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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

スキルと変身 

「そうか……ではスキルとは何ぞな?」

 「え?」と俺の思考は停止した。
 パンタ師匠の言葉が脳内をぐるぐると回転していく。

 「あれ?スキル?スキルってなんだったけ?」

 技術的な能力って意味だった……はず。あれ?でも、それなら……

 「不思議じゃろ? ある種の超常的な力を『スキル』という名前で封じることによって、まるで自然に存在しているかのように錯覚させておる」
 「……言ってる意味が分からぬが?」

 「わからんでもいい」とパンタ師匠は笑った。そして「今は……まだな」と付け加えた。

 「要するに言いたかった事はスキルを過信するなという事と、もう一つ」
 「もう一つだと?」
 「ほれ、変身してみなさい」
 「へ、変身?……なんのことだ?」

 いきなり、変身と言われても……俺にそんな能力はない。
 混乱する俺にパンタ師匠は―――

 「なんといったかな?ユニークスキルの比類なきなんとか~かんとか~」
 「……ユニークスキル『比類なき同族殺し』です」

 合点がいった。確かにあれは変身だった。
 あのコウ少年との闘いの最中に俺は変身したのだ。
 ただの木箱から豪華な宝箱へ!

 「そう、それじゃ。要するにスキルによる変身じゃろ?それを見せるんじゃ」

 パンタ師匠をずいぶんと簡単に言ってくれる。
 魔族との闘い、マリアの窮地に発動したユニークスキル『比類なき同族殺し』は劇的に強化されていた。
 それは、あの緊急状態において使用できた特別バージョンのはず。
 それをパンタ師匠に言うと……

 「同じことよ。ユニークだろうが、レアだろうが、全部一緒じゃ。どのスキルだろうが根源の部分は同じものであって有り難がるもんでもあるまい。一度、使えたスキルなら、最初から雛型はお主の中にあっただけの話よ」
 「最初から俺の中にあった?」

 本当にそうだろうか?
 それはスキルの成長レベルアップの概念を真っ向から否定する理屈であって、とても受け入られるものでは……

 「とやかく考える前にやってみんかい」

 それは殺意にも等しい威圧。
 やらないと殺す。言葉ではなく、感情を直接ぶつけられた。
 そしてパンタ師匠が動いた。 

 死

 死という概念が鎖のように俺を縛りあげてくる。
 その前に―――

 『比類なき同族殺し』は俺の意思を越えて自動発動した。

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 違う。明らかだ。
 あの時とは、明らかに違っている。
 コウ少年との戦いでは、指摘されて初めて俺は自分の変化に気づいた。
 しかし、今は体が―――否。存在そのものが書き換えられていくのは実感する。
 パンタ師匠のいう事が正しいならば、元から俺の体が有していた力になるはずだが……
 とても、信じられない。
 兎にも角にも、俺はユニークスキル『比類なき同族殺し』を使用。
 豪華な宝箱に変身を遂げていた。
 紅の肉体に純金の枠。
 それを見た人々は想像するだろう。
 内に秘めた宝の価値を―――だが、俺はミミックだ。むろん、ただのミミックではない。
 世界最高級豪華絢爛のミミックだ。

 そんな俺にパンタ師匠は「ほれ、なせばなると言うやつじゃよ」と笑った。
 そのまま、杖を俺に向け―――

 「カスミの次にワシは組手をしてしんぜよう」 



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