俺の転生体は異世界の最凶魔剣だった!?
13 化け物の少女
アルガンス騒動的なやつから一週間経った。あ、因みにこの世界の一週間は前世と同じみたいで、月、火、水、木、金、土、日の七日だ。違う点を挙げるとすると月が闇、日が光って言われているところだけだった。
「ねぇキリカ。ちょっと頼みたいことがあるんだけど良いかな?」
俺は書物庫にあるベットの上で寝そべりながら本を読んでいるキリカに声をかける。
現在、俺がこの部屋にいるのは暇だから本を読んでいたからだ。ちょうど読んでいた小説で剣の戦闘の描写があり、そこでふと思った。
「ん〜?何でしょうか?」
如何やらキリカはリラックスしているらしく、口調が少し砕けていた。
「キリカって確か武具とかの扱いが上手いって言う情報を耳にしたんだけど、もし良かったら俺にキリカから剣技を学ばせて頂けないかと」
嘘だ。実際は鑑定で情報を得ました。
「え⁉︎わ、私ですか⁉︎」
キリカは少し考えて答えた。
「私で良ければですけど……」
如何やら学ぶ理由を知りたいらしい。
「ああ、理由は簡単だよ。キリカを守る為と、肩を揃えて戦えたらと思ったから」
特に某デスゲームみたいな連携とかやってみたいし。あ、この作品を知っている理由は委員長に無理矢理一緒に鑑賞させられたから。委員長(女)でオタク……
「ま、ままっ、任せて下さい!」
キリカは少し方を赤く染めそう言った。ヤッパリ可愛いその表情…………
そして俺はキリカに剣技を教わる為に外で練習と実践を行なった。覚える度に目の前になんか出るから教わったやつ全部ステータスとしてこの後に綴る。使った剣は、日本刀の形をした木剣。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
【偽造情報】
ケイト=オリサカ 16歳 状態:不安定
HP500/500 MP500/500
スキル:〈鑑定Ⅱ〉MP1
〈回復魔法(小)〉MP6
〈疾走〉MP6
〈居合斬り二段Ⅱ〉
〈魔力弾Ⅰ〉MP10
〈思考加速Ⅰ〉MP1
〈身体強化Ⅰ〉MP1
〈峰打ち〉
〈属性付与Ⅰ:毒〉MP
〈兜割Ⅰ〉NEW
〈居合斬り二段Ⅰ〉NEW
〈一閃Ⅰ〉NEW
〈十字斬り〉NEW
〈断首斬りⅠ〉NEW
〈風刄Ⅰ〉NEW
〈水刄Ⅱ〉NEW
〈鎌鼬〉NEW
〈蛇牙〉NEW
〈彼岸花〉NEW
〈薊〉NEW
〈弟切草〉NEW
〈待雪草〉NEW
〈蕗之薹〉NEW
〈竜胆〉NEW
〈苧環〉NEW
〈紫陽花〉NEW
〈黒百合〉NEW
パシッブスキル:〈剣技上昇Ⅶ〉〈消費魔力軽減Ⅰ〉〈脚力上昇Ⅲ〉〈桐花の加護〉〈毒耐性Ⅹ〉〈毒変換Ⅰ〉〈暗視Ⅳ〉〈魔素変換Ⅲ〉
称号:無し
装備:《魔剣:メラン=サナトス》、旅人の衣、旅人のグローブ×2、旅人のズボン、旅人のブーツ、首飾り
所持品:毒狼革のバッグ[小銭入れ[金貨1枚、銀貨7枚、鉄貨100枚、銅貨500枚]、黒ローブ、ペスト医師のマスク]
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
NEWってある奴が教わったやつで、他にもあるらしいけどそれは使い勝手が悪いらしい。それにしても……
「もしもしキリカさん」
「ひゃいっ、な、なんでしょうか?」
キリカが怯えている。俺は怒って無いよ?ちょーっと聞きたい事があるだけだよ?
