鏡の向こうで

白峰 ミコ

2話

~かえりたいなら いれかわった もうひとりを 殺さないといけない~

紙切れには、そう書いてあった。
要は俺と入れ替わったもう一人の自分を殺せば帰れる。ということなのだろうけど、入れ替わった方法も、何故この空間に居るのかも、分からない。

何気なく紙切れを裏返す。
裏にも文字が書いてあった。



~気をつけて 君がもうひとりを狙っているように もう一人も君を狙っている~

つまり、もう一人を殺すと自分も死ぬと。安易に攻撃できないのか。

もう、この部屋で調べられるところはない。
次は鏡の部屋へ行こう。

北の部屋

すでに開いていた扉をくぐる。
正面には壁いっぱいの鏡と、側面にはたくさんの人形。
そして、その鏡の前には人が仰向けで倒れている。

急いで駆け寄り確認すると、大きな違和感を覚えた。

それは、本来あるはずの場所に顔がないこと、遺体の向きがどこかオカシイ。
遺体は、脳天を中心に吹き飛んでいて、周りには血しぶきが広がっている。
そして、右手には.50口径の大型のリボルバー。
.50口径マグナムで頭を撃てば、悶絶する前に頭蓋骨が木っ端微塵になるし、さらにこんな大口径のマグナムが素人には簡単に扱えるはずもない。
死因は拳銃による即死だと思うが、血の飛び散り具合から見て、正面から脳天を撃たれているように見えた。

こんな風になるのは、まず間違いなく弾丸が鏡の向こうから飛んできて頭に当たったんだろう。
おそらく男性は鏡の自分、もう一人の自分にむかって、弾丸をはなった。
にもかかわらず、鏡はいっさい傷ついていない。
まるで鏡に弾丸が吸い込まれ、男性の頭部に当たったみたいだった。

次にその男性が持っていた、リボルバーを拾う。
試しに握ってみると、不思議なことに長年愛用していたかの如く、手に馴染む。
これなら銃が壊れない限り、狙ったものへ確実に弾丸を飛ばしてくれるだろう。

鏡を調べても特に何もなく。強いて言うなら、精巧に作られていて今まで見た鏡よりも現実にあるかのように写る。

それから、側面に置かれている人形を調べる。
とてもリアルな等身大の人形が山のように積み上げられていて、人形の中には心臓や頭に穴が開いてるもの、死ぬほどやせ細っているものなど、さまざまな人形が転がっている。
ただひとつの共通点はどの人形も苦しそうな顔をしているということだけ。

他に探せる物は無く、拳銃を持って部屋を出る。

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