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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

聖騎士団

 ここは森の中。
 静寂が周囲を包む。
 森の中でありながら、野鳥の鳴き声も、虫の鳴き声も皆無。
 明らかな不自然さ。これが暗殺者なら三流もいいとこだ。
 しかし、相手は暗殺者ではない。 
 目的は問わず、殺せばよかろうの精神なのだろう。今なお襲ってはこない。
 相手の目的は単純シンプルだ。修行と称して俺をいたぶることにある。
 そうはさせまいと俺は気配遮断スキルを使い周囲に溶け込む。
 周囲に溶け込んで―――体すら溶けて周囲と一体化していく感覚。

 しかし――――

 「み つ け た よ」

 奴の声!何処からだ?
 俺は周囲を窺い、警戒心のレベルを1段階上げる。

 (気づかれた!?いや、ハッタリだ。いくらなんでも、気配遮断スキルは破れないはず・・・・・・)

 俺は自分にそう言い聞かせた。
 だが、まやかしだ。声がしたということは、奴が近くにいるのは間違いない。
 どうする? 移動するか?
 その刹那の迷いが命取りになった。突如として、俺が感じたのは浮遊感。

 「なっ!なんだと!?」

 下から上へ押し出された感覚。間違いないく奴の仕業。
 俺の身に何が起きたのか。一瞬で正気に戻り、状況把握。
 体は……捕まれている!?
 俺がいた場所。その真下に潜んでいたのか!
 奴は、俺を持ち上げ、そのままジャンプしたのだ。

 「ニシッシッシッ・・・捕まえたよ」

 奴は黒衣に身を包むような服装。 
 やつは忍者だ。いや、正確には女性だからクノイチか?
 忍者をイメージするような服。所々で違いが見てとれるのは異世界バージョンと言ったところか?
 妙に露出が多いのはクノイチ特有の房中術のためだろう。
 しかし、マリアよりも幼い四肢の持ち主に、その効果はあるのだろうか?

 「……ミミックくん、何か変なこと考えてるでしょ?」

 ギック!? なぜバレた!

 「これは本格的なお仕置きが必要ですね」

 彼女の弾むような声色に反して、その内容は剣呑。
 ヤバイ!そう思うが後の祭り。
 くるりと視線が回転する。いや回転したのは俺の体の方だ。
 それが1回転、2回転、3回転と速度が増していき・・・・・・

 「忍法空車落とし 行くよぉ」

 回転によって乱れに乱れた俺の空中姿勢。
 前後不覚ならぬ上下不覚状態。

 (このまま、地面に叩きつけられる!)

 そう判断した俺は四方八方へ触手を飛ばす。
 周囲の木々に巻き付ければ、地面への直撃は免れる。
 だが、そうはならなかった。俺の触手は樹木へ触れた瞬間に弾かれる。俺の肉体が高速回転しているため、触手を真っ直ぐ飛ばしたつもりでも、触手にも不自然な回転が伝わり、木に絡めることすらできなかったのだ。

 (あっこれ、死んだな……)

 俺の人生が走馬灯のように見えてくる。
 前世の記憶とか、けっこう簡単に……

  「そこまでじゃ!」

 老人の怒声が響き、俺の体は地面から数センチの位置に浮いていた。
 老人の名前はパンタ老師。
 俺を持ち上がる少女、カスミの師匠であり―――マリアのかつての師匠だった。
 つまり、聖騎士団の団長兼武芸担当師範。
 どうして、俺が聖騎士団団長にしごかれているのか?
 それを説明するには、ギルド地下で行われたレギオン代表者会議(仮)まで巻き戻らないいけない。

 
 ・
 ・・・
 ・・・・・・
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「そう言って、ニンバリを名乗った魔族はコウ少年と、その母親を連れて去っていきました」

 暫し、沈黙が流れる。
 最初に口を開いたのは第二席、サガントだった。
 その言葉は懐疑的なものだ。

 「信じられませんね。魔族が現れたというだけでもレア案件。しかも、人間の子供に憑依する実験なんて……やはり信じられませんね。むしろ、信じる人なんているんですか?」

 何度も「信じられない」と付け加える。
 それは単純な否定よりも、信じたくないというのが本心なのだろう。
 次に口を開いたのはシーラ女王だった。

 「今、我が従順な騎士であるマイクロフトが現場に向かっている。何をするにも正確に情報が必要だろう」

 すると―――

 「あの男―――信用―――できる」

 誰の声だ?
 呟くような小さな声だったが?
 たぶん、消去法で第1席のフルームスだろう。
 会議が始まってから、無表情で明後日の方向を見ていて発言らしい発言はしてなかったけど、参加していたのか……
 しかし、反対意見がサガントから出てきた。

 「いや、別に疑っているわけじゃないんですよ。そのマイクロなんとかさんですか。疑うどころか、実力者だと思いますよ。でもね、でも、そのマイクロさんが、現場を調べて、魔族を追いかけて、居場所を突き止めて、戦って、勝って、人質になっているマダムを無事救出できる。流石に、そんな超人ではないでしょ?」

 リズムを取り、まるで歌を歌っているような口調。
 明らかな挑発行為。
 一方で挑発を受けた両者は……

 「・・・・・・」 
 「・・・・・・」

 2人して無言の返答。

 「いやいや、批判してるわけじゃないですよ。でも1人に任せちゃダメですよ。ご両人は完璧超人だから、1人でなんでもできて当たり前なんでしょうけど、普通は無理ですよ。ムリムリ。
 それに多人数で行うことでリスクの分散は必要でしょ?必要」

 「その件ですが……」とサガントの発言に割って入ってきたのは意外にも司会に徹底していた老エルフだった。

 「実は専門家に応援を頼みました」

 「むっ」とサガントは顔を歪めてたが、すぐに笑顔を浮かべて

 「ほうほう、専門家ですか? もちろん魔族の専門家ですね?何者なのでしょうか?今時、魔族を相手にする専門家なんて胡散臭くてレギオンとギルドの信用問題に発展しそうですがね?」
 「何者かと問われましても、魔族の専門家として信用できる団体は1つだけではございませんか?」

 「まさか!」

 そう叫んだのは隣のマリアだった。

 「えぇ、そのまさかです。そこにいるマリアさんが現状なおも所属し続けている魔族専門家団体―――

 聖騎士団です」

 

 

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