ミミック転生 ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~
コウの激白
コウの武器。
刀身の幅が異常に広い長剣。
それを楽々と片手で持ち上げ、剣先を俺に向ける。
実を言えば――――
俺の対剣術性能はひどく悪い。
俺の武器は毒を有した触手。
戦闘技能としての『スキル』はミミックとしての基本性能を高めるものが中心的だ。
待ち伏せが基本的な戦闘法。
変身後ならまだしも、この姿では剣戟を避ける事すら難しい。
避けられないなら受けるか? それも、この触手でか?
自慢だったはずの触手は、頼りなく風に揺られている。
受けも駄目。避けも駄目。さて――――
俺は後方のアラシを確認する。可能ならば、アラシにコウの相手を任せて、俺がバックアップに回るという選択肢も――――
そんな考えをコウはどう勘違いしたのか……
「おっと例のやつを使うつもりかい?」
「例のやつ?」
「あの大量の武器を吐きだすやつだよ」
「……さてね」と惚けてみせる。
前回の戦いは、それでコウに勝利を収めている。
体内に収納していた武器の山を吐き出し、物量で押しつぶして勝ったのだった。
今、俺のスキル『体内拡張(中)』は道中、カスミの協力による鍛錬で成長している。
俺の体内に内臓されている物資は前回の比ではない。
しかし、鍛錬を行い強化されているのは俺だけではない。
目前のコウは剣を振るう。
そのフォームは剣術家のそれではない。まるで野球選手だ。
強打者のフォームで素振りを1回……2回。
如実に打ち返す事だけをアピールしてくる。
伸るか
反るか
「油断しすぎだ」
「え?」
 
コウのモーションが変化する。横の動きが縦の動きに変わり俺の真横に剣が通過した。
その直後――――
体が浮きあがるような衝撃。真横で爆発が起きたかのように錯覚すらしてしまった。
「戦う前から敵を意識から外すとは殺されても文句は言えないぜ」
「……それは確かに正しい。じゃ、1つ提案だ」
「んっ?んん? なんだ?言ってみろ」
俺は背後に備えていたアラシを指差す。
「お前が俺との決闘に執着するなら、コイツは先に行かせてもいいか?」
「――――はぁ? だめに決まっているだろ」
「俺たちが急いでいるのは魔族が何か危険なことを企んでいるって思っているからだ」
「だから、まずは目的を優先させたら、君は勝負に集中するってのか?」
「その通りだ」
「馬鹿らしい発想だ。それが通じると思っているのか?――――いいけどな。構わないぜ、通りな」
今度は俺は「……はぁ?」を口に出す番だった。
俺が言ったのは荒唐無稽な事だ。目的はコウの心理状態を揺さぶるためのもの。
しかし、コウは「良し」と言った。 一体、なぜ?
俺の疑問は尽きない。しかし、その間にコウは「通りな」と本当にアラシを先行させた。
アラシから、支持を求めるような視線を送られた。
「……とりあえず、内部の状況を調べる程度に先に行ってくれ。あまり、深部に進まないように……」
「あぁ、わかった……」とアラシもまた困惑した表情でありながら、先に進んでいった。
「わからないって表情だな。いいぜ、説明してやろう」
コウはこう続けた。
「計画はすでに終了した。あの白衣はニンバリにたどり着こうが、別ルートで忍び込ませた小娘がニンバリにたどりついても無意味なのさ」
刀身の幅が異常に広い長剣。
それを楽々と片手で持ち上げ、剣先を俺に向ける。
実を言えば――――
俺の対剣術性能はひどく悪い。
俺の武器は毒を有した触手。
戦闘技能としての『スキル』はミミックとしての基本性能を高めるものが中心的だ。
待ち伏せが基本的な戦闘法。
変身後ならまだしも、この姿では剣戟を避ける事すら難しい。
避けられないなら受けるか? それも、この触手でか?
自慢だったはずの触手は、頼りなく風に揺られている。
受けも駄目。避けも駄目。さて――――
俺は後方のアラシを確認する。可能ならば、アラシにコウの相手を任せて、俺がバックアップに回るという選択肢も――――
そんな考えをコウはどう勘違いしたのか……
「おっと例のやつを使うつもりかい?」
「例のやつ?」
「あの大量の武器を吐きだすやつだよ」
「……さてね」と惚けてみせる。
前回の戦いは、それでコウに勝利を収めている。
体内に収納していた武器の山を吐き出し、物量で押しつぶして勝ったのだった。
今、俺のスキル『体内拡張(中)』は道中、カスミの協力による鍛錬で成長している。
俺の体内に内臓されている物資は前回の比ではない。
しかし、鍛錬を行い強化されているのは俺だけではない。
目前のコウは剣を振るう。
そのフォームは剣術家のそれではない。まるで野球選手だ。
強打者のフォームで素振りを1回……2回。
如実に打ち返す事だけをアピールしてくる。
伸るか
反るか
「油断しすぎだ」
「え?」
 
コウのモーションが変化する。横の動きが縦の動きに変わり俺の真横に剣が通過した。
その直後――――
体が浮きあがるような衝撃。真横で爆発が起きたかのように錯覚すらしてしまった。
「戦う前から敵を意識から外すとは殺されても文句は言えないぜ」
「……それは確かに正しい。じゃ、1つ提案だ」
「んっ?んん? なんだ?言ってみろ」
俺は背後に備えていたアラシを指差す。
「お前が俺との決闘に執着するなら、コイツは先に行かせてもいいか?」
「――――はぁ? だめに決まっているだろ」
「俺たちが急いでいるのは魔族が何か危険なことを企んでいるって思っているからだ」
「だから、まずは目的を優先させたら、君は勝負に集中するってのか?」
「その通りだ」
「馬鹿らしい発想だ。それが通じると思っているのか?――――いいけどな。構わないぜ、通りな」
今度は俺は「……はぁ?」を口に出す番だった。
俺が言ったのは荒唐無稽な事だ。目的はコウの心理状態を揺さぶるためのもの。
しかし、コウは「良し」と言った。 一体、なぜ?
俺の疑問は尽きない。しかし、その間にコウは「通りな」と本当にアラシを先行させた。
アラシから、支持を求めるような視線を送られた。
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