私は魔王様の騎士なのです~最強幼女が魔王様のために行く!~
二話『まおうさまのためなのです!』
ズガァアアン!!
「あーぁ、お嬢のせいでまた修理が必要になったじゃないかあ」
「ご、ごめんなさい!」
「いいよいいよお。《修復せよ、我が力を糧に》それに、いいもの見れたしね」
あの後私が目を覚ますと、見慣れた部屋がある。魔王様にちょっとわがままを言って部屋の家具をピンク一式にしてもらったのを覚えている。
立ち上がり、私の専属執事バッセルに頼んで庭を使わせてもらった。
魔王城の庭は広いので、クレーターを作っても問題は無い。問題なのは、私が基礎魔術を使うだけで大きなクレーターが生じてしまうところだ。
バッセルは建築系スキルをたくさん持っている。ステータスは観察眼や鑑定を持てば見れるが、スキルは自分でしか見ることができない。
神眼や魔眼を持っているのならば、条件はまた変わるが。
建築物は任意に修復したり生成させられる、それがバッセルの能力なのだ。
「うぅ~ん。これじゃあ強力な魔法が練習できないよね……仕方ないや! ねえバッセル、もう休んでていいよ。ふぃりあちょっと行ってくる」
「分かったよお、でも危ないことはしないでねえ! 責任俺のになっちゃう!」
「大丈夫!」
魔王様に頼みに行こう。
思い立ったらすぐ行動!
私はクレーターの修復を引き続きお願いしてもらって、終わったあとは休んでいいよ、とバッセルに言うと、彼は了承した。
私はありがとう、と言って魔王様の居る所へ駆けだす。
「魔王様ー!」
「フィリア。もしかして魔力が強大過ぎて強い魔法が練習できないのか?」
「うん……やっぱり魔王様はすごいね!」
「や、やめろよ、そんな純粋な心を向けられると慣れないんだ……」
まだ何も言っていないのに私の言いたいことを当てた魔王様を見て、私は惚れ直した。相変わらずかっこいいが、その顔はどこか疲れ気味だ。
「どうしたの? なんか疲れてるよ?」
私は魔王様に買ってもらった可愛いフリルのついた服と、黒いローブを見て、魔王様をもう一度見上げる。
やはり、何処か不安気でやっぱり疲れている感じがする。
「それだ。―――その力を使う時が来たんだよ」
「本当!? ふぃりあ、魔王様に協力できるの!?」
「ああ。人間が―――攻めてくる」
喜んでいいのか悲しんでいいのか分からないけど、できれば平和がいいけれど、今は私は魔王様に協力できることが何よりうれしいと思えた。
同時に、また人間か、という呆れの思いも生じた。
どうして人間はこうも突っかかってくるのだろう。こうして来るたびに死人がたくさん出て、魔王様の力を見て怯えて負けるだけなのに。
それなら来ない方がましだって、私なら思う。
人間界を侵略していたのは前代達で、今の魔王様は何もしていないのに。
「やったぁ! 聞いて、ふぃりあね、完全無詠唱っていうのできるようになったんだよ!」
「か、完全無詠唱をか!?」
「ふぃりあ魔王様が取得するのに一時間かかるって聞いたから頑張ったんだけど……一時間以上かかっちゃった……」
「俺は特別な加護があるからなんだが……フィリアの場合は違うようだな」
「ふぃりあ、加護何もない! でもステータスにそのまま反映されてる!」
最初にステータスを開けたときに、声がしたのを私は覚えている。
《すべての加護をステータスポイントに換算いたしました。加護の中に配合されているスキルは全て『スキル』として表示されます》
意味が解らないところと分かるところはあった。
でも、加護は本当はあって、でもそれがステータスになったということ。それを説明したいのだが、まだ6歳の私はどうしてもうまく説明ができない。
わからないなあ、と魔王様はまた困った顔をする。
「ね、ね! ふぃりあ、今からどうすればいいの?」
「魔力が無限なんだ、フィリアも。―――最初から前線に出れば、勝てる」
「インプットされた魔法を片っ端から使ってけばいいよね!」
「ああ」
やった。せっかく覚えた魔法を使えないなんて言われたらひどい。まだ全部覚えていないけど、中にはちょっとゲスい魔術もあったな。
相手の動きを止めると共に千万ダメージをくらわす呪いとか……。
魔王様に手を引かれ、階段を上っていく。ちょっと手があったかくて、気持ちいいなと思ってしまったのは余談である。
行きついた先は魔王城の最上階だった。
「あそこだ、あそこから人間が来ている。―――気を付けてフィリア。人間達も君と同じ、異世界の者を召喚している」
「ね、ねえ魔王様。この人たちはなんのために戦ってるの?」
「……魔王城の領地や、あの図書館だな。あそこには失われた物もたくさん入っているからな。俺の命、ともいえるがな」
「ひえっ……魔王様の、命……?」
つまり、魔王様を殺すってことなの……?
