか、ありがとう。あ、そうだ。もう一つ聞きたいことがあったんだ」
「なんだ?」
「最近、アトラの毛が白くなってきたんだけど、大丈夫かな?」
アトラとは、あの白くモフモフした愛らしい仔蜘蛛で俺の天使の事だ
「……?……あゝ、娘の事か。それは大丈夫だ。ただお前の好みに変化しているだけだ」
「そうなのか。じゃ、またここにきた時に」
俺はそう言って、サナと交代したのだった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
969
-
-
267
-
-
59
-
-
15254
-
-
29
-
-
221
-
-
516
-
-
37
-
-
32
コメント