「彼岸花とかは確かに使い易いよ。でも何でその後の技はいろんな意味で酷いのかな?例えば弟切草とか黒百合とか」
因みに弟切草の花言葉は恨み。黒百合は呪い。
「えっと……その………実は―――」
それを聞いて正直驚いた。キリカの花の名前が付く剣技は書物庫に有ったものらしく、他にもあるらしいが覚えているのが俺に教えたやつらしい。
「何だ〜てっきりキリカはそう言う趣味だと思ったよ」
冗談を含めて言う。え?何でそう言う花言葉知っているのかって?そりゃあねぇ前世で色々とあったし…………
「それにしてもケイト様は物知りですね。まさかだとは思いますが、きゃっ!」
キリカが何かを言おうとした時、俺はキリカを引き寄せた。理由は簡単。キリカの足元を見ると一本の小さな針が地面に刺さっていた。そう、キリカが拉致されそうになったからだ。恐らく地面に刺さっている針は麻痺毒が塗られているのだろう。しかし疑問に思うところがある。何故、俺の前でキリカに針を飛ばしたのだろうか。
「敵襲だ。キリカ、警戒しておいた方がいい」
それにしてもこの状況、逃げ難い。キリカを抱えれば何とか逃げれるがキリカに身の危険が伴う可能性がある。しかも相手は複数人、どんな連携をしてくるかもわからない。
「ねえキリカ、この状況は殲滅した方が簡単かな?それと人攫いをしようとしたから冒険者でも無いよね?」
ゼロ距離での会話の所為か、キリカの顔が赤い。大きくも小さくも無いキリカの胸が俺の体に当たる。そしてキリカ左胸に有る心臓の鼓動が服越しにでも伝わって来る。何時もは感じなかったキリカの髪の毛の香りが俺の嗅覚を刺激する。あゝ、こんな状況でなければこのまま愛でたい…って落ち着くんだ俺。今は質問の答えを聞かないと。
「はい、それと人攫い等を行う人は裏社会の人だと思います……」
そっか……あ、面白いことを思いついた。でもその場合俺の正体がバレるから消さないとね。
「そっか。じゃあここで一つ提案が、俺の正体ってバレちゃいけないんだよね?」
「え?ええそうですが……」
頭に疑問符を浮かべながらキリカは答えてくれる。
「この状態から俺は魔剣に戻る。そしたら奴らはそれを目撃したことになる。後は……分かるよね?」
「‼︎」
如何やら分かってもらえたらしい。
「最初は抵抗があると思うけど大丈夫、汚れるのはキリカじゃなくて俺だから。それと、領主一人になったら領主に俺を―――」
そう言って俺は〈人化みたいなもの〉を解く。
魔剣に戻った俺はキリカに抱えられ、禍々しいオーラを放っていた。
「そこにいる事は分かっています。出て来てください」
キリカが叫ぶ。その声で茂みから沢山の人間が出て来る。如何やら白い人はいないらしい。出て来た人間はパッと見で直ぐに裏側の人間だと言う事がわかる。
そしてその奥には肥えている領主がいる。噂はあっているって事か………幸か不幸か、奴には俺が魔剣になるところは見えていなかったらしい。これでは消せないがまあいいか。
「おやおやおや……まさかエムメレクの一人娘は気配がわかるのですか。これは驚いた驚いた」
気色の悪いニヤケ顔で脂肪たっぷりの領主は前に出る。
「領主であろう者が裏に繋がっているとはこの地の問題では済みませんね。何故、王はこの様な者を領主に……いえ、これは王の責任ではありませんね。デルゴ家の問題ですね」
キリカは表情を変えずに剣先を領主に向けて言う。
「貴方は領主としての器はありません。貴方はただの傲慢で非道な人間以下の存在です」
その言葉に脂肪たっぷりの領主が頭に血を登らせた。如何やら沸点は低いらしい。確か洞窟で俺が挑発した時も直ぐにキレていた。