今まで読んできた小説では倒す倒さない言っていたけど、最終的にはちょっと助けたり。でもやっぱり現実で起こったことはまた違う。
平気な顔で少し遠くから突っ込んでくる人間を見て、私は震えた。
それは、怖さとかそんなものじゃなくて。
お腹の底から火が昇ってくるように全身が熱くなって――――――。
―――私、怒ってる。
初めて抱いた感情の正体を受け入れて、私は魔王様を振り返る。
「じゃ、行ってくる!」
「気を付けろよ―――フィリア。絶対に、無茶はするな」
「うん! 勿論!」
―――ごめんね魔王様、私、死んでも人間をあそこから動かすつもりは無いの。
とてもつらそうな顔をしてそういう魔王様に私は満面の笑みで微笑み、窓を開けてローブをはためかせながら飛び降りた。
「《来たれ。我が相棒》」
伝説の杖―――白銀の杖が私の手に渡る。
この杖は話せるし、スキルを持っているし、ステータスもある。
とっても不思議な杖。
白と銀色を大半にして作られた美しい杖を握って、私は駆け出した―――。
「あーぁ、お嬢のせいでまた修理が必要になったじゃないかあ」
「ご、ごめんなさい!」
「いいよいいよお。《修復せよ、我が力を糧に》それに、いいもの見れたしね」
あの後私が目を覚ますと、見慣れた部屋がある。魔王様にちょっとわがままを言って部屋の家具をピンク一式にしてもらったのを覚えている。
立ち上がり、私の専属執事バッセルに頼んで庭を使わせてもらった。
魔王城の庭は広いので、クレーターを作っても問題は無い。問題なのは、私が基礎魔術を使うだけで大きなクレーターが生じてしまうところだ。
バッセルは建築系スキルをたくさん持っている。ステータスは観察眼や鑑定を持てば見れるが、スキルは自分でしか見ることができない。
神眼や魔眼を持っているのならば、条件はまた変わるが。
建築物は任意に修復したり生成させられる、それがバッセルの能力なのだ。
「うぅ~ん。これじゃあ強力な魔法が練習できないよね……仕方ないや! ねえバッセル、もう休んでていいよ。ふぃりあちょっと行ってくる」
「分かったよお、でも危ないことはしないでねえ! 責任俺のになっちゃう!」
「大丈夫!」
魔王様に頼みに行こう。
思い立ったらすぐ行動!
