ミミック転生 ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~
ミミックですが、年端も行かない少女に貞操の危機を覚えます
「う~ん、う~ん」と早朝に似つかわしくないうねり声が聞こえてきた。
誰だろうか? 俺は声の主を探った。すると――――
「おぉ、ミミック殿か! これはみっともない姿を見せたかなぁ」
うなり声を上げていたのはパンタ師匠だった。
「いや、悩むでしょう」
「うむ」とパンタ師匠は答え、遠くを眺めた。
「聖騎士団の本懐は、魔に属す者を倒すことにある。その中でも魔族は、最大の殲滅対象じゃ」
俺は「はい」と短く返事をした。
「マイクロフト殿から、魔族の潜伏先が知らされた時点で我等はその場に急がねばならぬ。しかし、それは決死の覚悟で真実を知らせたマイクロフト殿の仁義に反することになる」
俺は無言で頷いた。
「もしも、マイクロフト殿が我等に向けたギルドからの使者から依頼を奪ってなかったら……どうなっていたかのう」
俺は思い出す。
マイクが奪った、ギルドからの依頼書の内容を―――――
そこには、成長したコウ少年について――――あるいは、心神喪失状態になっているニンバリの情報も書かれていなかった。
もしも、ギルドから使者から依頼書を受け取っていたならば、事前情報なしで、俺たちは向かっていただろう。
「しかし、マイクロフトのおかげで時間が生まれた」
「生まれた?」
パンタ師匠の言葉は少し奇妙な言い回しだった。
「ギルドの使者が襲われたと情報は、ギルドに伝わっているだろう。そして、ギルドは我等がマイクロフト殿を保護しているということは知らない。つまり、我等がギルドからの依頼を受け取っていないということじゃ……」
「……再び、ギルドから依頼書が発行され、ここに届けられるまで動かないということですか?」
「うむ、動かないか……動けないとも言いかえれる。マイクロフトを保護している限り、我等は動けないのじゃ」
「……」
本来なら、魔族討伐を何よりも優先する集団が義理人情によって動けないというジレンマ。
心中を察するほど、俺は聖騎士団の精神に感化されていないけど……けれども……
「だから、わしは一計を案じる」
はて? パンタ師匠が言う一計とは?
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「こうやって……うん、意外だね。持ち心地……背負い心地かな? 意外とゴツゴツしてなくて悪くないね!」
そう言ってカスミは俺を背負った。
ハッ! いかん。さっきからマリアが「……」とすごい顔でこちらを見ている。
まるで不快感を隠そうとすらしていない顔だ。
「いや、マリア。これは仕方ないことなんだ。俺とカスミなら気配遮断スキルが使えるから、軍団を離れても、ギルドには感付かれずに先行して動ける。そういう作戦だとマリアだってわかるだろ?」
「うん、そーですねー 私が遮断スキルを身につけてないのが悪いのです。これからは獲得する『スキル』もミッくんとお揃いになるように努力します」
「――――ッッッ!?」
いやいや、そんな人生を左右するものを、そんな理由で優先してほしくない。
というよりも愛が重い。
「ニシシシッ! それじゃマリアお姉ちゃん」
「何?カスミ」
「お先にいただきます!」
「あなたッ!ミッくんに何をする気!」
ガクブル。
ミミックですが、年端も行かない少女に貞操の危機を覚えます。
兎にも角にも、俺とカスミは聖騎士団を離れて単独行動を行う事になった。
誰だろうか? 俺は声の主を探った。すると――――
「おぉ、ミミック殿か! これはみっともない姿を見せたかなぁ」
うなり声を上げていたのはパンタ師匠だった。
「いや、悩むでしょう」
「うむ」とパンタ師匠は答え、遠くを眺めた。
「聖騎士団の本懐は、魔に属す者を倒すことにある。その中でも魔族は、最大の殲滅対象じゃ」
俺は「はい」と短く返事をした。
「マイクロフト殿から、魔族の潜伏先が知らされた時点で我等はその場に急がねばならぬ。しかし、それは決死の覚悟で真実を知らせたマイクロフト殿の仁義に反することになる」
俺は無言で頷いた。
「もしも、マイクロフト殿が我等に向けたギルドからの使者から依頼を奪ってなかったら……どうなっていたかのう」
俺は思い出す。
マイクが奪った、ギルドからの依頼書の内容を―――――
そこには、成長したコウ少年について――――あるいは、心神喪失状態になっているニンバリの情報も書かれていなかった。
もしも、ギルドから使者から依頼書を受け取っていたならば、事前情報なしで、俺たちは向かっていただろう。
「しかし、マイクロフトのおかげで時間が生まれた」
「生まれた?」
パンタ師匠の言葉は少し奇妙な言い回しだった。
「ギルドの使者が襲われたと情報は、ギルドに伝わっているだろう。そして、ギルドは我等がマイクロフト殿を保護しているということは知らない。つまり、我等がギルドからの依頼を受け取っていないということじゃ……」
「……再び、ギルドから依頼書が発行され、ここに届けられるまで動かないということですか?」
「うむ、動かないか……動けないとも言いかえれる。マイクロフトを保護している限り、我等は動けないのじゃ」
「……」
本来なら、魔族討伐を何よりも優先する集団が義理人情によって動けないというジレンマ。
心中を察するほど、俺は聖騎士団の精神に感化されていないけど……けれども……
「だから、わしは一計を案じる」
はて? パンタ師匠が言う一計とは?
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「こうやって……うん、意外だね。持ち心地……背負い心地かな? 意外とゴツゴツしてなくて悪くないね!」
そう言ってカスミは俺を背負った。
ハッ! いかん。さっきからマリアが「……」とすごい顔でこちらを見ている。
まるで不快感を隠そうとすらしていない顔だ。
「いや、マリア。これは仕方ないことなんだ。俺とカスミなら気配遮断スキルが使えるから、軍団を離れても、ギルドには感付かれずに先行して動ける。そういう作戦だとマリアだってわかるだろ?」
「うん、そーですねー 私が遮断スキルを身につけてないのが悪いのです。これからは獲得する『スキル』もミッくんとお揃いになるように努力します」
「――――ッッッ!?」
いやいや、そんな人生を左右するものを、そんな理由で優先してほしくない。
というよりも愛が重い。
「ニシシシッ! それじゃマリアお姉ちゃん」
「何?カスミ」
「お先にいただきます!」
「あなたッ!ミッくんに何をする気!」
ガクブル。
ミミックですが、年端も行かない少女に貞操の危機を覚えます。
兎にも角にも、俺とカスミは聖騎士団を離れて単独行動を行う事になった。
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