「この私を侮辱するのかこの化け物が‼︎化け物が人間を語るな‼︎お前達、依頼内容は変更だ!この女の姿をした化け物を殺し、魔剣を私に寄越せ‼︎」
その言葉で周りの人間は武器を構える。
「貴方はこの魔剣を何に使うつもりなのでしょうか。ですが、その目的もこの場で潰させて頂きます」
そう言ってキリカは俺を地面に突き刺した。そして発動する。
「〈死の影剣〉」
俺は大気中の魔素を吸収し魔力に変換、そして発動する。
今ので大凡30人いたのが、一気に10人に減る。今回の影で作られた剣には毒が含まれており、掠っただけで皮膚や衣類から体内に侵食し、血液と混ざり鼓動が速くなる。そして血管が耐えられなくなり破れ倒れる。
「なっ!不意打ちとは卑怯だっ!」
そう言った男は手持ちの大剣を両手で握り締め駆け寄り上に振り上げる。そしてキリカにめがけて大剣を振り下ろした。
「遅いです。〈竜胆〉!」
キリカは大剣を振り下ろす男性の心臓にめがけて俺を突き出す。そこは鉄装備で守られていたが、何故か抵抗も無く刺さり、反対側、つまり背中から血が竜胆の形を象るように吹き出る。そして振り下ろせなかった大剣は男性の手から離れ落ちる。キリカはその大剣を掴み後方にいる、魔術師に向かって大剣をフリスビーの様に投げた。そして大剣は魔術師の首元に吸い込まれ、首が落ちた。首が離れた体は直ぐに崩れ落ち、切り口からは大量の血液が勢い良く流れ出て来た。
「このっ」
突然、キリカの背後から女性の声がした。いつの間に背後を取ったのだろうか。しかし、声を出したのは失敗だ。
「!」
キリカはその声を聞いて直ぐに後ろに向かって俺を振る。すると女性は目を大きく見開きながら上半身と下半身が別れ、その切り口から胃や腸などの臓物が血とともに吹き出した。それと同時にキリカはその場から離れる。
残り7人。そのうちの2人から攻撃が来た。他の人達とは仲間ではない為、連携が取れていなかったがこの2人は息がピッタリだ。恐らく特殊な訓練を受けた双子だろう。衣装も髪色も似ているし。
どちらとも短剣を両手に持った双剣の攻撃だ。片方は右から、もう片方は左から同じ攻撃をズラしながら攻撃している。しかし、キリカはそれを舞う様に避けている。そこに、双子を巻き込む様に地面から土属性の〈土針〉が発動された。その攻撃で、双子は何方も串刺しになってしまった。魔法が解けると、刺さっていた双子の死体が落ちてくる。死体には無数の穴が開いたのを見たキリカは口元を押さえた。気分が悪くなったみたいだ。ん?キリカさん?自分がやったのは大丈夫なのに他人のは無理なの?
「あーあ、外しちゃった。ま、次は当てれば良いか。〈土人形生成〉、そして突撃!」
よく喋る土属性の魔法使いは巨大なゴーレムでキリカに攻撃した。ゴーレムの拳がキリカに目掛けて飛んで来る。キリカはそれを後方に飛んで初撃を回避する。
そして地面に埋まった片手を抜き出そうとしているところでゴーレムを飛び越え、術者に向かって〈蛇牙〉を発動する。
「術者を狙えばゴーレムは壊れる!〈蛇牙〉!」
〈蛇牙〉は蛇の上牙の様に2連撃が同時に来る技である。その技が術者の両肩からお腹まで喰い込む。剣は肉体には触れていないので直ぐに場所を移動すれば返り血を回避できる。
残り4人、普通は諦めるくらいの人数だが如何やら欲に目が眩んでいるらしい。だからそいつらも攻撃して来た。
4人の攻撃も連携が取れていないのでキリカは少ない動きで攻撃をかわす。そしてある程度避けてキリカは〈彼岸花〉を使う。
「〈逆さ彼岸花〉」
静かにその技をキリカは口ずさむ。そして剣を軽く振った。それだけでキリカを囲んで攻撃していた4人の背中から血が吹き出て倒れる。この技はちゃんとした〈彼岸花〉だ。ただ、少しキリカがアレンジしただけだ。