私はクレーターの修復を引き続きお願いしてもらって、終わったあとは休んでいいよ、とバッセルに言うと、彼は了承した。
私はありがとう、と言って魔王様の居る所へ駆けだす。
「魔王様ー!」
「フィリア。もしかして魔力が強大過ぎて強い魔法が練習できないのか?」
「うん……やっぱり魔王様はすごいね!」
「や、やめろよ、そんな純粋な心を向けられると慣れないんだ……」
まだ何も言っていないのに私の言いたいことを当てた魔王様を見て、私は惚れ直した。相変わらずかっこいいが、その顔はどこか疲れ気味だ。
「どうしたの? なんか疲れてるよ?」
私は魔王様に買ってもらった可愛いフリルのついた服と、黒いローブを見て、魔王様をもう一度見上げる。
やはり、何処か不安気でやっぱり疲れている感じがする。
「それだ。―――その力を使う時が来たんだよ」
「本当!? ふぃりあ、魔王様に協力できるの!?」
「ああ。人間が―――攻めてくる」
喜んでいいのか悲しんでいいのか分からないけど、できれば平和がいいけれど、今は私は魔王様に協力できることが何よりうれしいと思えた。
同時に、また人間か、という呆れの思いも生じた。
どうして人間はこうも突っかかってくるのだろう。こうして来るたびに死人がたくさん出て、魔王様の力を見て怯えて負けるだけなのに。
それなら来ない方がましだって、私なら思う。
人間界を侵略していたのは前代達で、今の魔王様は何もしていないのに。
「やったぁ! 聞いて、ふぃりあね、完全無詠唱っていうのできるようになったんだよ!」
「か、完全無詠唱をか!?」
「ふぃりあ魔王様が取得するのに一時間かかるって聞いたから頑張ったんだけど……一時間以上かかっちゃった……」
「俺は特別な加護があるからなんだが……フィリアの場合は違うようだな」
「ふぃりあ、加護何もない! でもステータスにそのまま反映されてる!」
最初にステータスを開けたときに、声がしたのを私は覚えている。
《すべての加護をステータスポイントに換算いたしました。加護の中に配合されているスキルは全て『スキル』として表示されます》
意味が解らないところと分かるところはあった。
でも、加護は本当はあって、でもそれがステータスになったということ。それを説明したいのだが、まだ6歳の私はどうしてもうまく説明ができない。
わからないなあ、と魔王様はまた困った顔をする。
「ね、ね! ふぃりあ、今からどうすればいいの?」
「魔力が無限なんだ、フィリアも。―――最初から前線に出れば、勝てる」
「インプットされた魔法を片っ端から使ってけばいいよね!」
「ああ」
やった。せっかく覚えた魔法を使えないなんて言われたらひどい。まだ全部覚えていないけど、中にはちょっとゲスい魔術もあったな。
相手の動きを止めると共に千万ダメージをくらわす呪いとか……。
魔王様に手を引かれ、階段を上っていく。ちょっと手があったかくて、気持ちいいなと思ってしまったのは余談である。
行きついた先は魔王城の最上階だった。
「あそこだ、あそこから人間が来ている。―――気を付けてフィリア。人間達も君と同じ、異世界の者を召喚している」
「ね、ねえ魔王様。この人たちはなんのために戦ってるの?」
「……魔王城の領地や、あの図書館だな。あそこには失われた物もたくさん入っているからな。俺の命、ともいえるがな」
「ひえっ……魔王様の、命……?」
つまり、魔王様を殺すってことなの……?
今まで読んできた小説では倒す倒さない言っていたけど、最終的にはちょっと助けたり。でもやっぱり現実で起こったことはまた違う。
平気な顔で少し遠くから突っ込んでくる人間を見て、私は震えた。
それは、怖さとかそんなものじゃなくて。
お腹の底から火が昇ってくるように全身が熱くなって――――――。
―――私、怒ってる。
初めて抱いた感情の正体を受け入れて、私は魔王様を振り返る。
「じゃ、行ってくる!」
「気を付けろよ―――フィリア。絶対に、無茶はするな」
「うん! 勿論!」
―――ごめんね魔王様、私、死んでも人間をあそこから動かすつもりは無いの。
とてもつらそうな顔をしてそういう魔王様に私は満面の笑みで微笑み、窓を開けてローブをはためかせながら飛び降りた。
「《来たれ。我が相棒》」
伝説の杖―――白銀の杖が私の手に渡る。
この杖は話せるし、スキルを持っているし、ステータスもある。
とっても不思議な杖。
白と銀色を大半にして作られた美しい杖を握って、私は駆け出した―――。
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