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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

到着

 フェスティバルだった。
 振り向けば、今も煌々とした光が夜の街を照らしている。
 破壊の爪跡も癒されていない。廃墟と化した建物にも光は当てられ、奇妙なコンスラストが浮き出て見えた。
 この状況を不謹慎と思うのは俺が転生前の価値観に引っ張られているのかもしれない。
 永遠に治らぬ怪我を負った者もいるだろう。死を迎えた者もいるだろう。
 そうでなくても、棲家を破壊され……夢を破壊され……
 それでも肉を喰らい、酒を酌み交わす。
 彼らは生に貪欲なのだろう。いつ、死ぬかわからない。
 生の価値観が低いのではなく、むしろ……

 「でも、ミミックくんは急ぎすぎだよ」

 ん?
 虚無感から有を生み出し、ワビサビに浸っていた俺に言葉を投げかけてきたのはカスミだった。

 「このまま、町にいたら英雄扱いになってたんだよ!」
 「……いや、俺たちは隠密活動中だろ。目立ったら駄目じゃないか」
 「え?その設定って生きてたの?もう町の人、私たちの事を広まっているよ」
 「うむ……カスミは、英雄扱いされたかったのか?」

 少し意外だったか。このくらいの子供ならチヤホヤされたい心理があるのかもしれない。

 「え?別に英雄扱いされたかったわけじゃないよ」
 「それじゃ、なんで?」
 「英雄扱いされる事で、せっかくの大浴場で鉢合せフラグが立ったのに、目も触れずにフラグ折った事が残念で、残念で……」
 「お前のそのエロキャラ設定が生きていたのか!」

 そんなこんなで俺たちは町を出た。
 それから、いろいろあって――――

 到着した。

 ニンバリとコウ少年がいる町へ。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・


 「……確かにマイクの言ってた通りだね」

 俺は誰に聞かせることなく呟いた。
 まるで西部劇の舞台。
 砂を巻き上げる風。乾いた空気は喉に痛みを与えようと狙っている。
 乾燥した植物は風に飛ばされ、球体のような姿で転がっている。
 歩くとすぐ目に付いたのはマイクロフトが情報収集を行ったと思われる酒場。
 人はいない。酒場だけではない。
 町に足を踏み入れてから誰ともすれ違っていない。
 まるでゴーストタウンだが……人の気配は感じられている。
 どうやら、人々は怯え、姿を隠しているみたいだ。
 何に? 俺は目を向ける。 2人の魔族が住処にしているという館の方角に――――

 「ギルドの監視役はいるみたいだ。けど、彼らは敵なのかもしれない」
 「彼らに知られずに館への侵入経路を確保が最優勢?」
 「可能ならね。たぶん困難だけど」
 「その前に宿と食事だね」

 「あぁ」と俺はうなずいた。



 

 

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