「さて、残るは領主様、貴方だけですよ」
そう言ってキリカは俺を肥えた領主様の方へ軽く投げた。少し無理矢理感があるが仕方がない。そして俺は領主に拾われる。領主は初めは平然としていたが、突然苦しみ出した。
「くっ……何故だ。何故、あの化け物が扱えて私が扱えない!」
苦しそうな表情で愚痴る。そりゃあ俺は領主様が嫌いだからね。それと、またキリカを化け物って呼んだからもっと吸い取るか。
「⁉︎さっ……きよ………り…魔……力ノ、吸…われ る量が……」
徐々に領主は痩せ、筋肉も減り、とうとう俺を手放して倒れた。これでもう終われば良いのだけど……
「ねぇキリカ。ちょっと頼みたいことがあるんだけど良いかな?」
俺は書物庫にあるベットの上で寝そべりながら本を読んでいるキリカに声をかける。
現在、俺がこの部屋にいるのは暇だから本を読んでいたからだ。ちょうど読んでいた小説で剣の戦闘の描写があり、そこでふと思った。
「ん〜?何でしょうか?」
如何やらキリカはリラックスしているらしく、口調が少し砕けていた。
「キリカって確か武具とかの扱いが上手いって言う情報を耳にしたんだけど、もし良かったら俺にキリカから剣技を学ばせて頂けないかと」
嘘だ。実際は鑑定で情報を得ました。
「え⁉︎わ、私ですか⁉︎」
キリカは少し考えて答えた。
「私で良ければですけど……」
如何やら学ぶ理由を知りたいらしい。
「ああ、理由は簡単だよ。キリカを守る為と、肩を揃えて戦えたらと思ったから」
特に某デスゲームみたいな連携とかやってみたいし。あ、この作品を知っている理由は委員長に無理矢理一緒に鑑賞させられたから。委員長(女)でオタク……
「ま、ままっ、任せて下さい!」
キリカは少し方を赤く染めそう言った。ヤッパリ可愛いその表情…………
そして俺はキリカに剣技を教わる為に外で練習と実践を行なった。覚える度に目の前になんか出るから教わったやつ全部ステータスとしてこの後に綴る。使った剣は、日本刀の形をした木剣。
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【偽造情報】
ケイト=オリサカ 16歳 状態:不安定
HP500/500 MP500/500
スキル:〈鑑定Ⅱ〉MP1
〈回復魔法(小)〉MP6
〈疾走〉MP6
〈居合斬り二段Ⅱ〉
〈魔力弾Ⅰ〉MP10
〈思考加速Ⅰ〉MP1
〈身体強化Ⅰ〉MP1
〈峰打ち〉
〈属性付与Ⅰ:毒〉MP
〈兜割Ⅰ〉NEW
〈居合斬り二段Ⅰ〉NEW
〈一閃Ⅰ〉NEW
〈十字斬り〉NEW
〈断首斬りⅠ〉NEW
〈風刄Ⅰ〉NEW
〈水刄Ⅱ〉NEW
〈鎌鼬〉NEW
〈蛇牙〉NEW
〈彼岸花〉NEW
〈薊〉NEW
〈弟切草〉NEW
〈待雪草〉NEW
〈蕗之薹〉NEW
〈竜胆〉NEW
〈苧環〉NEW
〈紫陽花〉NEW
〈黒百合〉NEW
パシッブスキル:〈剣技上昇Ⅶ〉〈消費魔力軽減Ⅰ〉〈脚力上昇Ⅲ〉〈桐花の加護〉〈毒耐性Ⅹ〉〈毒変換Ⅰ〉〈暗視Ⅳ〉〈魔素変換Ⅲ〉
称号:無し
装備:《魔剣:メラン=サナトス》、旅人の衣、旅人のグローブ×2、旅人のズボン、旅人のブーツ、首飾り
所持品:毒狼革のバッグ[小銭入れ[金貨1枚、銀貨7枚、鉄貨100枚、銅貨500枚]、黒ローブ、ペスト医師のマスク]
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NEWってある奴が教わったやつで、他にもあるらしいけどそれは使い勝手が悪いらしい。それにしても……
「もしもしキリカさん」
「ひゃいっ、な、なんでしょうか?」
キリカが怯えている。俺は怒って無いよ?ちょーっと聞きたい事があるだけだよ?
