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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

病室の戦い……その真相

 入室した看護婦は、そのまましゃがみ込んで————

「いっ、一体、何が起きたんですか!」

 大声を上げた。
 どう説明したらいいのだろうか?少し悩んだが、結局は誤魔化さずに正直に話す事に決めた。

 「刺客ですね、僕はギルドから依頼中に怪我をして、ここに入院してるのは御存じでしょうか?
 ――――そうですか。知りませんか。兎に角、僕は陰謀に巻き込まれたわけです。
 え?いえいえ、大げさではありません。そして、笑いごとでもありません。現に刃物を持った人間に病室で襲われているわけですか……
 そうですか。信じてくれてありがとうございます。では、この刺客を捕縛しましょう。病院の用心棒セキュリティの方を呼んでください。
 あぁ、なるほど、そうですか。いえ、どこも人材不足は同じですからね。僕の軍団レギオンでも勧誘していた2人が他の軍団レギオンに取られたばかりでして……
 おや、看護師さん、意外と辛辣ですね。耳が痛い。そうですね。勧誘しただけで軍団レギオンに入ってくれるだろうと僕は油断していたみたいです。まぁ、この件は軍団の長であるシーラ女王からお叱りを受ける事になるので――――えぇ、少しだけ。少しだけお腹が痛いです。胃痛ですかね? 検査も頼みます。 
 おっと、話が本題から逸れてしまいましたね。用心棒セキュリティがいないのであれば……はい? ギルドからの依頼ならギルドに連絡して、冒険者を送ってもらえばいいと? いえ、今回の依頼は訳ありなので……いやいや、本当ですよ。本当に僕はギルドから正式な依頼を……」

 そんな長話が仇になったのかもしれない。
 僕とした事が……
 気がつけば奴は姿を消していた。倒れていたはずのポートはいなくなっていた。

 「……看護師さん、誰か人を呼んでください。刺客が……乱入してきた暴漢が隠れてしまったみたいです」

 しかし、看護師さんからは「……」と返ってきたのは無音だった。

 「? 看護師さん?」

 僕は、さっきまで話していた看護師さんは————
 ポートによって羽交い絞めさせられていた。

 「ダボめ! 油断し過ぎだ。おかげで人質が手に入ったぞ。このドサンピンめが!」

 ポートは仕込み杖の白刃を見せつけれる。
 そのまま、看護師さんの首筋に当てる。

 「放せ、看護師さんは無関係だろ」

 そんな僕の主張はポートは鼻で笑う。

 「ハッ! 無関係だと? コイツさえ、コイツさえいなかったらお前なんかに私が―――俺様がお前なんかに負ける要素は一欠けらもなかったんだぞ!」
 「油断した貴方が悪いだけでしょ? それは責任転換に言いがかりですよ」
 「てめぇ、正気か?この状態でお前が俺様を挑発するのか? 俺はただ――――お前を苦しめた後に、お前の首級を広場に晒すだけで良かったんだ。それを―――あぁ、限界だね。この看護師は殺すわ」
 「……あぁ、本当に気づいてなかったのですね」
 「あぁん?だから、何を――――」

 カラッン

 ポートの手から仕込み杖が落ちた。
 誰かが、叩き落としたわけではない。まるで、自然に握っていた手を緩めたように―——— 

 「————ば、馬鹿な。俺は確かに杖を握っていたはずなのに……俺に何をした!」
 「僕は何もしていません。貴方が気づくのが遅れただけです」
 「気づくのが? だから、何を!」

 「そうですね」と僕は一度、言葉を止めた。
 どこから説明したら良いのか? それを考えたのだ。

 「まず―――貴方が、『暗殺者アサシン』である貴方が、ただの女性の叫び声だけで剣先を乱したりしますか?」

 「なっ!」とポートの視線は僕から外れた。
 そして、その原因を作った人物を注意深くのぞき込んだ。

 「そうです。そしておかしな現象は続きました。
 貴方を殴り倒した直後の様子を思い出してください。僕が貴方から目を放したり、注意が散漫になったり……おかしいですよね」
 「まさか!? まさか!? そんな馬鹿な! そんな偶然があってたまるか!」
 「えぇ、おそらくは偶然ではありません。彼女のスキル・・・によって、この状況は必然的に起きたのでしょ」

 僕は指差した。ポートではない。彼が羽交い絞めにしている看護師にむかって――――

 「彼女は特殊職業エクストラジョブ。もしくは、『ユニークスキル』の持ち主です」



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