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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

視点転換

 「この女が『特殊職業』持ちだと?」

 ポートは疑いの視線を向ける。

 「確かに――――彼女は平凡に見えるかもしれません。しかし、僕にはわかる」
 「なんだと? どういうことだ?」
 「具体的な説明はできませんが、僕は軍団レギオンでも勧誘スカウトの仕事を割り振られているので……経験則と言えばいいのでしょうか?」
 「まどろっこい説明はいらない。早い話せ!」
 「はいはい。要するに僕は、特殊職業の有無を見た目から推測できるのですよ」

 「なっ……」とポートは絶句する。
 きっと彼はこう思っているのだろう。

 この状態は――――
 どこまで、彼女の影響下で、どこまでが、僕の影響下なのか?

 『特殊職業』持ちの彼女が、この病院の看護師で、それも僕の担当だったのは……
 本当に、彼女のスキルによる必然だったのか?それとも?

 「もちろん、それは――――答えるまでもないでしょう」

 無手の暗殺者アサシンに攻撃の方法は残っていなかった。
 もしかしたら、素手で人質を殺す方法はあったのかもしれない。
 しかし、彼の想定を遥かに凌駕した状況により、彼の精神は大きく乱され――――
 心が折れていた。

 僕の拳にはポートの顎を打ち抜いた感触だけが残り、意識を刈り取られた彼は床に倒れこんでいる。
 彼に残っていた幸運は、この場所が病院だったというだけだろう。
 さて――――
 僕は看護師さん―――リスカさんに謝罪した。巻き込んでしまいすいませんでした……と。
 そして、改めて軍団レギオンへの勧誘を……断られたのだった。
 彼女のスキルは他者の悪意に反応する高範囲精神関与タイプだ。
 悪意や敵意や殺気に感知して対象者を強制的油断・・・・・させるスキル。
 決して戦闘向けではない。
 しかし、このスキルが成長して制御が可能になったら、この世界はどうなるだろうか?
 彼女のスキルの前で悪人は自然淘汰的に消滅してしまうのではないか?
 それは、もしかすると危険なスキルなのかもしれない。

 彼女の特殊職業エキストラジョブ『白衣の天使』は――――


 ・・・
 ・・・・・
 ・・・・・・・・

 目を覚ました。
 奇妙な夢を見た。自分がマイクになって刺客に襲われる夢だ。
 たぶん、マイクの話を頭の中で整理して、想像して眠りについたからだろう。
 はたして自分はマイクロフトになった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか……いや、僕は―――俺は、ただのミミックだ。

 「さて、まずは……」と独り言を1つ。
 いつも通りに口から触手を出し……
 俺を枕代わりにしているマリアの頭を退かせた。
 今回はマリアだけではない。カスミが俺を抱き枕扱いして、すやすやと寝息を立てている。
 彼女の寝顔を覗き込んで「うむ」と自分でもよくわからない声を出して、彼女の体を触手で覆う。
 優しく彼女の体を自分から引きはがした。

 俺は与えられた個室という名前のテントを出た。
 朝日がまぶしい。
 ギルドの中に魔族に寝返った者がいる。はたして、それは誰か?何人いるのか?
 まさか、ギルド全体の総意でないだろう。
 少なくともマイクロフトの暗殺を指示できる立場の人間。一部の権力者か? 
 聖騎士団がマイクロフトを保護している事は知られているのか?
 だとすれば、俺たちはどうするべきなのか?
 疑問は尽きない。

  
 

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