「彼岸花とかは確かに使い易いよ。でも何でその後の技はいろんな意味で酷いのかな?例えば弟切草とか黒百合とか」
因みに弟切草の花言葉は恨み。黒百合は呪い。
「えっと……その………実は―――」
それを聞いて正直驚いた。キリカの花の名前が付く剣技は書物庫に有ったものらしく、他にもあるらしいが覚えているのが俺に教えたやつらしい。
「何だ〜てっきりキリカはそう言う趣味だと思ったよ」
冗談を含めて言う。え?何でそう言う花言葉知っているのかって?そりゃあねぇ前世で色々とあったし…………
「それにしてもケイト様は物知りですね。まさかだとは思いますが、きゃっ!」
キリカが何かを言おうとした時、俺はキリカを引き寄せた。理由は簡単。キリカの足元を見ると一本の小さな針が地面に刺さっていた。そう、キリカが拉致されそうになったからだ。恐らく地面に刺さっている針は麻痺毒が塗られているのだろう。しかし疑問に思うところがある。何故、俺の前でキリカに針を飛ばしたのだろうか。
「敵襲だ。キリカ、警戒しておいた方がいい」
それにしてもこの状況、逃げ難い。キリカを抱えれば何とか逃げれるがキリカに身の危険が伴う可能性がある。しかも相手は複数人、どんな連携をしてくるかもわからない。
「ねえキリカ、この状況は殲滅した方が簡単かな?それと人攫いをしようとしたから冒険者でも無いよね?」
ゼロ距離での会話の所為か、キリカの顔が赤い。大きくも小さくも無いキリカの胸が俺の体に当たる。そしてキリカ左胸に有る心臓の鼓動が服越しにでも伝わって来る。何時もは感じなかったキリカの髪の毛の香りが俺の嗅覚を刺激する。あゝ、こんな状況でなければこのまま愛でたい…って落ち着くんだ俺。今は質問の答えを聞かないと。
「はい、それと人攫い等を行う人は裏社会の人だと思います……」
そっか……あ、面白いことを思いついた。でもその場合俺の正体がバレるから消さないとね。
「そっか。じゃあここで一つ提案が、俺の正体ってバレちゃいけないんだよね?」
「え?ええそうですが……」
頭に疑問符を浮かべながらキリカは答えてくれる。
「この状態から俺は魔剣に戻る。そしたら奴らはそれを目撃したことになる。後は……分かるよね?」
「‼︎」
如何やら分かってもらえたらしい。
「最初は抵抗があると思うけど大丈夫、汚れるのはキリカじゃなくて俺だから。それと、領主一人になったら領主に俺を―――」
そう言って俺は〈人化みたいなもの〉を解く。
魔剣に戻った俺はキリカに抱えられ、禍々しいオーラを放っていた。
「そこにいる事は分かっています。出て来てください」
キリカが叫ぶ。その声で茂みから沢山の人間が出て来る。如何やら白い人はいないらしい。出て来た人間はパッと見で直ぐに裏側の人間だと言う事がわかる。
そしてその奥には肥えている領主がいる。噂はあっているって事か………幸か不幸か、奴には俺が魔剣になるところは見えていなかったらしい。これでは消せないがまあいいか。
「おやおやおや……まさかエムメレクの一人娘は気配がわかるのですか。これは驚いた驚いた」
気色の悪いニヤケ顔で脂肪たっぷりの領主は前に出る。
「領主であろう者が裏に繋がっているとはこの地の問題では済みませんね。何故、王はこの様な者を領主に……いえ、これは王の責任ではありませんね。デルゴ家の問題ですね」
キリカは表情を変えずに剣先を領主に向けて言う。
「貴方は領主としての器はありません。貴方はただの傲慢で非道な人間以下の存在です」
その言葉に脂肪たっぷりの領主が頭に血を登らせた。如何やら沸点は低いらしい。確か洞窟で俺が挑発した時も直ぐにキレていた。
「この私を侮辱するのかこの化け物が‼︎化け物が人間を語るな‼︎お前達、依頼内容は変更だ!この女の姿をした化け物を殺し、魔剣を私に寄越せ‼︎」
その言葉で周りの人間は武器を構える。
「貴方はこの魔剣を何に使うつもりなのでしょうか。ですが、その目的もこの場で潰させて頂きます」
そう言ってキリカは俺を地面に突き刺した。そして発動する。
「〈死の影剣〉」
俺は大気中の魔素を吸収し魔力に変換、そして発動する。
