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ミミック転生  ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~

チョーカー

強制成長による進化?


 『ユニークスキル 比類なき同族殺し 緊急事態により限定的擬似使用エミレーションを許可。目標を魔族、人間、魔物と一致 戦闘能力を強制上昇させます』

 けたたましい言葉。それが脳内に鳴り響く。
 ユニークスキル『異世界の知識』使用時に流れてくる声と同質の物。
 不思議といつもより感情的に聞こえるのは、どうしてだろうか?

 (考えたこともなかったが、この声は……誰の声なのだろうか?)

 不思議と精神は安定していた。まるで外部の情報が遮断されたような感覚。

 (そう言えば……今、何をしていたけ?)

 何か、大切な……そう…大切な誰かを……

 『比類なき同族殺しVer1からVer2へアップデート終了 チャンネル開通終了』

 徐々に思考がクリアになっていく。途切れ途切れだった記憶もつながり始めて…… 

 『実行しますか? YES/NO』

 俺は現状を把握した。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 「消えた……?」

 かつて、その部屋の主だった少年は呟いた。
 どうやら、俺の姿を見失ったようだ。しかし、それも一瞬の事。
 ギロリと俺が張り付いている天井に視線を動かす。

 「ほう……緊急時の強制成長ですか。これは『転生者』の特異点?チャンネルは?チャンネルは開いていますか?」

 俺の姿をとらえたコウ少年には、さっきまで存在していなかった狂気的な笑みが浮かんでいた。

 「……何の事だ?」 
 「どうやら、流れてないみたいですね。いや、自覚症状がないだけ……けど、やはり僕は運がいい」

 俺にはコウ少年が何を言っているの理解できなかった。ただ、困惑が増していくだけだ。 
 そんな俺の狼狽に気付いたのか――― 

 「その様子だと自分の姿が変わっている事すら気づいてないのでは?」

 コウ少年は壁にかけられていた鏡を指さした。
 ヒビが入り、一部が割れ落ちていて……もう鏡の役割を果たすのは難しいだろう。
 しかし、辛うじて俺の姿を理解させるくらいの仕事はできるみたいだ。

 そこに映された俺の姿は……

 「なんか、豪華になっている!?」

 木箱のフォルムだった俺は、もういない。
 全体的に紅の派手な塗装。
 部分部分パーツパーツは、金色の金属……いや、金純度が高い。
 マジ物の金だ!これ!?
 金の部分には細かな彫刻が刻まれていて……
 城の宝物庫に置かれててもおかしくない宝箱。
 下手したら、箱本体の値段で家まるごと1つ購入できそうな超高級宝箱に変身を遂げていた。

 「似ている……と言いますか。奇しくも、今の貴方は我らの目標だから当然ですかね」
 「目標?何を言っている?」
 「人間に憑依する計画。その向こう側の世界への到達……今はそう言っておきましょう……かっ!」

 コウ少年は飛び上がった。
 俺に向けて一直線に―――だが、遅い。
 その拳を避けると、そのまま地面に着地する。上から追いかけてくるコウ少年。
 加速し両足で俺を踏み潰すつもりか……
 これも避けれる。
 ―――やはり遅く感じられる。いや、俺が速くなっているのか?
 前に出るコウ少年。同じ速度で下がる俺。
 やはり、速度差がある。
 コウ少年の打撃を避けて、カウンターを放つ!

 「……あれ?」と俺。
 「むっ?」とコウ少年。

 互いに戦闘が停止した。一瞬のお見合い状態。
 戦いの最中によく起きるアクシデント。
 行おうとした動作ができずに、それに備えた相手も釣られて動きを止める。
 それが気づいた俺たちは、慌てて距離を取る。

 (なんだ?今……確かに…)

 もう一度、十分に距離を取って―――遠距離から触手を放つ!
 しかし、触手は俺の体内から出てこなかった。それどころか俺の体内から触手が消えていた。

 いやいや、そんな馬鹿な。
 いやいやいやいや!?って言うか体の一部が紛失してる!?
 どうする?いや、これ、本当にどうする?気づかれるわけには……

 「体から大量の汗がでていますが……何か異変でも?」

 気づかれた!?

 コウ少年は異変に気付いても攻撃を仕掛けてこず、こちらを観察するような視線を送ってくる。

 「何かアクシデントでも起きたのですか?」

 そのまま構えを解き、無防備にこちらに近づいてきた。

 「……関係ないだろ?敵を気遣うつもりなのか?魔族なのに?」

 俺の言葉にコウ少年は―――
 笑った。
 まるでたちの悪い冗談でも聞かされたように笑い始めた。

 「あっははは……失礼…アハッ……僕と言いますか……我らにとって、今の貴方は重要な研究対象に昇華されましたのでね。できれば生け捕りにして持って帰りたいのですが……へぇ、素早いのでね。可能な限り、情報を引き出したいってのが本心なのですよ」
 「へっ…そいつは助かるぜ。けどなぁ……」

 俺は口を開くと同時に、体内に収納せれていた大量の武器を勢いよく放出させた。
  
 「俺にとったら、あんたは依然として敵なんだぜ」


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