今ので大凡30人いたのが、一気に10人に減る。今回の影で作られた剣には毒が含まれており、掠っただけで皮膚や衣類から体内に侵食し、血液と混ざり鼓動が速くなる。そして血管が耐えられなくなり破れ倒れる。
「なっ!不意打ちとは卑怯だっ!」
そう言った男は手持ちの大剣を両手で握り締め駆け寄り上に振り上げる。そしてキリカにめがけて大剣を振り下ろした。
「遅いです。〈竜胆〉!」
キリカは大剣を振り下ろす男性の心臓にめがけて俺を突き出す。そこは鉄装備で守られていたが、何故か抵抗も無く刺さり、反対側、つまり背中から血が竜胆の形を象るように吹き出る。そして振り下ろせなかった大剣は男性の手から離れ落ちる。キリカはその大剣を掴み後方にいる、魔術師に向かって大剣をフリスビーの様に投げた。そして大剣は魔術師の首元に吸い込まれ、首が落ちた。首が離れた体は直ぐに崩れ落ち、切り口からは大量の血液が勢い良く流れ出て来た。
「このっ」
突然、キリカの背後から女性の声がした。いつの間に背後を取ったのだろうか。しかし、声を出したのは失敗だ。
「!」
キリカはその声を聞いて直ぐに後ろに向かって俺を振る。すると女性は目を大きく見開きながら上半身と下半身が別れ、その切り口から胃や腸などの臓物が血とともに吹き出した。それと同時にキリカはその場から離れる。
残り7人。そのうちの2人から攻撃が来た。他の人達とは仲間ではない為、連携が取れていなかったがこの2人は息がピッタリだ。恐らく特殊な訓練を受けた双子だろう。衣装も髪色も似ているし。
どちらとも短剣を両手に持った双剣の攻撃だ。片方は右から、もう片方は左から同じ攻撃をズラしながら攻撃している。しかし、キリカはそれを舞う様に避けている。そこに、双子を巻き込む様に地面から土属性の〈土針〉が発動された。その攻撃で、双子は何方も串刺しになってしまった。魔法が解けると、刺さっていた双子の死体が落ちてくる。死体には無数の穴が開いたのを見たキリカは口元を押さえた。気分が悪くなったみたいだ。ん?キリカさん?自分がやったのは大丈夫なのに他人のは無理なの?
「あーあ、外しちゃった。ま、次は当てれば良いか。〈土人形生成〉、そして突撃!」
よく喋る土属性の魔法使いは巨大なゴーレムでキリカに攻撃した。ゴーレムの拳がキリカに目掛けて飛んで来る。キリカはそれを後方に飛んで初撃を回避する。
そして地面に埋まった片手を抜き出そうとしているところでゴーレムを飛び越え、術者に向かって〈蛇牙〉を発動する。
「術者を狙えばゴーレムは壊れる!〈蛇牙〉!」
〈蛇牙〉は蛇の上牙の様に2連撃が同時に来る技である。その技が術者の両肩からお腹まで喰い込む。剣は肉体には触れていないので直ぐに場所を移動すれば返り血を回避できる。
残り4人、普通は諦めるくらいの人数だが如何やら欲に目が眩んでいるらしい。だからそいつらも攻撃して来た。
4人の攻撃も連携が取れていないのでキリカは少ない動きで攻撃をかわす。そしてある程度避けてキリカは〈彼岸花〉を使う。
「〈逆さ彼岸花〉」
静かにその技をキリカは口ずさむ。そして剣を軽く振った。それだけでキリカを囲んで攻撃していた4人の背中から血が吹き出て倒れる。この技はちゃんとした〈彼岸花〉だ。ただ、少しキリカがアレンジしただけだ。
「さて、残るは領主様、貴方だけですよ」
そう言ってキリカは俺を肥えた領主様の方へ軽く投げた。少し無理矢理感があるが仕方がない。そして俺は領主に拾われる。領主は初めは平然としていたが、突然苦しみ出した。
「くっ……何故だ。何故、あの化け物が扱えて私が扱えない!」
苦しそうな表情で愚痴る。そりゃあ俺は領主様が嫌いだからね。それと、またキリカを化け物って呼んだからもっと吸い取るか。
「⁉︎さっ……きよ………り…魔……力ノ、吸…われ る量が……」
徐々に領主は痩せ、筋肉も減り、とうとう俺を手放して倒れた。これでもう終われば良いのだけど……
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